鈴島へ

実家に置きっ放しにしてあったカヌーを車に積んで、豊浦海岸に行く。その1km沖合いには鈴島という割と大きな無人島がある。池が二つあって、北池は淡水、南池は汽水だ。
小学校三年生のとき(の8月11〜12日だったかな)、初めてのキャンプをこの豊浦海岸で体験した。翌朝、父と二人で、ホームセンターで買った2、3千円の二人乗りの安物のビニールボートで鈴島を目指したが、進むのが遅くて、半分ほどの距離に来るまででも大変で、引き返した。が、潮の流れがあって、なかなか戻れなかったのを覚えている。その時は何も思わなかったのだけど、振り返ってあれは自分の中で楽しい思い出であり、冒険だった。それ以降、いつか、カヌー(を買って、そしてカヌー)でこの島に来ようと思っていた。
小6のときに、自然観察会か何かで、渡船で鈴島に来たことはある。それはそれで非常に楽しかった。
カヌー*1を組み立てていると、家から電話があって、荷物を詰めたリュックを忘れているというので持ってきてもらった。一人のおじさんがカヌーを組み立てるのを興味深そうに眺めていた。いいなぁ、と話し掛けてくる。
海でカヌーに乗るのは2回目。初めは三年前、隣町で原子力発電所の建設の是非を問う住民投票があった時、その当日に建設候補地の浜で数時間、一人シーカヤッキングを楽しんだ。その時は某新聞社のインタビューを受けたりもした。
海に漕ぎ出して、サクサク進んでいく。沖合い1kmだからせいぜい15分ぐらいだろう、と思っていたら、10分も漕ぐと着いてしまった。カヌーって素晴らしい。海の底が透けて見え、小さな魚が、カヌーが近づくと一斉に跳ねた。水面を中型の魚が群れになって泳いでいく。鈴島に上陸。領土の宣言をして、万歳三唱をやった。その後はしばらく浜辺でのんびりと過ごす。
カヌーに再び乗って、鈴島を一周した。左回りに周ったが、南側の太平洋に面している場所ではそれなりに波があって、岩礁帯の近くではカヌーは1mほど上下に動く。岩礁に乗り上げないように気をつけながら、遠く広がる太平洋と、波砕ける岩礁の荒々しい美しさを噛み締めながらのんびり漕いでいった。鈴島には照葉樹の林*2がこんもりと広がり、その空にはミサゴ*3が空を舞っていた。
一周してから、戻りつつ、その周辺の道路から行けない浜辺を巡る。カヌーは巡航速度が速いから、その気になれば結構いろいろ巡れそうだ。が、夕立が振り出しそうな雲行きになってきたので、夕方四時半前に上陸。真水で洗った後、カヌーを畳む。犬の散歩にきたおじさんと話をする。犬は紀州犬だったが、まだ若く、落ち着きがなかった。はしゃいで飛び掛ってくるので、首筋を掴んで押さえつけ、もう片方の手でアゴの下をなでる。尻尾を一生懸命振っていた。
家に帰ってきてから、柏崎の親戚のおじさんの家を訪ねる。車を運転していると激しい雨が降ってきた。猟の話、漁の話、犬の話、猿の話、他、いろいろ話をする。少し前に「オレオレ詐欺」ではないのだけど、まあそれによく似たものが届いたらしい。ハガキでお金の催促が来ているのだけど、「法務省認可特殊法人 日本中央債権管理センター*4」という肩書きが面白い。警察に話をしたが、何も対応を取ってくれないとぼやいていた。どこから名簿が漏れているのだろう?
最近、僕の父に甘露煮作りのノウハウをきいたというおばちゃんが、鮎の甘露煮を出してくれた。美味しかった。
家に夜八時半を過ぎて帰ってきて、夕飯を食べ、NHKの「地球大進化」を観た後、寝た。

*1:一般的には僕の持っているカヌーはカヤックと呼ばれる

*2:東側のごく一部は植林?されているけど

*3:魚食性の猛禽類

*4:Google等で検索すると架空請求発信源リストとして出てきます。