石廊崎

人は岬とか、そうした先っちょが好きだなと思う。中三の時に、潮岬(紀伊半島の先端)に自転車で行きたい、と思ったのが、その後の人力旅行の始まりだった。大学一年の宗谷岬(日本最北端)〜佐多岬(本土最南端)の自転車旅行、あれも端から端をとにかくつないでみたかった。大学三年生の時のワンゲルで行った知床岬、あれは楽しい旅だったな。岬、と聞くと、今でもときめく。岬とは、大地が尽きるところであり、また始まるところでもあるのだと思う(当たり前か)。そして、そこで聴く波の音。それがまた格別。そんなわけで、今回も、石廊崎には是非とも行ってみたかったんだ。
下田を過ぎ、石廊崎の近くの漁港に着く。駐車場でお金を取っている人がいてお金を払ってしまったが、空きスペースはその周辺にたくさんあり、そこに停めなければいいわけで、後で失敗したと思った。
岬に歩いていくと、ソメイヨシノではないのだけど、もう桜の花が咲いていた。伊豆半島の急な大地の先にある海。岬の先端には石室神社があって、断崖の中に張り付いていた。
空をカモメが行く。波の音。遠くに新島、式根島が見える。振り返ると輝く太陽。見下ろせば打ち砕ける波と、磯にたたずむ釣り人たち。いい景色だ。こうしっかりと海を感じられる岬もあるようであまりない気がした。
車に戻り、今度は西伊豆の北上を始めた。