産業廃棄物処理場の許認可をめぐる最高裁判所の判決が出た!

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規制対象事業場認定処分取消請求事件の判決が、午前中に最高裁第二小法廷であった。一審、二審と町が勝訴してきたが、今回は処理場の設置を禁止した協議が不十分だったということで、名古屋高裁に差し戻し審理。研究室にやってきて、ニュースサイトのトップに出ていたので、びっくりした。地元の町でずいぶん前から争われてきた案件だ。僕が中学校のころ、建設の動きが出てきて、「水源を守れ!」という声と共に、当時から高い関心を持っていた。
産業廃棄物処理場(≒古タイヤ処理場)を作ろうとしていた場所は、赤羽川の上流の三戸川の傍だ。今年の夏、赤羽川に鮎しゃくりに行ったが、しゃくっていた場所の少し上流がその建設予定地だった。山は植林が多いけど、都会から来た人なら自然たっぷりな場所だと思うだろう。田んぼと養鶏場の他は、何もない場所だ。鮎しゃくりでもよく行っていたし、その現場の傍らの川原で父と二人でキャンプしたこともある。そのときは今と地形が違っていて、川に非常に深い淵があった。夜、防水の懐中電灯を片手にエビを獲り、水深3mほどの淵で泳ぎ、潜ったのは懐かしい思い出だ。ちょっと怖かったけど。そして建設予定場所の3km下流には簡易水道の取水施設がある。その水をみんなが飲んでいる。そんな場所。
赤羽川自体はきれいかどうかと聞かれたら、まあまあきれいだと言っておこう。もちろん都会と比較したら信じられないぐらいきれいだ。泳いで遊ぶのも非常に楽しい!が、もっともっときれいなところを知っているが故、無条件に褒められるほどきれいではない。魚は場所にもよるが、わりと多くいる。エビもまあまあ。モクズガニも探せば結構いる。鮎に関しては、赤羽川の鮎は結構小さい。が、ちょっと前に下流にあった堰の板を抜いたおかげで、鮎の数は増えた。稚鮎の放流量は年間せいぜい100〜150kg程度でわずか。天然のものが多くを占める。落ち鮎も小さくて、12月に川に潜って鮎を取ったら、12〜13cmしかないのに、針がかかったところから卵がポロポロこぼれたことがあったっけ。そんなところ。近年は、植林の影響か、何なのか、よくわからないが、下流域で冬に流れが途切れることが多い。水が途切れたときは、水溜りに鮎が塊り、地元民に一網打尽にされてしまう。上流も中流下流も川原が割と多くて、遊ぶのにいいが、養鶏場がこっそり川に鶏糞を流しているおかげで、たまにひどいときがある。さっきも書いたように近年は水が途切れることがあるから、流した鶏糞が流れ切ってくれず、川原に溜まったこともあった。最初はそれが何だかわからなかったらしい。調べていくうちに鶏糞だとわかり、県の職員を呼んだりもしたらしい。実家に帰ったときにその鶏糞のサンプルを見せてもらった。家畜の排泄物を川にこっそり流すというのは、よくやられているらしく、これは別の川だけど、昔からよく遊んでいた場所で魚がいなくなったが、昼はそんなこともないのに、深夜川上から臭い臭い(くさいにおい)が漂ってくることもあったらしい。その上には牛舎がある。夜牛糞を流す、そんなことの繰り返しで魚がいなくなったんじゃないか?と話を聞いたりする。現場を取り押さえればいいのだけど、なかなかうまくいかない。愛着もあるし、遊べるけど、地元の川も一枚めくるといろいろあるのです。コモンズの悲劇というか。赤羽川でよく遊んだ一町民としては、大雑把にはこんな感想。
で、その上に古タイヤ処理場建設!まずは水質汚染が心配だ。川も然りだけど、地下水汚染!いろいろ資料を見た。シートで包むことによって汚染の可能性はない云々・・・・・業者としては信じてほしいのだろう。が、素直に信じられるはずがない。隣町にクチスボダムというダムがあって、さらに隣の市の水道水となっているのだけど、その貯水池の横に食品工場があるのだけど、クチスボダムはその工場が捨てた(本当は駄目だよ)アラでヘドロがたっぷり溜まっていて、水道からは異臭がするという現状だ。その業者は・・・・どこかで聞いた事があるなぁ。そんな方に汚染はありませんなんて無理です。信じられません。
で、業者の事業認定の動きを知った町が慌てて作った水源保護条例で、規制地域を設けた。産業廃棄物の許認可は都道府県が行い、町には権限がないから、作ってほしくなければ条例で規制するしかない。で、話がいろいろあって、一日あたり95㌧の地下水を使用する、という話から、それでは水源が枯渇する、という話にもなって、許可が下りず、それで業者が訴えて始まった裁判。
一日あたり95㌧とは、どのぐらいの量だろうか?場所によって違うから一概には言えないのだけど、日本の渇水比流量(一年の内でも流量が少ないときの面積あたりの流量、川には最低このぐらいは流れているという量)は約1m^3/秒/100k㎡と言われている。要するに10km四方の土地があれば、毎秒1㌧流れることになる。さっき大雑把に面積を計算すると、施設のある場所より上流の面積は約21k㎡、ということは川の水をすべて吸い上げることができるのだとすれば、大体時間にして8分分ぐらいの水を吸い上げる。これはどうなのだろう?なんて考えていたら、上流に宮川村から水を引いている水力発電所があることを思い出した。でもこの発電所の水は赤羽川に流れていないような気が・・・ついでに針葉樹だらけ(大体面積で人工林/天然林=2.7〜2.8倍)だから、流量はよくわからないです。が、すでに冬よく途切れているので、水を吸い上げられたら余計なくなるのは確かかもね。
が、わからないけど、本音は水量よりも水質問題(地下水含)だと思う。でも水質は設備が安全です、と言われれば反論がきつい。となると水量は話としていいやすい。紀伊長島の水道使用量を調べたけど、見つからなかった。実際はどうなのだろうか。
今回の判決は、
>「規制対象事業場の認定が事業者の権利に重大な制限を課すことを考えると
>この協議は重要な手続きだ」と指摘。「町には業者側と十分な協議を尽くし、
>地下水使用量の限定を促すなど適正な指導をして業者の地位を不当に害さない
>よう配慮すべき義務があり、その機会もあった」と述べた。
らしく、手続き面で不備があり、差し戻されたよう。
にしても、日本の法律は産業保護だらけ。もちろん、それらを皆含めた産業の中に自分たちは生かされてはいるわけだけど、採石法何ていう何でもありの法律叱り、自然公園法にしても産業との協調が高く謳われているし。
自分たちの飲む水を守りたい。そんな素朴な願いを守るだけでも大変な時代だ。町の条例とその執行に不備があったのはわからなくもない。でも、そう無理やりでも押し通さない限り、産業保護もあって逆は簡単に押し通るのが現状だ。差し戻された名古屋高裁の結果をじっくりと見つめたい。
わけがわからない文章をつらつらと書いてしまった。でもせっかく書いたのでアップロード。