秩父へ

朝五時過ぎに起きて、シャワーを浴び、調査に行く準備をして、5:50に家を出る。秩父へ。今日も昨日に引き続きいい天気。早朝のまだ車の疎らな都心をバイクで駆け抜ける。割と早く進めて、八時には秩父の演習林の事務所に着いた。鍵を受け取り、山奥を目指す。
途中カインズホームというホームセンターで買物。実験に使うものをいろいろ買う。ついでに折りたたみのノコギリも買う。ノコギリは前から欲しいと思っていた。が、買う機会を逃し続けていたのだけど、今回いいものを見つけたので買った。少々値段は張ったのだけど、軽くて(162g)切れ味が抜群にいい。刃渡りは6寸。調査地に着いてから通行に邪魔な倒れた木があったので切り落としたが、今まで使ったことのある安ノコギリと比べて信じられないぐらい良く切れて、買ってよかったと何度も頷いた。
さて、山奥に着くと、水は増えたまま。濁りもまだ残っている。結構な増水があったのだろう。先日沈めた実験用の落ち葉が流されてないか不安になった。現場に着き、見ると流されていなかったのでほっとする。それから実験用の水道を引く作業をひたすらやっていく。水は冷たい。水を引いてきている淵も増水していて、泡立っていて深さがよくわからなかったが、入ると腰ほどの深さ。そこに手を突っ込み、詰まった水道のメンテナンス。全身が濡れて少し震えた。その後も、ずっと作業をやっていた。落葉はまだ進んでいないが、山には秋の気配がどことなく漂ってきた。
宿舎のあるところまで戻ってきて、まかないのおばさんと話をした。そして戻ってくる。
東京には夜の七時半ごろ到着。前から飲みに行こうと話していたワンゲルの後輩と本郷三丁目さくら水産に行く。ここのおばさんは僕のことを覚えていて、お兄さんまた来たねぇ、と話してくる。そんなに来ているわけでもないのだけど・・・・
今回飲みに誘ったのは、ワンゲルの三学年下の、今、クラブの執行学年の大学三年生で主将をやっている、松野下という奴。どういう奴かというと、いい奴、その形容詞が似合うかも。クラブの組織運営も、なかなか面倒で、悩むところも多いから、執行学年も半分過ぎたこの頃に、何かアドヴァイスが出来ればなぁ、と誘った。パクパクいろいろなものを食べながら、ビールを飲み、豆乳割りを飲み、ウィスキーを飲み、いろいろ話をしていった。自分も何とかクラブをより楽しいものにしたいといろいろ試行錯誤していたあの頃が懐かしい。休学してアジアを少し彷徨ってきたいと思っているのですが、そう彼は話していた。まだ他の人にはあまり話をしていないらしい。来年、学部のときに休学するか、再来年、修士に行ってすぐに休学するか。行くのなら、早いほうがいい、そう話をしておいた。義理深いやつだから、クラブも放っておけないよう。でもそれは何とでもなる。ワンゲルは今まで個人が勝手にどこかに行くことが、どこか後ろめたさがあったが、最近は個人山行も流行っているらしい。松野下も先日行った屋久島の企画の後に、一人で藪を漕いでマイナーピークに立ってきたらしい。岩場があって懸垂下降もあって、個人山行が初めてだった彼には大冒険だったようだ。クラブも変わったなぁ、と少し感慨にふける。個人個人の自立、そういうことを言い続けて来たからな。ただ、それが今は個人の満足で終わっているのが残念。個人で行った旅も、みんなでその楽しさを共有できるようなクラブにしていきたかった、その理念を松野下に伝えておいた。方向としては間違ってはいないと思う。
十一時半を過ぎて、研究室に戻ってくる。朝も早かったし、作業も疲れて、その上ビールを飲んだからフラフラだった。研究室の折り畳みベッドを出してきて、横になるとすぐに熟睡した。