水生昆虫談話会

シジミ汁を作る

今日は外来のタイワンシジミの話。神奈川県の私立高校の先生+生徒さんの発表。気が付けばマシジミがタイワンシジミに置き換わっていたという話。神奈川県の過去のマシジミの標本はどこにも残っていないらしい。いつ置き換わったのかわからないのだ。マシジミ・タイワンシジミは雄性発生する。つまり、卵と精子の融合でなく、精子のみの遺伝情報で発生が進むため、一匹進入したら繁殖拡大できるという特徴を持つ。
初めに試食会をやった。利根川ヤマトシジミ、中国産ヤマトシジミ、千葉産セタシジミ、そして神奈川産タイワンシジミの四種をシジミ汁にして食べ比べる。ざっと種の解説をしておくと、ヤマトシジミは汽水域にいるシジミで、よく見られる。値段は高い。セタシジミは琵琶湖原産で、値段はそれほど高くはない。完全に淡水域に住むものはマシジミ・タイワンシジミで、マシジミ・タイワンシジミは遺伝的に相違点はほとんどなく、実はシノニム(同種別名)だという話もある。名前を伏せて食べて比べて見ると、僕はヤマトシジミ > 中国産ヤマトシジミ > タイワンシジミ ≒ セタシジミという順位を付けていたことが、後からわかった。高校生に食べさせるとセタシジミ、タイワンシジミなどの淡白な味を好むという。逆に年上の人はヤマトシジミの「シジミらしい」濃い味を好むらしい。実際、ヤマトシジミの方が僕は断然美味しく感じた。でもタイワンシジミも味が悪いわけではない。うまみは少し物足りない気がしたけど。
発表の中で興味深かったのは、鳥の足にくっついて稚貝が運ばれると言う話。よく言われることではあるのだけど、実際コサギの足を切り取ってきて、それをタイワンシジミの入ったバットに浸けて、出してを繰り返し、足にくっついた貝の数をカウントしている。1.6%の確率で付着したという。これは高い確率だ。面白いと思った。
発表も終わって、片付け。余った大量のしじみ汁を友人のいる研究室に運び、食べてもらった。
シジミの食べ比べなんていうなかなかやらない貴重な体験。