秩父へ

秩父の夕暮れ

眠い頭を揺り起こして、何とか五時前に起き上がり、荷物を詰め、六時前に家を出発。秩父へ。寒い。冬になりつつあることを実感。毛下(化繊のアンダーウェア)を上下着て、上はズボンをはき、バイク用のオーバーパンツをはく。上は化繊のTシャツを着て、その上にダウンインナージャケット、ゴアの雨具×2着ているのに、バイクとは恐ろしいものでそれでも体は冷えていく。途中通る正丸トンネルは、排ガスはいやだけど、暖かいのでほっとする。事務所に着き、手続きを済ませる。先日も会った別の研究室の方が二人いて、「Webに日記を書いていますよね」と言われて、びっくりしてしまった。何だかんだで偶然僕のウェブサイトにたどり着いた人が研究室にいたみたい。あまり正体のわかっていない人に、自分のことを知られているのは、なんだか照れ臭かった。
途中、食料を買って、川俣へ。荷物を自炊宿舎に降ろして、山奥に向かった。途中の林道で鹿ニ頭と、ヤマドリ二羽にばったり遇う。ヤマドリは美味しそうだった。
今回は先日セットしておいた実験のサンプルの回収。ついでに片付け。まず、片方のサンプルを回収し、一旦下に下りて冷凍庫へ。戻ってきて、別のものの回収。何をやっているのかを簡単に書くと、渓流域では落葉リターがエネルギーの多くを占めていて、リターの分解は大事なのだけど、リターの分解を行う底生動物種というものは多岐に渡る分類群でたくさんの種類がいるのだけど、そいつらが、一種単独でリターの分解を行うよりも、種数が増やした場合にリター分解がより速まることがわかった。種数が増えると、物の流れが速くなる。でもどうしてそんなことが起こるの??は、ブラックボックスだから、そこの仕組みを知りたくてやってきた実験の数々。今回で一段落。ほっとする反面、なんだか寂しい。
回収した別のサンプルも一旦宿舎の冷凍庫に入れに戻り、それから再び山に行き、残りの作業をやった。
バイクを停めてあるところにカエデはもう葉が散ってしまった。森の中は閑散としていてどこか物寂しい。暗くなりかけた頃、一段落して、戻って来る。
戻ってくると、今日宿舎に一緒に泊まる別の研究室の二人方は戻ってきていて、ご飯を作っていた。まぁまぁ、まず一杯どうぞ、と言われてビールを一杯頂く。うまい。今回夕食が豪華だった。キノコご飯に、キノコたっぷり野菜炒めに、キノコたっぷり味噌汁に、ホルモンに。一人のときは地味で質素な食事も、人がたくさんいて、豪華になると楽しい。話を聞いていると、どうやら相当僕の日記を読み込んでいるような・・・・暇だなぁ・・・いやいや、恥ずかしいばかりです。はい。相手は僕のことを良く知っていて、こちらはあまり知らないので、密かに照れていたのだけど、日記を熟読してくれていた人の出身中学高校がムサシだと聞いて、急に納得し、急に相手のことがある程度わかった気になって、急に親近感と安心感が出てきてしまった。研究室の先輩・同輩等に何人かムサシ出身の人がいるのだけど、みんななかなかユニーク。人間、何かの属性を与えられると、急に何かを理解した気になる。逆に言えば、何かにカテゴライズされないと、よくわからんということか。既存のカテゴリーではなくて、新しいカテゴリーを作る面白さと大変さ。そんな新しいカテゴリー作りのことを少しでも出来ないかな、話をしながらそんなことを考えていた。
もう片方の方はナイフマニアの気があるらしく、話をしていてとても楽しい。僕は道具マニアで、ナイフもかなり好きで、いろいろこだわりがある。確かに一歩間違えれば危険なモノだけど、刃物は素晴らしい道具。ナイフ好きです、というと怪訝そうな顔をする人が多い中で、ナイフ好きな人がいるのは、なんだか嬉しかった。
ナイトライダーやら、エアウルフやら、ランボーやら、ヤッターマンやら、そんな話をしてから、寝た。