休日 Parc national du Mont-Tremblant Snow-hiking

6時に目覚ましをかけていたものの、起き上がったのは7時を過ぎていた。見ていたのは変な夢。かつて赴任したいた場所に突然再度赴任することが急に決定して、送別会で挨拶をしている夢だった。
パタパタと準備を済ませて、8時前にようやく家を出る。春になってカーシェアリングのCommunatoは、土日に予約を入れるのが少し難しくなってきた(冬の間は水曜日ぐらいに予約しても全然問題なかったのですが)。今日借りたのはいつもの二倍の距離にある駐車場にあった車。右のサイドミラーのカバーが外れているほか、車のあちこちに傷がついている。車内も若干ゴミが散らかっていたが、運転自体には支障がない。
8時15分に駐車場を出発して、モントリオールから北西方向に車で約2時間(距離150km)にあるモントランブラン州立公園(Parc national du Mont-Tremblant)へ。今日向かったのは、これまで5回訪れている入口ではなくて、そこから入口から50km程離れたところにあるPimbina sectorというところ。ここにもいくつかトレイルがあるのだけど、今日目指すのはこの中のMont-des-Cascadesというトレイル。一周すると距離8.8km、標高差370mで、カスケード山の山頂を越えた先に展望ポイントがある。何より惹かれたのが、このカスケード山には夏道がなく、積雪期のみ歩けるという点。雪が残っているうちに訪れたいと思って慌ててやってきた場所だ。地図はこちら (PDF)
さて、10時に公園入口に到着。今はちょうど季節の変わり目で、公園サービスは提供されていない。入口のビジターセンターはトイレを除いて閉まっていた。駐車場には他には公園管理用の車2台と一般の車が一台だけ。

曇天の中、出発。

スノーシューは念のため持っていく(履いてはいない)。平均すると50歩に1歩ほど膝まで埋まり、100歩に1歩ほど太ももまで埋まったのだけど、それ以上は苦労せずに歩いていく。もっともトレースを踏み外すと大きく埋まる。森は明るい。

雪解けで森のあらゆるところが水に溢れている。古くて太い切り株の根元からこんこんと湧き出る水。見ているだけで嬉しくなる。
このトレイルは、目印はピンクテープだった。わかりやすいのだけど、付け方がガサツで雰囲気を壊している。いろいろな種類・レベルはあれ、他のトレイルは統一された控えめだけどわかりやすい目印が付いていただけに(特にモントランブランは矢印のついたわかりやすい目印で統一されている)、その点はちょっと残念だった。


でも思い返せば、日本の登山道なんてそんなものだらけ。自分も屋久島にいた時は随分とピンクテープを使ってしまった。でも、景観・耐久性・統一感を考えると良い手段ではない。反省も含め、また一つ学んだなぁと思いながら歩いていった。
いくつもの小さな沢を越えるのだけど、既にスノーブリッジが落ちてしまってちょっとだけ回り道するところもあった。

登山道が傾斜を増し始めた頃、雪が降り始める。

そう今朝のモントリオールは天気が良かったのだけど、午後一時的に雷雨になる予報だった。雨ではなく、雪で良かった、と思いながら、暑かったので脱いでいたソフトシェルジャケットを羽織る。そうこうしているうちにどんどん降雪が激しくなる。こんな大粒の雪を見るのは今シーズンこれが最後だろうか、と思いながら、雪を踏みしめ、山頂に向かった。
山頂手前にある分岐を過ぎて、先へと進む。

カスケード山(Mont-des-Cascades )の山頂は森の中でどこがピークなのかわからない。そして、出発から2時間、無事ビューポイントに到着!

しかしながら、ちょうど降雪が最高に激しくて、展望はほぼゼロ!

時々微かに遠くの森の輪郭が見えなくもない気がしたが、目に入るのは手前の雪が積もった針葉樹ばかりだった。

まあこんな時もあるだろう。テルモスに入れてきた温かい紅茶を飲みつつ、パンをかじって、しばし、天から舞い降りる無数の雪を眺めた。
さて、引き返す。少しの時間の間に森はすっかり雪化粧されていた。

カスケード山の山頂付近では、トウブキツネリスを見かけた。街中でいつも見るのはトウブハイイロリスがほとんどだから、珍しいものを見たなぁとちょっと嬉しかった(でも撮影できず)。
山頂先の分岐点から先は、通ってきた道ではなく、Le Geai-Bleuという山小屋を目指して下っていく道を進む。

標高が下がるにつれて霧は消えていき、雪の代わりに弱い雨となる。
Le Geai-Bleuの手前で写真を撮っている方が一人いた。Le Geai-Bleuの中には別の方がいて休憩している。先ほどの方の連れだろう。

この先は道幅の広い川沿いのトレイルを歩く。もうすっかり俗世に戻ってきてしまったなぁと思いながら歩いていたのだけど、そのすぐ先に広い湿地帯・池があって、その眺めが良い。山の上には霧がかかっていて、あの上に一人でいたんだよなぁと思いながら眺めていた。

そしてその先でこの広い池が、ビーバーに寄って堰き止められて作られたものであることに気がついた。木が積み重なって作られたビーバーダム。ここまではっきりとしたものを意識しながら見たのは初めてだったので、結構感動した。

河川沿いの道では他に大きな鳥(キジの仲間?)に遭遇したが、逃げられてしまった。雨がぱらつく中、13:40に入口のビジターセンターに戻ってきた。
車に乗って、モントリオールへ。途中、高速道路に乗るまではかなり雨が激しかったのだけど、その先は雨は止んだ。ダウンタウンの直前で少し渋滞したぐらいで、極めてスムーズに戻ってくることができた。
このMont-des-Cascadesのトレイルは、静かな森が好きな人にはいいと思う。僕が訪れた日は天候が悪く視界が全くなかったので、それはちょっと残念だった。あと、目印はちょっと残念。そこを綺麗に統一したら、もっと素敵なトレイルになるのにな、というのが率直な感想。