秩父へ

荷物満載のバイク

いつも通り寝不足だ。五時前に起きるつもりだったのに、目覚ましと格闘し続けて、結局何とか起きたのは5:45。眠かった。気を取り直してシャワーを浴び、ささささっと準備をして、六時半前に出た。
いつも通り、東吾野の駅を過ぎた先のサンクスで、朝食に飲むヨーグルトとサンドウィッチを買う。レジのおばさんは、いつの頃からか、いってらっしゃい、と言うようになった。正丸峠に近づくにつれて気温は下がり、ちょっと寒い。トンネルを抜けて、秩父へ。いつも寄る横瀬町ENEOSのGSへ。ここで働いているおじさんとは、昨年の秋から顔見知りで、毎回話をする。寒いねぇ、気をつけて、ところでいつまで秩父に通うんだ??と訊くので、今回でとりあえず一区切りです、と話すと、なんだかちょっぴり寂しそう。
演習林の事務所で手続きを済ませて、途中のスーパーで少しだけ買物をしてから、自炊宿舎のある川俣へ。駐車場のところにチヨさんがいて、寒いねぇ、宿舎で休憩してから山に行きなさい、そう言われる。チヨさんは昔演習林でまかないをやっていたおばあさん。加賀谷先生が学生の頃お世話になったおばあさんだ。腰が曲がっていて、ヨボヨボと歩くのだけど、頭は本当にはっきりしている。加賀谷先生、新居で暮らし始めましたよ、と話を振ると、それは良かったねぇ、加賀谷先生と奥さんと元気にしてる?、加賀谷先生が学生の頃は私に「俺は結婚なんて出来ないですよ」なんて言っていたけど、やっぱりそんなことはないねぇ、いい人見つけたねぇ、そんな話をする。宿舎に荷物を置くと、寝不足とチヨさんの言葉からか、少し寝てしまった。起きて、入川の支流、矢竹沢の所に行った。
今回は片付け。本当は一つ、実験をしようと思っていて、そのために張り付く必要があったからシュラフやらマットやらガスストーヴやらいろいろ持ってきたのだけど、片付けの作業をしていると、そんな暇がないことに気がついた。まあ、いいだろう。初めて妥協してみたりする。沢を歩くと、今日も元気にイワナがそれぞれの淵で泳いでいた。
実験に使っていた手作りの水路の水を抜き取り、川で洗い、干す。いろいろなところに張り巡らせたビニールロープを解き、まとめる。土の中にまぎれているごみを拾う。水を引くためのパイプを外してまとめる。ガスバーナーで曲げた塩ビパイプは、再びあぶってまっすぐにしておいた。落葉や落枝が水路に入らないように、岩肌の木と木の間に二年ちょっと前から張ってあった目の細かい網には落葉が溜まり、下の部分はもう土となっていた。春になるとハシリドコロ(毒草だけど;食べると目がやられる)が咲いていたっけ。崩すと、その溜まり土となった場所からは、土壌動物がたくさん出てきた。こうやって土が出来ていくのだと今まで以上に実感。物質循環。土を手にとって、匂いをかぎ、なんだか感慨に耽っていた。
まとめたパイプと、水路に使っていた衣装ケース六箱を持って、バイクへ。何とかくくり付け、宿舎まで運ぶ。およそ5kmの林道。宿舎では小河さん(まかないのおばさん)に挨拶して、またすぐに山に戻る。そうそう、今まで、小川さん、と書いてきたけど、これは間違いで小河さんだったと今日気がついた。河、とは大きい川を表すから、小河というのは形容矛盾というか、面白いと思う。でも大川さんという人も知り合いにいるし、まあそれはそれでいい気もした。
作業をしているとあっという間に夕暮れ。水を引くためのホースも引き上げ、ぐるぐると巻いてまとめる。ヘッドランプを出そうとザックを見ると、ない。しまった、宿舎に置いてきた。こんなの初めて、慌てて荷物を運び、バイクにくくり付け、宿舎へ。すっかり暗くなって、月明かりに森が静かに輝く。荷物を降ろして、ライトを持ってから、また山へ。荷物をバイクに結びつけ、三度下る。が、途中で林道を走る振動からか、荷崩れして、荷物を落としてしまう。プラスチックの衣装ケースは木っ端微塵だった。中に詰めていたホース約60m分を積み直して、宿舎に向かった。
夕食はいつものように豚ホルモンと、もやしと、ご飯と、味噌汁と、ビール!うまいんだなぁ、これが。カセットコンロを出してきて、焼きながら食べる。いろんなことがあったなぁと、ビールを飲みながら感慨にふける。部屋に煙が充満して、時々窓を開けて喚起しながら食べる。美味い。最近、ダイエットをしている、なんて研究室の後輩に話をしていたのに、今日の夕食の豪華さは何だ。ホルモン500g、ビール2本、ご飯茶碗4杯、・・・・流石にヤバイと思って、飯食った後は、腹筋をやった。酔いが回って気持ちハイテンション。風呂を沸かして、湯船に浸かって、ふぅぅぅぅっ、と息を吐くと、体がポカポカ温まった。
NHKの「難問解決!ご近所の底力」を見てから、寝た。