故 加藤則芳さんを偲ぶ


今日は日本のロングトレイルに確かな足跡を残された、日本のバックパッカーの第一人者だった加藤則芳さんの命日。早いもので、加藤さんが旅立たれてからもう2年も経つ。2年前のあの日の衝撃は今も胸に残っている。加藤さんの死は早過ぎた。是非もっといろいろと話をしたかった。
こちらカナダのトレイルを歩いていても、時々加藤さんを思い出す。このトレイルをもし一緒に歩いたら、経験豊かな加藤さんだったら(景色、雰囲気、施設等々について)どんな評価が聞けただろうなぁと想像しながら、トレイルを歩いている。先週末にモンオルフォール州立公園のトレイルを歩いた時もかつて加藤さんが訪れたトレイルを遠望しながら、一人追悼していた。
夜更けに加藤さんの遺作となった「ロングトレイルを歩く」を読む(出版されたのは加藤さんが亡くなってから)。加藤さんのこれまでの人生を綴った書。この中の「『自然と遊ぶことで、自然を知り、理解して、愛する。愛することによって、自然を守ろうとする意識が芽生える』これは、僕の心の師であるジョン・ミューアが遺した言葉だ。」を見て、常日頃自分が思っていることは、ずっと昔から言われていることなんだなぁとあらためてぼんやりと考えていた。
震災後に加藤さんが取り組んでいたみちのく潮風トレイルもだいぶ形が見えてきた。同じく加藤さんが日本にロングトレイルを根付かせようと熱心に取り組まれた信越トレイルもまだ全然歩けていないのだけど、これら両方とも日本に戻ったら是非歩いてみたい場所だ。

旅立たれてもなお、故人の夢はきっと今もみんなの中で歩み続けているんだろうなぁ、と、2年前に思ったことと同じことを思い返しながら、物思いにふけった夜更けのひとときだった。


※写真は、2009年1月に雪の積もった屋久島花山歩道を一緒に歩いた時のもの