出港

根室港には、報道関係者、根室市の関係者、支庁の関係者等が集まっていた。乗る船は「ロサ・ルゴサ」で、約500tの船。そんなに大きくない。
握手してから船にあがる。今回は16日の銃撃・拿捕事件後の訪問であるゆえ、どこか重さを感じた。もらった日ロ友好を願う小さな旗を振りながら、出港する。
それは、本当に天気のいい、海風の透き通った午後のひとときだった。
割り当てられた部屋は、かなり優遇されていて三人部屋。狭い部屋だが快適だった。多くの人は20人ほどの雑魚寝部屋で、ちょっと恐縮だった。
出港して一時間弱、中間線に到着し、そこで献花、黙祷となった。三度、大きく汽笛が鳴らされた。納沙布岬を間近に眺める海の上で、潮風を感じながら、静かに考える時間を過ごした。
船は、国後島の古釜布を目指して進んでいた。イルカがいた。日が傾き、海面と船を赤く染めた。知床半島が、国後島の背後にあった。北方領土海上にいることをひしひしと感じた。
今回、約60名の参加者の内訳は、変換運動関係者、会社経営者、労働組合関係者、事務局等だった。同じく沈む夕日を眺めていたササキさんは、釧路市の非常に近所に住む年齢が同じのコウモリ研究者だった。イチゴ摘みのバイトをしながら、研究を続けているらしい。すごい。いろいろな人がいるものだと思った。
船内での晩飯は美味しかった。飯を食べた後は眠くなり、一眠りしてから宴会に参加する。起きた時にはもう古釜布沖に到着していて、船の周りにはたくさんのカモメが集まってきていた。水中には時々細長く青い魚の群れが見えた。秋刀魚かな。少し離れた陸は真っ暗闇の中に、そんなに多くない灯があった。そして夜空には満天の星が瞬いていた。飲むのもほどほどに再び寝た。