休日 La Mauricie National Park Hiking & Kayak-camping 初日

今年は紅葉が遅い。昨年は9月下旬に紅葉真っ盛りだったのに、ほぼ同じ時期に先週は湖で泳いでいた。でもさすがに10月に入れば紅葉も進むだろうと、モリシー国立公園を目指すこととなった。今回は初日に、Vieux-Brûlisの13kmのトレイルを歩いて、その後、Lac Wapizagonkeに車で移動して、カヤックを組み立てて、湖のほとりのキャンプサイトまで行き、そこでキャンプして、翌朝カヤックで戻り、モントリオールに帰ってくるという計画。
昨晩は、かつて学生時代にお世話になった方モントリオールに来られていたので、三岳を持ち込んで夜11時過ぎまで一緒に飲んでいた。それもあって少々朝はきつかった。6時半に家を出てLa Mauricie National Parkに向かう。通い詰めた感がある国立公園だけど、よく考えれば8月の半ば以降来ていなく、早くも懐かしさを感じている。天気はいい。高速道路沿いの木々はあまり紅葉していない。うーん、これはあまり紅葉が進んでいないのではないか、と思いながら進んでいった。
8:50に公園の入口に到着。9時に受付が開くまで少し待つ。手続きを済ませてから公園内に入っても、木々は色づき始めているけど、まだまだ緑色をしている。今年は昨年と比較して半月以上紅葉が遅いと思う。
9:35にVieux-Brûlisの出発地点であるLe Passageの展望台の駐車場に到着。他には一台車が停まっているのみ。ここはワピッザゴンク湖の展望台でもあって、まずその様子を眺めに行ったのだけど、眼前に広がる森はまだまだ緑色だった!

出発の準備を済ませて9:45に出発。

森の中の小径を歩いていく。

ハイキングに出かけるのは4月以来だ。目印は円形で二分して藍色とオレンジの色が付いているもの。勾配のあるところではまっすぐと伸びる細い階段が印象的だった。クマの季節なので、チェストバッグにはクマスプレーが入っている。静かな森の中をテクテクと歩いてく。地図はこちら(PDF)参照。
10:10に1.6km歩いた先にあるA地点に到着。この先は反時計回りに回る。どちらから回ってもいいのだろうけど、矢印は反時計回りを指していて、混雑感緩和の観点からはこうした指示は素敵だと思う。
時々吹き抜ける風は寒い。それなりに着込んでいたのに、それでも寒かった。森の中の木漏れ日が美しい。リスがあちらこちらで走り回っている。B地点を10:35に通過する。ひっそりとした湿原。澄んだ青い空。
このコースはとにもかくにもコケとキノコが多い場所だった。登山道の横にたくさん生えているのでそれらを写真に収めていく。


水際にはビーバーに齧られた木が点在していて、目印のついた木も齧られ、傾いていた。

さて10:35。C地点のLe Laconの湖に到着すると、小さな赤ちゃんを背負った男性が一人いた。

写真を撮った後に歩いていくと追いついて、話をしながら歩く。赤ちゃんはまだ一歳とのこと!近くの町に住んでいて昔この国立公園と周辺でガイドもしていたそうで、今日はバードウォッチングに来たんです、とのこと。学生ですかと訊かれたので(野外で話をした際に9割は学生かと訊かれます・・・)、いや、働いていて、生物多様性関係のことをやっているんですよ、と話をすると、そこの事務局長がやってきて話を聞いたことがある。実は今SNAPという組織でケベック州の森林状況の調査を行っていて、生物多様性の愛知目標11(保護区の面積)のケベック州の達成状況の評価に関わっているんです、という話を聞く。まさかこんな森の中で愛知目標という単語を聞くなんて考えてもみなかった。うーん、びっくり!

