調査一日目

仙人峡を行く

まず仙人峡。その前に西達布川の湧水のところに行く。最近作られたという丸太のベンチにはキタキツネの糞があった。湧水とあって冷たい。水温は6.9℃。カワゲラの仲間がわりといた。加賀谷先生が捕虫網を振り回してはしゃいでいる(ように見えた)。嬉しそうである。捕虫網は振り回した後、頭から被って中の虫をエタノールの入った小瓶に回収するのだけど、傍から見ているとストッキングを被った怪しいおじさんに見えないこともない。僕はその横で、湧水の水生昆虫を集めていた。
続いて仙人峡の入口、砂防堰堤下流で採集。この砂防堰堤、副ダムと主ダムの間に魚道があるのだけど、副ダムと下流部の間に魚道がない。が、高さは1m弱あった。これでは魚は上れない。造った後、掘れてしまったらしい。役に立たない箱ものがそこにはあった。
林道で昼食を食べる。今の北海道演習林長の酒井先生は焼酎の瓶を水筒代わりに使っている。中に入っているのはただの水である。が、横から見るその水筒で水を飲んでいる姿はアル中のおじさんそのものだった。酒井先生は森林利用系の教授で、ほんわかしていて親しみやすい人。が、学部時代、農学部に進学してから唯一取ったD(不可)が酒井先生の授業だった。まあ、真面目に聞いていなかった自分も悪いのだけど。試験で、林道について書く欄があって、大学三年生当時、沢登りのアプローチで4〜5時間の林道歩きなんてしょっちゅうしていたから、林道について考えることはたくさんあって、林道の悪口もたくさん書いておいたのだけど、それが試験の趣旨に反したのだろう。でもいい人だよ。その性格が研究という面においていいかどうかは僕には良くわからないけど。
続いて上流に行き、途中からバスを降りて沢の中を源頭を目指して歩いて行く。ナメが多かった。ツキユキノシタという高山植物の一種がたくさん生えていた。地味だけどわりときれいな沢ではある。巨大なフキの中を掻き分けて進むと、最初の一滴にたどり着く。そこは湧水で、水が湧き出していた。源頭ではクマゲラが鳴いていた。水のサンプルを取って、万歳三唱をしてから下り始める。僕とユッキーと加賀谷先生は沢登りをする人間だから沢タビを履いているのだけど、他の人は長靴。歩くスピードが全然違うので、早めにさっさと下ってきた。
帰りのバスの中で芝野先生と話をする。日本人とは不思議なものでバスの中で外の景色を眺めたりせず、よく寝る。日本人は目的地の途中を楽しまない。勿体無いじゃないか。そんな話をする。その部分には共感する部分があった、というか、よく言われていることではある。翌々日の夕方僕は笑った。何を意味するのかよくわからない人は翌々日の日記を見てみよう。
夜は近くの店に食べに行った。僕はラーメンと餃子を頼む。
その後、会議。そのまま飲み会に突入し、この日もビールをたらふく飲んだ。
夜、明日の昼飯のおにぎりを作る。
風邪は少々ひどくなってきていて、前日に続き、この日も一時間おきに目が覚め、たんを吐いた。