木曜日、初出張

朝五時半過ぎに起きる。眠い。頭クラクラ。12月。師走。最近布団の中から抜けるのが少しずつ辛くなってきた。ぼんやりと布団の中で6時まで過ごす。6:20に家を出て、一途向かうは奥多摩鳩ノ巣駅。所沢で乗り換え、小平で乗り換え、拝島で乗り換え、青梅で乗り換え、と乗り換えたくさんだった。途中から課長と同じ電車となり、寒いですねぇと話をしながらうつろうつろと鳩ノ巣駅に行く。スタッフの集合予定時刻の30分前に行ったが、T課長補佐はもう来ていて、森林ボランティアの方と既に下見を済ませてきていた。秋晴れの澄んだ高い空だった。
今日は、大臣の森林ボランティア視察。視察と合わせて間伐も行なう。議員も二名参加ということだが、そのうちの一名がSGMR議員ということもあって、テレビを始め、マスコミが続々と集まり始める。SP、警察がぞろぞろといて、どこで大臣が車から下り、どの道を歩くのか、打ち合わせていく。大臣も議員も森林ボランティアの方々もみんなナタとノコギリを持つことになるのだが、大臣、議員の周りにこんなにも刃物が溢れることなんて滅多にないことなのではないだろうかと思った。
周辺の集落では大きなニュースらしく、取り巻きがいた。道端で車の誘導をやっていると、もう大臣は来ましたか、と複数名に尋ねられた。
さて、大臣、議員の先生方もやってきて、ゾロゾロと山に向かう。ヒノキの植林地。その中の一本の木をノコギリで間伐する。テレビリポーターが、「スギの林の中に来ています」云々と言っていたのが面白かった。日本人の大多数は、スギとヒノキの区別もつかないのだろうなと思う。
植林地の現場としては割となだらかな方なのでだけど、それでも急といえば急で、移動に苦労されている方もいた。リポーターがハイヒールで来ていたのには泣けた。お疲れ様です。SGMR議員もノコギリで一生懸命木を切っていた。その一挙手一投足を追うマスコミ。それも辛いだろうなと思う。ただ、山登りはあまりしたことがないのか、あんまり歩きなれていない気がした。ほんの少しの高台の風景に「すごいなぁ」と呟いていたので、お疲れ様です、と声をかける。
最後に薬師堂(地元の方々は薬師様と呼んでいた)のところで取材。いろいろ話をしていたが、実際植林の作業というのは面白いと思う。ニートと呼ばれる方々をうまくこうした作業に活かしていけないか、それは考えるが、しかし、そうした方々は喜んでやってくれるだろうか?研究でもそうだったが、フィールドワークというものは面白いが、時に非常に辛いものとなる。好きでないとやっていけない、やってられない部分がある。それはどんな職業であってもそうなのかもしれないが・・・。それはともかくそうした取組はどこが率先していくのかな?まさかうちでやる気じゃないよな、と少々の疑問、危惧。
無事終わり、大臣、議員は引き上げ、片付け。今回R庁に出向中のS課長が来ていたが、話をすると、こちらのことを知っていてびっくりした。話を聞くと、昨年の僕の面接の時には本省にいて、その面接官の一人だったらしい。どこかで見たことある方なんだよなぁ、と思っていたが、そういうことだったんだ。急に親近感が湧きまくり。元気にしているかね、と聞かれ、日々の業務に忙殺されながらも元気にやっております、とこたえるとご苦労さん、とのこと。
昼は、T課長補佐と、関東のS所長と、H自然保護官と、Nアクティブレンジャー(AR)と五名で食べに行き、その後、日原にある「森林館」の見学に行った。ARは年齢が同じぐらいで、いろいろ話をした。大学では昆虫をやっていたらしく、森林館にあった蝉の抜け殻を見て、これは○○ゼミのオスです、これは△△ゼミのメスです、と解説してくれた。
師走に入った日原の集落は、木の葉も大分散り始め、差し込む陽は弱々しく、冬の到来を告げていた。
奥多摩駅から電車に乗り、職場に戻ってくる。作業着のまま机についていると、誰だかわからなかった!という方多数。その方が余程似合っているよ、との女性からの言葉に気分を良くする。審議官とトイレで出会って、どうしたんだその格好は、というので、今日初出張だったんですよ!というと、何だ、まだ出張行ったことなかったのか、どんどん行って来い、とのこと。予算の残っているうちに、今度行かせて下さいと頼んでみよう。
早く帰れるはずもなく、結局日付が変わる頃まで働き、スーツがないから一旦家に帰る必要もあり、面倒だなぁと思いつつ、家路に着いた。
大したことは何もやっていないが、記念すべき初出張な一日だった。