木曜日

朝からほぼ1日中打ち合わせがあった。昨夜は2時過ぎまで資料を読んでいたので流石に眠かったのだけど、読んでおいたおかげで議論が理解できてホッとする。
帰宅後、Kindle本の初注文を行った。
僕はKindleは持っていなくて、今持っているのは、iPad mini 2だ。近頃このiPadの電子本であるiBooksで本を読むのにはまっていて、この一ヶ月で読んだ本は30冊弱(おかげでブログ更新も滞り...)。前々から読みたいと思っていた池波正太郎鬼平犯科帳は全部読んでしまった。おかげで頭の中は時代小説風のフレーズがぐるぐると回っている。
学生時代は一時本の虫になったことがあって、大学の講義をサボって読みふけっていたこともあった。でも、近頃はもっぱらウェブからいろいろな情報を得ていたのだけど、やっぱり本を読むのは楽しいな、とつくづく思うこの頃。しかもiPadに全部入っているので、家でも通勤途中でも待ち合わせの合間でもどこでも読めるのがいい。
ただ、iBooks storeの品揃えはイマイチなので、欲しい本で手に入らないものもあって、どうしたものかなぁと思っていたのだけど、KindleをiPadで読むためのアプリケーションがあることにふと気がつき、何で今まで気がつかなかったのだろう、と今更ながら、ハードウェアとソフトウェアは一体と思っている1980年生まれのファミコン世代であることを痛感したりしたこの頃だった。
ともあれ、意気揚々とKindle for iPadをインストールしたのは良いとして、日本のアマゾンから本が購入できずに焦る。海外からは買えないらしい。そんな殺生な、と思いながら、ネットで調べると、住所を日本に設定することで問題なく買えることが判明し、東京の相方が住んでいる住所に設定したところで、先日は力尽き、その後は手が回っていなかった。
さて、パソコンでブラウザでアマゾンのサイトに行き、ログインして、本を選び、ポチッとボタンを押すとあっという間にダウンロードが始まった。その10数秒後には、iPad miniで本を読めた。すごいなぁ。
ちなみに、今回購入した初めてのKindle本は、かつて読んだことのある学研のまんがサイエンスシリーズのひとつ。学研の科学と学習の「科学」で(学習は取っていませんでした)、小学校5年生の時(1991年)に連載されていた「ロケットの作り方教えます」というもの。
小さな頃から乗り物、飛行機、ロケットといったものには興味があって、天体観測にも興味があった。空高く眺めた時に、この先には宇宙があるんだよなぁ、といつも思いを馳せていた。そして小学生なりにいろいろな本を読んで、宇宙船の中は無重力・大気圏突入時は高温になる・100数十km先からは宇宙といった知識はあったのだけど、でも、何故宇宙に行くと無重力なるのだろう?何故地球に戻ってくる際には大気圏突入という高温状態に達するのイベントが起きるのだろう?何故その高さからが宇宙なんだろう?といった理由自体はわからずにいた。そんな時に出会ったのがこの漫画だった。
この本は、宇宙からロケットの神様がうっかり落ちてくるところから始まるのだけど、その神様に出会った小学生2名が、ロケットが打ち上がる仕組みと宇宙開発の歴史を追体験していくストーリー(最終的にはアポロ計画に沿って月を往復する)。何故人工衛星は落ちてこないのか、といったことから始まるのだけど、まず主人公の男の子がボールを投げるエピソードがあり、それは弧を描いて地面に落ちる。もっと強く投げるとさらに遠くに飛んで弧を描いて地面に落ちる。それをもっともっともっと強く投げるとずっと遠くに飛んで行って弧を描いて地面に落ちるのだけど、地球は丸いので、それがあるスピードになると、地球の縁に従って弧を描いて落ち続け、落ちることなく、ぐるりと回って戻って来る。つまり、人工衛星とは、地球の弧に沿って落ち続けているもの。なるほどなぁ!!!!と感動したのは早20数年前のこと。そこから、空気の摩擦の話が続き、気がつけば、ロケットが宇宙へと上がっていく仕組みを追体験できる。
わかりやすく教えるとは、こういうことなんだと子供心ながらに強く感じたのもこの漫画だった。

そんな原体験があったので、高校時代に物理の力学が始まった際も、いよいよロケットの打ち上がる仕組みを数式で勉強できるんだなぁと最初から興味津々で、秒速7.9kmの地球周回のスピードが計算で出てきたときは、ついにあの漫画で描かれていた数字にたどり着いたと一人、三重県松阪市にある高校の教室の片隅で感動していたものだった。
あとは大学に入ってからは、航空宇宙工学科に進んだ部活(ワンダーフォーゲル部)の先輩から、山に向かう途中の電車の中で、焚き火等で使う火吹竹は空気の出口が狭まっている(ことで空気に勢いがついて効率的に送風できる)のに、何故ロケットのノズルは逆にお椀を伏せたような、出口が末広がりな形をしているのか、といったことを説明してもらったのが懐かしい。それまで考えもしなかったことだったのだけど、それも体系立てて説明してもらってすごくよくわかり、感動したことを覚えている。
そんなこんなで、今もロケット等にはいつも感心が高いところ。
ともあれ、この本は、子供に、宇宙やそこにたどり着く手段について学ばせる、興味関心を持たせるには最適な本だと思う。大人が読んでも読み応えがある。屋久島にいた時には、僕はこの本に書いてあったことを思い出して、同じ職場の方に人工衛星が落ちてこない仕組みを説明した記憶がある。ウェブ上の様々な評価を読んでも、この時のまんがサイエンスは神がかっている、といった評価に溢れている。20年以上前の本ですが、全く色褪せていないです。おすすめです。
何故その本を急に思い出したかというと、近頃、はやぶさ2が打ち上げられるということで、久々ロケットのことを考えていたのがきっかけ。その時に、ふと、そういえばあの連載内容はどこかでまとめられているのだろうか、と気になり始め、ネットで「ロケットの神様」で検索するとすぐに見つかり、そうかぁ、本になっていたんだなぁと嬉しく思った。ただ、iBooks Storeにはなくて、でもKidleでは読めることが判明して、約20年ぶり(最後に読み返したのは中学生の時?)に無性に読みたくなり、それで、Kindle for iPadをダウンロードすることになったという次第。
20年ぶりに読み返すと、自分でも驚くほどその内容をよく覚えていた。そうそう、このサターンVロケットのぶち抜きのページが衝撃的だったよなぁ、等感慨に耽る。この本の連載をリアルタイムで読めていたことは振り返れば幸せそのもの。そんな幸福感に浸ったひとときだった。