丹沢 小川谷廊下 沢登り

今週末は18(土)-19(日)で大荒川谷に沢登りに行く計画を立てていたのだが、土曜日の天候が悪く、大荒川谷は諦めることとなった。代わりに日曜日に日帰りで丹沢の小川谷廊下に行くことになった。メンバーは、大学時代に一緒に沢に行き続けたまっつん(大学の部活の同期)、そして今年に入って海沢、小室川谷と一緒に行ったコイケ君。
朝5:46新宿発の小田急急行 小田原行に乗って新松田へ。昨日までの不安定な天気とうって変わって非常に良い天気。7:04に新松田に到着。三名とも無事集合。そして、7:20発の西丹沢自然教室行のバスに乗る。谷峨駅でたくさんの中学生(←おそらく)が乗ってきた。小一時間乗って、8:10ごろビジターセンター横にある玄倉バス停に到着。登山届を出して、出発。
林道を小一時間歩いて、9時に去年小川谷廊下でばったり出会ったフジモト(大学の部活の後輩)に教えてもらった490mの入渓点に到着。思ったよりも早く着いた。ここに着替え等の荷物をデポし、沢に入る装備を整えて、9:15に出発。まずは広い川原歩き。砂防堰堤が出てくるが、左岸側にハシゴがついている。9:25に穴ノ平沢出合。ここから小川谷廊下に入る。
今回は水量は多くない。ただ、最近の出水でかなりの釜が埋まり、また滝の登攀ルートも一部では変わってしまっていると小川谷廊下関連のウェブサイトには出ている。どんな感じかなぁと思いながら進む。
早速最初の3m滝。僕、コイケ君、まっつんの順で、花崗岩フリクションを確かめながら慎重に右壁を登る。続く5mCS(チョックストーン)滝は、右を行くが、去年に引き続き流木は無くなったままで、まずは右壁の残置スリングに足を入れて上がり、その上は突っ張りで越える。コイケ君、まっつんには、流木をアンカーにして(過剰かもしれないが)アブミと手がかりスリングを出した。アブミはそんなに重いわけでもないし、一つ持っておくと便利なもの。慎重に登って全員無事滝を登り切りホッとした。
さらに続く6m滝は、僕とコイケ君は右壁を最後は木の根を使って登り、果敢に左壁に挑戦したまっつんは最後は詰まっていたので、アングルハーケンをアンカーにして手がかりスリングを出した。越えてきた下流を見ると、3m滝のところに3人組のパーティーが見えた。追い抜かれない程度に行くかと先に進む。
滝が連続する。5m・2mの2段滝は左壁を水流に向かって登り、左に斜上する。水流に向かう途中のホールドはいずれ剥がれ落ちそう。そうなると難しくなるのだと思う。上部は高度感があるので去年来た時はロープを出したけど、今回は何も出さずに越えた。
標高580mのワナバ沢を分けて、連瀑帯入口の6m滝に到着する。左壁に残置スリングが垂れているが、難しそう。最初のスリングまで掴んでみたが、難しそう&確保が面倒そうなので、ここは素直に巻くことにした。左岸を巻く途中で、男3人組のパーティーがいて、お助け紐で確保していた。ここは急なルンゼを残置スリングを掴みながら下りトラバースするのだけど、高度感は満点で、慣れていないと緊張するところ。そのすぐ先で河床に巻き下りた。ガイドツアーですか?と聞かれたので、部活の元同期と職場の後輩と沢に遊びに来ています、と答えておいた。ここは先に行かせてもらうこととなった。3m滝の裏側をくぐり右壁を登り少し進むと小川谷名物の大岩が出てきた。去年は大岩の右の滝が崩壊していたので、大岩に登る必要はなく右から通れたのだけど、今年はなんと滝が復活していた。ついでに大岩に長い残置ロープがつけられていたので、それを辿って大岩を登る。角度の割には滑りやすい。ロープがなかったら大岩は登れないなと思う。
少し歩いて石棚のゴルジュに入る。去年は大増水で冷や冷やしながら巻き、へつっていたところも水流沿いを簡単に進める(YouTube)出口付近の7m滝は、右壁を快適に越える(YouTube)(左からも登攀可能)。
さて、小川谷廊下の大滝、石棚2段20m滝(写真)。流石に登れないので、右岸の岩場を巻く。巻きは岩場の直登ルートと左に斜上してその後右に斜上するルートがあるのだけど、直登ルートの方が簡単だ。ただ傾斜はきつくて高度感もあるので、まっつんには念のため手がかりロープを出した。と、後方から渓流シューズだけ履いて、他ザックなどの荷物を何も持たないおじさんが歩いてきた。石棚の上で休憩した際に追い抜かれていったが、(何も持たないなんて)すごいですね!と話しかけたところ、何度か来ているから、との返事。こんなベテランもいるのだと思った。
