先日こっそり演習林に行った

ので,黙っておこうと思ったのだけど,熊を見てしまったために,これは報告しておこう,そう思い,石田先生にメール。メールをしなければ,という思いの中には,お世話になっている秩父の人々とクマの事故を防ぐためにクマ情報は知らせるべき、ということの他、jeconetというメーリングリストで,日本熊森教会のことが話題になっていたことも頭の中にはあった。この日本熊森協会、熊の餌として,どんぐりを奥山に送ろう,贈ろうとしているのだけど,その行為自体が問題だらけなのだ。そのことでjeconetで大いに盛り上がっていた。その中のメールの一部を,この日記の「続きを読む」以下にちょっとばかりコピペ。数々流れたメールの一つの一部ではあるのだけど,興味ある人は読んでみてください。しかし,こうした具体的なことにさえはっきりとデータを示せない生態学の無力さ。いや,そこを何とかしたいと思う気持ち。具体的過ぎる内容だけど,そうした熊と食量(←漢字注意)の関係についてなどの基礎的データが欲しいな,そう思った。この協会の行為は論外だけどね。
話が逸れた。で,石田先生にメールを送ると,情報はありがとう,が,こうした行為は今後厳に謹んで頂きたい,と以下お怒りというか,心配故というか,社会的責任というか,そうした趣のメールを受け取る。結構長々と書かれている。こうした時にはいくら自己責任を主張しても,聞いては貰えないのだろう。返信が面倒なので,とりあえずそのままにしておく。
自分の行為に対して,他に責任を取ってもらおうなんて考えない。ただ,何かあると親は騒ぎそうだ。損害賠償なんて請求したら僕の魂は浮かばれない,なんて趣旨の紙を机の上にでも残しておこうと思った。
今回は,あの状態で山に行くと言っても,止められた可能性も大だ。信頼関係の問題ではあるのだけど,敢えて演習林を通さない方が,何かあったときに責めを負わないと言えるだろうか?少なくとも監督責任は緩和される気がする。難しいところではあるけど。
夜,他の研究室に話をしに行くと,話に花が咲き,久々長々と話し込んでしまった。

#以下,Jeconetの引用。

例のドングリとクマの件の続報でございます。

私以外にも、熊森協会に対し、抗議メールを送られた方もおられると思います。その
せいか、「以前から、自然生態系に与える影響については、調査している。今回のド
ングリまきは、検討に検討を重ねた上での行為である」との文章が最近掲示されまし
た。おそらく皆さんも同様の発想を持たれたと思いますが、同協会に対して以下の質
問状をメールにて送りました。


1:本日あたりから、「ドングリを置くに当たって数年前から科学的調査を行ってき
て、検討を重ねた上で実施している」とHPにありますが、これに関しては、より詳
細な調査内容およびその考察を公表された方がよろしいかと思います。森林生物の専
門家は、この文章だけでは納得しないと愚考いたします。単に「調査して、大丈夫と
の結論を得ました」だけでは、説得力はありません。

2:数年前から、生態系に与える影響を検討してきたと言うことですが、外部の人間
から、ドングリに入る虫の国内帰化の危険性を指摘されるまで、煮沸等の処理をしな
かったのはなぜでしょうか?

3:貴協会の顧問によりますと、集めたドングリは、煮沸をせずに水漬→日干し
等の処理を行うとのことでしたが、その詳細な手順をHPに公開されますようお願い
申し上げます。極論すれば、「その手順がまことに理にかなったものであり、確実に
ドングリの発芽能力を失わせ、中の虫が水死する」と言うことが明らかにされれば、
外部からの反対的な意見は半減するかと思います。エサをまく行為そのものに関する
批判は、また別にあるかとは思いますが。

4:福井県に送られたドングリは1000キロ近くに及ぶとのことでしたが、これら
は3で述べたような処理は全てされているのでしょうか?


この手の団体の常套手段でしょうが、ダンマリを決め込んでおり、未だ返答はありま
せん。ただし、そうこうしているうちに、本日福井県のドングリ受付窓口の方から電
話があり、福井県大野市にまくとの情報でした。今日は国有林を管轄する森林管理署
などと対策を練ったところです。ただ、私有地に置かれると、行政としてはどうしよ
うもありませんが・・・。

特にここで問題提起したいのは、「ドングリの処理」に関することです。協会の顧問
は「水漬&日干しをベースにした処理を行う」と私に電話で言い(詳細な手順はHP
で公開されていないので不明)、協会本部は「煮沸して置く」と福井県庁にて発言い
たしました。しかし、協会本部が、福井県の窓口になっている人に送った手紙の写し
を読みますと(この方のご厚意で写しをいただきました。私や研究者に対する悪口が
連なっている手紙ですが)、一種の内部資料である以上、協会のホンネが赤裸々に語
られています。なお、この手紙の著者は、森山まり子会長です。これによると、「ド
ングリは煮沸しない」と書いてあります。どこかの国の法務大臣の答弁のように、種
子の処理に関しては、協会の発言はくるくる内容が変わっております。内部での意見
がまとまっていないとの見方もできますが。この文書の内容の一部を紹介すると、

1:ドングリは煮たくない。ビタミンが失われるからだ。

2:ドングリにつくゾウムシの件だが、都会と奥山では環境が違う。奥山に運ぶこと
によってゾウムシは死滅する

3:山にまいたドングリは、クマ以外の生き物が食べてもよい。ネズミが食べて、増
えてくれれば、それを食べるキツネやテンが増えて、いいことにもなる。

4:都会のドングリをネズミがどこかに埋めて、たとえ芽を出しても、都会と山奥で
は気候が違うので、育つことはない。

5:農水省はスギの遺伝子操作をしている。こんな中で、「重箱のすみをつつく」こ
とは無意味

6:山にドングリを置く以外にクマを救える方法があるのか?

7:自分では何一つせず、議論をうっかけて楽しんでいるのが、日本の研究者である

非常に「おもしろい」見解です。最後の7は、単なる悪口で、ここにあえて記す意味
があるのかという方もおられるでしょう。でも、協会のHPの、特に外来種に関する
見解の箇所を見て頂けるとわかりますように、協会は研究者に対し、非常に嫌悪感を
持っています。そういった団体に対する付き合い方は・・・・・・ブラックバス擁護
派と日々戦っている方のご意見を求めたいです。

以前、話題に出したマスコミ対策ですが、福井新聞や福井NHK福井テレビには、
「報道するときは慎重に。どうしても報道するなら、専門家の反対意見も同時に流
せ」との要求を行いました。このうち、福井新聞は「今回の協会の行為は自己満足行
為だ」との「正しい」見解を持っておられ、心強いかぎりです。なお、NHK仙台
は、最初、この協会の行為を報道しようと考えていたみたいですが、専門家の間で反
対意見が強いことを知り、報道をやめたようです。皆様もマスコミに対する働きかけ
をぜひともお願いします。マスコミを動かす連中に対抗するには、こちらもマスコミ
に売り込むしかありません。

#以上,引用でした。著作権上問題あるならすぐに消します。