調査

北浅川支流をまずまわった。今回の調査は予備調査的だ。これから具体的にどのように川虫の生息密度や、各種環境条件を調査していくか、それを決めるための調査である。
北緯35度40分42.54秒、東経139度10分47,51秒の地点(KA-1)に行く。そこは杉の人工植栽が行われている場所なのだけど、渓畔に広葉樹が点在し、広葉樹リターも結構川の中に点在している。キタカミトビケラが大量にいてびっくりした。落葉食水生昆虫はわりと豊富だ。コカクツツトビケラ、オオカクツツトビケラ、マルバネトビケラ、ヨツメトビケラ、トビイロトビケラ、トビイロカゲロウ、フサオナシカワゲラ、と一通り揃っていた。ガガンボ、オナシカワゲラ、ミジカオカワゲラなどは見つけられず。そんなところ。
車を停めたすぐ横の細流(KA-1')ではオオカクツツ、ヨツメ、トビイロトビケラ、フサオナシなど。
移動して、次なる地点(KA-2)では、マルバネトビケラの巣とも言える川の横の水溜りを見つける。1㎡に大体4〜5cmの虫が100匹強。でも、見慣れない人はおそらくそれが虫だと気づかないかもしれない。この地点はオナシカワゲラがいた。
移動しながら他の地点を探すも、うまくいかず、とりあえず休憩。元祖とろろそばの店で僕はカツ丼を食べた。
南浅川に移動する。上流部に杉林、そのすぐ下の場所は広葉樹リターが豊富なところ。杉林の中にもいるにはいるけど、数が少ない。広葉樹帯のところは数が多かった。当たり前か。でもそれをきちんと評価していきたい。さてこの場所、コジュケイがたくさんいた。最初ヤマドリかと思ったが、考え直して見るとあれはコジュケイだ。群れで落ち葉をカサコソと踏みしめながら歩いている。見つけてしばらくは世話しなく餌を探していたが、「あれ美味しい鳥だよ」「うまそーだ」という会話をしたとたん、バタバタと羽ばたいて逃げていった。殺気を感じたのかもしれない。
次にまわったポイントは、殺伐とした杉林の中。何故か山女の稚魚がたくさんいて、1匹すくって持ち帰る。
その次がまたまた杉林の中。ここはひどかった。水量自体は少なくないけど、落葉食、微細有機物食水生昆虫がほとんどいない。
そのあと、高尾霊園の横の川へ。ここもひどいなあ。僅かに残った水溜りで健気に生きているコカクツツトビケラにわびしさを感じた。
最後に八王子城跡の横の川へ。ここはあまりいない。

くたびれて帰る。加賀谷先生を高尾駅に送り、その後、SunFieldへ。DayFieldの方がいいかもしれない。日本語に訳すと地名がわかるはず。夕飯を食べさせていただき、お礼を言って、夜九時半過ぎに都心に向かう。行きは国道20号をずっと通ってきたけど、帰りは東八道路を通る。大学1〜2年生のとき、暮らした場所、通学路に差し掛かると、懐かしさが満ち溢れてきた。「あのころの思い描いていた未来に俺はいるだろうか?」急に感傷的な気分になって、僕はフルフェイスヘルメットの中で顔を赤らめ、クシャクシャにしながら、懐かしの道を駆け抜けていった。