尾之間歩道巡視

朝七時事務所出発で尾之間歩道へ。今日はフジイ君と一緒に行くことになった。朝忘れ物のことで少し話をする。これから寒くなる季節、装備はしっかりそろえてほしい。
天気はいいのだが気温がぐっと下がり、寒かった。淀川登山口は4℃。宮之浦岳山頂は氷点下なのだろう。
淀川登山口のトイレの横から尾之間歩道は続いている。距離11.2km、標高差1300mあるロングトレイル。歩き始めてすぐに大きな杉がある。立派立派。尾根沿いの道を進む。
倒木が多かった。ノコギリを持ってきていたので、登山道に倒れているものは極力処理する。壊れている古い看板もたくさんあった。それらは全部回収することにした。
少し進んでは倒木処理し、としているとなかなか進んでいかない。今は土埋木の搬出のためのヘリが来ていて、尾根を越えたところに運んできているのでその爆音が響き続ける。ちょっと幻滅。乃木岳の過ぎた先が展望地になっている。ヘリが見える。そして、遠くは黒味岳、太忠岳、花折岳、近くでは鈴岳、割石岳が見える。いい天気だ。ここは携帯電話も通じた。
乃木岳と1399mの間のコルから先に下っていく。この辺りは開けていて森の雰囲気が明るい。相変わらず倒木が多く、随所で処理していく。谷筋を二箇所ほど越えて鯛之川の渡渉点に到着。この川はワンゲルの同期で一番一緒に沢に行ったマツナガが、2002年に遡行している。その山行記録は何度も読んでいたので、ここに来たのかぁと感慨にふける。
どこかしっとりとした森の中を登り返す。割石岳と鈴岳の間のコルとなるこの辺りの森の雰囲気はいい感じだ。展望があるわけではないのだけど、歩いていて楽しい。そして長い下りに入る、と早々に大きな倒木で完全に道が塞がっている場所に出る。しばらくの間巡視には来ていなかったのだけど、一体いつ倒れたのやら。通れるように刈り払い、ピンクテープの目印を付けてルートを作る。その先も倒木が出てくる。
遠くに蛇之口滝が見えてくる。いくつか沢を跨いだ。沢のそばに不思議な湿地があるところもあった。その先も倒木処理を繰り返し(意外と時間がかかる)、流石に倒木処理に飽きてきた頃、また大きな倒木で完全に道が塞がっている所に出て思わずため息が出た。時刻は一時を過ぎていて、そこで昼飯とした。準備しておいたピンクテープをフジイ君は持ってこなかったのでピンクテープが足りなくなったが仕方がない。持ってきていた自前の赤色のロープスリングを切って目印とし、ルートを開拓した。多分わかるはず。
森の雰囲気が変わり、スダジイが多くなりどんぐりも多くなる。最後の急斜面をジグザグに下っていくと、一箇所大きな倒木があり、登山道が崩れて不安定な場所がある。荷物が重いと怖いかも。でも持っている道具では補修のしようがなく、今後の対応とした。
下りきると蛇之口滝のトレッキングルートと交わり、東屋もあった。時間にそんなに余裕はなかったのだけど、せっかくだからと蛇之口滝を見に行く。途中、Y-nacのイチカワさんにばったり出くわす。沢タビを履いていたのが印象的だった。
沢を渡り、蛇之口滝へ。渇水のためか水量は少なかったが、その堂々たる岩の壁は迫力がある。ひっそりたたずむ蛇之口滝の釜。日も少し傾いていて、紅葉と相まってどこか寂しさが漂う。滝の真下にまで行って、岩から注ぎ出ている水を頂く。
こんな場所があったんだな。と思う。まだまだ知らない場所が多い。
東屋に戻り、先に進む。地形図で現在地を常に把握しながら進む。途中、パーンと音がなる。少ししてまた鳴り響いた。銃声か。シカ猟も解禁になった(メスシカのみ)ことだし、でも近くで鉄砲撃つのは怖いな、と怯えていたのだが、何度も鳴るので実は獣脅しのためのプロパンガスを用いた機械であると結論付けた。
ダラダラ歩いて、尾之間歩道の入口に到着。尾之間温泉がすぐ横にあり、下山後に熱い温泉に入るのがいい。でも仕事中だからと、涙を飲む。でも隣にある足湯には浸って、今日の疲れをほぐす。
今回は20箇所の倒木処理+迂回路設置だった。壊れた古い看板の回収も多数。これでちょっとは歩きやすくなるはず。
尾之間歩道は、眺めのあるところはそんなにないけど、森の雰囲気がいい、なかなかいいところだった。次行く時は是非蛇之口滝の釜で泳いで、そして登山口の尾之間温泉に入りたいなと思った。