その後は小滝・ナメを快適に進む。日差しがあるところは藻類が生えて白い花崗岩が茶色くなっている。このきれいな藻類が好きだ。途中の小滝でまっつんが果敢に直登にトライするが、敗退。その後僕がトライして何とかクリアー。こうした小滝登りは楽しい。
そして、あっという間に最後の難関、深い釜を持つ樋状8m滝!だが、釜は土砂で埋まって膝ぐらいの水深になっている!大きなヒキガエルが流れに呑まれて、この浅くなった釜をグルグルと回っていた。ついでに滝の一部が剥がれおちて、その破片が釜の縁に散乱していた。去年は順番待ちもあったので巻いた滝だが、今年は登ってみたいと思っていた。先にコイケ君に行く?と聞くと、いや、いいです、とのことだったので、僕がリード、コイケ君がビレイで、ロープを付けて滝に取りつく。
釜が埋まってしまっているので、取りつきは簡単だった。ただ、これまでは落ちても釜にドボン!で怪我をしないのが売りだったのに、こんなに浅いとそうはいかないので緊張する。水流のすぐ右に取りつく。1歩上がったところの滝の中間部のリス(ここもいずれ剥がれ落ちるかもしれない)にハーケンを打ちこんで、ランナーを取る。さて、と体を上げる。が、その先は上部にホールドはあるのだが、先に進むスタンスが全くない。中段から上のリッジ状を行くことを諦め、水流直上の樋状部分を突っ張って乗り越える。ここは少し緊張したが、突っ張り自体はそれほど難しいわけではなかった。
セカンドのコイケ君、そしてまっつんを確保して上げる。ロープを上に引き上げる際に、何故かハーケンに通してあったヌンチャクが外れて一緒に上がってきた。なんでだろう?いずれにせよ落ちなくてよかった。コイケ君はサクサク登って、まっつんはロープ確保されていることを最大限に活かした登りで登り切る。ハーケンの回収はまっつんにしてもらった(YouTube:コイケ君撮影)。みな登りきってホッとする。そして滝を登り終えた充実感がそこにはあった。
樋状8m滝のすぐ上にある崩れかけた石積堰堤を越えた先の遡行終了点の川原には12時前には着いてしまった。遡行2時間半。いいペースだった。川原で沢装を解いて、流木を拾って焚き火をする。まっつんが持ってきたベーコン、そして僕が持ってきた唐揚げを焚き火であぶって食べる。美味しい。ついでにスープと美味しいコーヒー・お茶を飲んだ。天気はすごく良くて、焚き火をしながら沢談義、山談義が始まる。おかげで心地よいひとときを過ごすことが出来た。
ダラダラと一時間以上を焚き火とともに過ごし、13:20に下山を開始。斜面を登り、中ノ沢経路と名付けられた作業道に出る。少し行くと崩壊しているので、右の斜面の上に続くう回路を進む。その後も所々で崩壊しかけている細い道を歩き、14時を過ぎて林道に出る。
荷物をデポした490m地点には14:20前に着いた。荷物をまとめ、15:06玄倉発のバスに乗るべく足早に林道を歩く。玄倉川には川遊び・BBQ客が多数いてかなりの賑わいを見せている。眼下の離れた川原には家族連れの他に、ビキニのお姉さままでいた。
時間が押してきたので最後の1km強はザックを背負ったまま小走りとなって、15:00に玄倉のバス乗り場に到着した。間に合った!急いで着替える。バスは結局15:10過ぎにやってきた。無事乗りこみ、新松田駅へ。新松田駅では、バスチケット売り場横の居酒屋で軽く打ち上げをやってから、解散。
家では相方が晩御飯を作ってくれた。平和なひととき。
小川谷廊下は三回目。沢慣れた面子だけで行くと本当に速く、気楽なものだった。まっつん、コイケ君、ありがとう。小川谷廊下は去年から今年にかけての出水のためか、滝の形が変わったり、あとはほとんどの釜が土砂で埋まってしまったという結構残念な変化もあった(おかげで泳ぐことは皆無だった)のだけど、磨かれた白い花崗岩花崗岩に磨かれた清冽な水からなるきれいな沢であることに変わりはないので、また機会があれば行ければと思う。


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