秩父、荒沢谷、ゴミ拾い

朝、はっと目が覚めると六時だった。起きる予定の時刻を30分オーバーしている。慌てて飛び起きて、準備を整え、6:20に家を出る。雨が降る中、バイクを駆って秩父へ。たくさん着込んだから、そんなに寒くない。どのぐらい着込んだかというと、上は厚手の化繊のアンダーウェア、化繊のTシャツ、ポリエステルのシャツ、ダウンインナージャケット、ゴアの雨具×2、下はトランクスに、化繊のアンダーウェア、ズボン、バイク用の厚手のツーリングパンツ。昨年まで通い続けた秩父への道。懐かしかった。正丸峠を越えると天気は回復し、秩父の空に青空が広がる。高い空に舞う白い雲の輝き。
西武秩父の駅で待ち合わせ。今回は瀬音の森の裏部会である源流部会による、秩父の荒沢谷のクリーン作戦。メンバーは、僕の他にオームラさん、チョーナンさん、ミキさん、フジキさん、そして現地集合だったヨシセさん。先月の沢胡桃のキノコ山行の際にチョーナンさんに誘ってもらった。
さて、荒沢谷の出会いに着き、準備を整え、沢に入る。早速朽ちたバッテリーの残骸。そして、餌箱、カン、ビン、ポテチの袋など、拾っていく。紅葉の時期で、非常に沢が美しかった。この荒沢谷は、ニホンオオカミが残っているのでは、とも言われている沢であるが、非常に美しかった。森がきれいだ。素晴らしい。大きな木、そして倒木。長らく沢登りをしていなかったが、やはり沢はいいものだとあらためて思った。
落ち葉に隠れてゴミがなかなか見つからず、たまに見つけるとそれはそれは大変嬉しい気持ちになる。皆さん、釣り大好きで、本当に森と川が好きそうだ。ヨシセさんは高校の先生だがキノコに無茶苦茶詳しい。倒木に生えるキノコを指差し、これは何ですか?と聞くと、それはヌメリツバタケモドキの老菌です、とぱっと出てくるのがすごい。気がつけばどこかからナメコを取ってきていた。
中流部のベニガラの滝を巻き、その上の連曝帯は、簡単な岩登り。でも初心者にはせめてヘルメットぐらいはあったほうがいいかもしれない。今回は何も無しだった。
その上流部の森の美しさ。かつて伐採の入った二次林ではあるのだけど、昔から夢見ていたような林だ。太いトチノ木、葉が落ち見渡しの聞く林の中、ふんわり積もった色とりどりの落ち葉、差し込む日差し、流れる水は清らかで、本流の横には、その積もった落ち葉の合間を縫って流れる細い流れ、そこから奏でられる水音、見上げてれば青い空、そして澄んだ空気、風。こんな場所でツリーハウスを作ってのんびり過ごせたら最高だろうなと思う。
それにしてもこの居心地のよさは何だろう。面子も川好きで、さっきの淵でイワナを見たとか、この淵で37cmのイワナを釣り上げたとか、キノコがあるとヨシセさんは撮影し、わからない木があるとオームラさんに訊くと何でも教えてくれた。なかなか。
井戸渕まで進み、そこから戻り始める。行きはゴミ拾いだったが、帰りはキノコ狩りとなる。肝心のゴミだが、釣り人が残したものの他、林業のゴミ・・・一升瓶、チェーンソーのマシンオイルの一斗缶が落ちていて、潰してザックに詰める。油圧ジャッキの残骸も落ちていて、それも拾ったがゆえ、僕の拾ったゴミは25kgほどになった。
夕暮れに荒沢谷出合に戻ってきて、拾い集めたゴミの戦利品の前で記念撮影した後、ヨシセさんを除く面子でキャンプ。大きな焚き火をして、その横でBBQ。オームラさんの買って来てくれたホルモンがうまい!いや、激ウマだった。感動した。秩父のホルモンと言えば高砂のホルモンだけど、このホルモンも最高だった。みんなでうまいうまい言いながら食べる。ビールも美味かった!今日採ったナメコも焼いて食べたが、これがまたなかなか素晴らしかった。
月が明るい夜だった。やがて月が沈み、そしてオリオン座が上がってきた。もうそんな季節なんだ、と痛感する瞬間。空に還っていく焚き火の炎を眺めながら、緩やかに時を過ごす。夜中二時を過ぎて焚き火の傍で眠りについた。