調査五日目

記念撮影

予定より早く調査が進んだので、今日は奥ノ沢という来年行く予定の沢の下見に行く。途中、大きなアースダムがあり、水が溜まっていないので、完成間近か、なんて思っていたら、二十年前に完成したが、漏水が激しく、水を抜き、それ以降、漏水箇所を調査し続けているらしい。ダムの底にはたくさんのボーリングがあった。そしてハンノキやらヤナギやらの立派な木が生えている。三十年前にダムのために伐採したらしいのだけど、それからここまで成長したのだという。いや、本当に無駄なものって感じ。
奥ノ沢の下流部でマイクロバスを降りる。ここから先はジープで行く。二台のジープに一度に全員は乗れないので、最初の便を待っている間に、釣りをするとアメマスが釣れた。
ジープは少し荒れた林道を、難なく越えていく。
沢に入ると、傾斜が緩く、両岸に笹が生え、ナメなどはない、小さな冴えない沢。先日までと違い、シュレッダー(落葉食水生昆虫)が多いようだ。水涸れするところも冴えなかった。昨日までが爽やか過ぎた。
水が涸れたところの先で、皆で昼食を食べた。雨が降り始める。北海道の山奥の何でもない美しい森の中。もう僕がその地を訪れることはないのだろうな・・・と考えると何だか少し寂しい気持ちになる。
戻って、皆で記念撮影をしてから、ジープで戻る。僕は持っているポシェットやらかばんからいろいろなものを出すので、ドラえもんみたいだ、と複数の人から言われた。我ながら野外調査のときに痒いところに手が届くグッズは持っているなぁと感心する。
残りの人を待っている間に、ユッキーが釣りをするが、まだ慣れていなくて、地球を10回ほど釣上げていた。アメマスは釣れず。本人は、会津の沢で一匹、上越かどこかの沢で二匹釣ったんですよ、とつい最近自慢していた。イワナって簡単に釣れますね、と。人のあまり入らないところでやる渓流釣りは面白い。釣れるから。僕が父親に連れられて渓流釣りをし始めてから、初めての一匹を釣上げたのは確か三年ぐらい後だった。父親はもう少し釣っていたけど。当時よく行ったところの魚はスレていて全然釣れず、父親も、渓流釣りを昔からしていたわけではないから、仕掛けも餌も未熟で、場所もあまり良くなく、二人で釣れないなぁ、と言いつつ、カップラーメンを食べてよく帰ってきたものだった。あの時の父親との連帯感というか、ほとんど父親任せではあるのだけど、頼りになる父親というか、そうしたものは懐かしい思い出。川で遊び始めた時、海辺育ちの父親は川のことはよく知らなくて、川に詳しい親戚のおじさんにアドバイスを貰いつつ、いろいろ試行錯誤した。渓流釣りに限らず、鮎を獲るための投網、タモ、しゃくり(ひっかけ)etc.一緒によく遊んでもらったなぁ。
今はそれ相応の仕掛けと餌と、ポイントを知っているので、渓流釣りに行くときちんと釣上げて帰ってきている。この夏は行ければ一緒に行きたいと考えている。
さて、戻ってきて、解散。かじことユッキーと三人で富良野のチーズ工房に行き、晩飯前にアイスクリームを食べ、戻ってきて、飯を食べ、その後、飲み会。宮本さんと酒井先生の軽妙なやり取りが面白かった。その話を信じている浅野さん(演習林助手)の反応はもっと面白かった。何だかんだ言って、結構連帯感が生まれた調査だった。
夜、明日からのカヌーの準備をする。
11時を過ぎる頃、早々と寝た。