ナタ届く。

朝起きて職場に向かう。どこか酒が残っている感じがする。夕方、先日地元の鍛冶屋のおじさんに注文していたナタが届いた。わくわくして箱を開ける。
予想していたよりも肉厚で、一番厚いところで約6mmあった。切っ先は尖っているもののやや鈍目。柄は頼んでいたものよりもやや長く、4.5寸、実質の持ち手部分は4寸だった。以前の物よりもずっしりしていて、振り落とした時の打撃が強い。枝払いや草払いにはより良いかも。反面魚を捌いたりするのにはどこまで向いているかがわからない。握った感じ、重量感は先代よりもしっくりとくる。この感覚は大事だと思う。
見た目は、日本全国こんなに素朴な(粗造りの?)刃物は売っていないだろうなというほど、手作り感溢れるものだ。それは先代にも増してのものだった。そして刃物に刻まれた「照弘」の名前と蛇のマーク。巳年生まれのおじさんのマークだ。その素朴な刃物に籠められた魂を、手にとって眺める。
家に帰ってから、先日東急ハンズで買ったヒノキの板を使って鞘を作る。鞘作りはもう何度もやっているので慣れたもので、ノコギリで2枚の板を切り取り、刃が入るように彫刻刀で削り、2枚の板を貼り合わせ、出張った部分を削り、ヤスリをかけ、銅テープを巻いて補強し、バンド通しのスリングとナタを確実に保持するためのショックコードをつけて完成。ヒノキの香りがいい。きっちりナタが入る軽量コンパクトな鞘が出来たことが嬉しかった。
届いたナタの先端部に小さな刃こぼれがあったので、砥ぎ直す。荒砥石、中砥石、仕上げ砥石と砥ぎ上げて、惚れ惚れする切れ味に仕上げてみた。
刃物は一歩間違えると凶器になる。でも、間違えなければ信じられないぐらい素晴らしい道具で、そして頼りになるもの。先代を失くしてしまったのは本当に残念だけど、同じ鍛冶屋のおじさんの手によるナタが、これから自然の中に入り込む時の相棒となる。宜しく。