快晴時々晴れ 湯檜曽川本谷遡行(土合駅→二俣)

抱返り滝

以下、FB(フィードバック)より抜粋
四時起き。外はまだ暗い。準備を整え、四時半過ぎに土合駅を出発。オリオン座が輝いていた。湯檜曽川沿いの道は所々ぬかるんでいる。その道をサクサク歩いていく。やがて陽光が谷川の主稜線を照らし、神々しいの一言。虹芝寮の近くの巡視小屋の前で一度休憩。武能沢に着き、沢装を整え、入渓。すぐに本流に合流し、10分も歩くと魚止ノ滝に到着。水量は昨年よりも若干多め。昨日雨が降ったせいだろうか。
魚止ノ滝はリードで登ってもらう。リード藤本、ビレイ高梨。リードは実は初めてだという、藤本のリードの様子を横で見ていて、そのことを納得。カラビナの形の意味を理解していなかったり、ハーケンを落としたり。突っ込みどころが盛り沢山だった。が、何とか登り切り、二番手の高梨も登る。魚止ノ滝の最初の部分は手掛かりの残置スリングがあり(昨年はなかった)、それほど詰まらなかったが、上のほうの溝の部分が少してこずっていた。続いて小松、大原とトップロープ確保で登る。小松が上部で少し苦労していたので、お助け紐でも出してやってよ、と言うと、藤本がATCの確保を解除して、固定してからお助け紐を出そうとしたので、思わず怒鳴りつけてしまった。松永は久しぶりとあってロープをつけてもらったが、井波と僕はフリーで登る。難しくない滝だけど、なにせいきなりの滝だから緊張する人はするだろう。後で聞くとこの滝が一番緊張したという人は多かった。その上のミニゴルジュは巻いて、先の河原に出る。
青空が美しい。沢の水も美しい。しばらく平凡な河原を歩く。やがて、ナメが出てくる。大きな釜を持った小滝があって、そこを少し泳ぎながら取り付く。無条件に楽しい。谷が右に屈曲する先に、ウナギ淵と呼ばれる幅2m、長さ20m程の瀞。右から巻けるが、泳いで突破。水は冷たいけど楽しい。みなはしゃいでいた。その先、谷が左に屈曲するところにかかる滝は、左の岩場から巻く。その上は3段30mの大ナメ滝。この辺りは日当たりが悪いので、水に浸かり過ぎていた面々は少し震えたりしている。滑らないように気をつけながら登ると、正面には天から滴り落ちるような抱返り沢。右に大倉沢。本流は左に屈曲する。十字峡。日が当たり暖かい。ここで最初のタルミ。抱返り沢の水を手に取って喉を潤す。
その先は抱返り滝まで、ボルダリング感覚のへつりをしながら行く。楽しい。日も当たっているから、沢の水が輝き、美しい。抱返り滝は水量が多いおかげで迫力満点。下段を登り、上段を巻く。ここの巻きは少し怖いと思っていたのだけど、特に何もプロテクションなしで登っていった。
抱返り滝の上は、ナメと釜が連続して、怖さはまったくなく、美しいの一言。大原は積極的に水に戯れ、一度滑って吹っ飛ばされていたけど、非常に楽しそう。3条10m滝は左のチムニー状を登る。そして七ッ小屋沢出合。タルミ。井波が釜で泳いでいた。
七ッ小屋沢出合から少し行ったところに、広くはないがビバークできそうな岩場がある。少し進むと8m垂直滝。8m垂直滝を左から踏み跡を伝って巻くと、10m幅広垂直滝。シャワークライムが楽しめる面白い滝。高梨リード、藤本ビレイで登ってもらう。
高梨の登りは見ていて不安な感じはない。残置ハーケンで一ヶ所、ブッシュで一ヶ所ランナーを取って、滝の上に出た。が、アンカーを取るのは時間がかかっていた。遡行図には高巻きが一番困難、と書かれているのだけど、ルートを見に行った井波は簡単に行けそうですよ、と言って高巻きのルートを行っていた。難しくないらしい。水量が多い場合にこの滝を巻けるというのはいいことだ。大原、小松、松永、とトップロープ確保で登っていく。シャワークライムは楽しい。僕はフリーで登ったけど、一度登っていることもあって、怖さは感じなかった。
その上の小滝群はボルダー感覚で楽しいが、一ヶ所だけお助け紐を出してもらう。使った人がいたかどうかは不明。そして6m7m滝。高梨リード、藤本ビレイ。少しだけホールドが細かいけど、探していけば随所にいいホールドがある。昨年僕はこの滝が一番難しいと感じたのだけど、高梨は怖くはなかったようだ。上部は無理やり乗っ越すことも可能だが、少し左にトラバースすると簡単なルートがある。藤本が登った後、大原、小松がトップロープ確保で登る。僕はここもフリーで登る。松永と井波は高巻いていた。踏み跡はしっかりしているらしい。
少し歩いて大滝へ。まずは記念撮影。滝の上段から注ぎ、空を舞う曝流が美しい。下段は余裕。上段はリード。高梨リード、藤本ビレイ。難しくはないけど、高さがあるからロープは付ける所。大原、小松、井波、松永、僕、とみんなトップロープ確保で登った。
大滝の上はもう悪いところはない。いくつかある大きな滝も簡単に巻けるか、容易に直登できる。高梨が積極的に水に浸かってはしゃいでいた。大原、小松は、独自のルートを行き、滝登りを楽しんでいる。ナメは相変わらずきれいで、ただ、ただ心が和む。しばらく行くと平凡な流れとなり、奥にJP(ジャンクションピーク)が見え始めると、間もなくサイト予定地の二俣に着いた。
薪を拾って、天図を取り、ツェルトを張って、飯を作る。OB3人で一本ずつ背負ってきた発砲酒でとりあえず乾杯。喉に染みわたる。うまい!カレーを食べた後、マシュマロ、加藤差し入れの大きなマシュマロ、ソーセージ、焼き豚、青リンゴゼリー、梅酒、ウィスキーと差し入れを食べながら、たき火のそばで平和な時を過ごす。夜も空は晴れていて、東の空から秋の星座が輝く。10時を過ぎて、眠りについた。

タイム
4:33@土合駅 〜5:28@虹芝寮 5:37〜6:06@武能沢 6:25〜6:35@魚止ノ滝 〜7:40@魚止ノ滝上 〜8:50@十字峡 9:04〜10:25@七ッ小屋沢出合 10:35〜11:00@10m垂直幅広滝 〜12:10@10m垂直幅広滝上 〜12:30@6m7m滝 〜13:23@6m7m滝上 〜13:31@大滝 〜14:45@大滝上 〜15:30@二俣

僕が撮影した今回の沢の写真の一部