忘年会

屋久島山荘でパークボランティアの忘年会をやった。林芙美子がここに泊まって「屋久島は月35日雨が降る」で有名な「浮雲」の最後を書いたとか。浮雲は、誰一人幸せにならず、ストーリー的にはかなりげっそりくるのだけど、その作品の持っている暗さと対照的に鮮やかに描き出されたベトナムの美しい風景とそこでの二人の様子がぐっと心を掴んで、この鮮やかさ・目を閉じればはっきりと浮かび上がってくるような描画力はすごいなぁと思っている。
わいわいと騒いで過ごす。いろいろな話をした。西郷隆盛像にマントをかぶせることが出来なかった話が出た。四万十川の焼酎ダバダ火振の話が出た。ガイドの悲喜こもごもの話が出た。面白かった。
明日早いこともあり、二次会には行かずに家に戻る。屋久島の暗闇に引き立てられた満天の星を仰ぎながら、ほろ酔いで歩いていると、もう忘年会の季節なんだな、としみじみと思った。肌に当たる冷たい風と寄せては返す波の音がしっとりと心に溶け込んでいった。