しばらく一緒に歩いた後、先に歩かせてもらった。途中、ムースと思しき動物の足跡を見つける。
D地点には11:35に着いて、そこから3分ほどのの展望ポイントのE地点に向かう。森を見下ろす広い岩場だ。広がる色づき始めたたおやかな森。紅葉真っ盛りではないけど美しい風景だ。下弦の月がひっそりと浮かんでいる。猛禽類が空を舞っていないかと目をこらすが、残念ながら見つけられなかった。

10分ほど眺めを楽しんでから、戻ってさらに先へと進む。
キノコ・コケ・リスを撮りながら進む。


またムースの足跡を見つける。サクサク歩いて、F地点のLac Daireには12:10に到着。澄んだ山上湖だ。誰もいなくて静けさが漂っている。

その先ではムースの糞を発見。結構大きくて感心する。

G地点を12:25に通過して、森の中を快適に歩いていたところ、時刻は12:40。


左手奥から突然ガサゴソガサッ!ドタバタタッ!という大音響が聞こえる。咄嗟に手が伸びたのはクマスプレーで、安全装置を外して音の方向に身構えた。よく見ると30m先にクロクマがいて、木に登っていたのだけど、僕に気がついて木から降り、そのまま反対方向に逃げていくところだった。これはチャンス!と慌ててクマスプレーをカメラに持ち替えたのだけど、既に時遅しで、木々に視界が阻まれ、写真・動画は残念ながら撮れなかった。でも、正しい反応をしたのだと思う。カナダでクロクマに会うのは二回目だ。
そこから5分ほど歩いたところではクマの糞を発見して、さっきのクロクマのものだろうかと思いながら、さらに歩いて行った。

13:05に到着したI地点の展望ポイントは、正直あまりぱっとしなかった。このコース中で快適な休憩ポイントを訊かれれば、E地点かF地点。でも何も食べずに何も飲まずにここまで歩いてきたので、さすがにお腹が空いてナッツバーを齧った。
その後もサクサクと歩いて、13:45に入り口に戻ってきた。途中で出会ったのは赤ちゃんを背負った男性のみ。静かなトレイルだった。
さて、その後はワピッザゴンク湖の北部の駐車場に向かう(車で5分ほど)。車の中からカヤック・キャンプ道具を取り出し、出発地点のピクニックサイトで組み立てる。
14:45に出発。

湖上を吹き抜ける風が冷たい。水に濡れた足もとてもとても冷たかった。この広い湖には数艇のカヌー・カヤックが浮かんでいる。 半時間ほどカヤックを漕いで、15:15に今宵のキャンプサイトのNo.10のキャンプサイトに到着。

全部で4パーティー泊まれるサイトなのだけど、各テントサイトが割と離れていて、とてもプライバシーを保つに適した、ビーチ付きの素敵な場所だった。6月に泊まったNo.2のサイトよりもずっと素敵。幸い、僕以外は誰もいなくて、本当に静か。
テントを張り、ハンモックを吊るす。

ハンモックに寝そべって、頭上の風にざわめく梢、そして流れていく雲、吹き抜ける透明感溢れた秋の風をぼんやりと眺める。虹がかかっているのが素敵。平和な、幸せな時間。

ここモリシー国立公園は、焚き火が可能なカヌーキャンピング用のキャンプサイトでは、薪が薪小屋に山ほど準備されていて自由に使うことができる(料金に含まれている)。これは、国立公園内に外来種を持ち込ませないための知恵でもある。
スリングで薪を結わえ、焚き火台まで何往復かして運び込む。16時半には着火して、焚き火を開始。楽しい楽しい焚き火時間の始まりだ。
湖上をハシグロアビ(Loon)の親子がゆっくりと横切っていく。焚き火台の上にのせた焼き網で、ソーセージやら、コーンやら、マッシュルームなどを焼きつつ、ビールをグビグビと飲む。うーん、幸せなひとときだ。

暮れなずむ夕暮れ。パチパチと弾ける焚き火の音。

ビールの後はワイン・ウィスキーをいただきながら、空いっぱいにまたたく星空を存分に楽しんだ。カナダであと何回焚き火ができるのだろうかと思うと、寂しさも募るひととき。


21時を過ぎてテントに入り、寝袋にくるまって寝た。