富良野スキー場

前夜は、忘年会兼送別会だった。
終わらない業務があって、まだこの年を忘れられずにいた。翌週、面倒なことになり苦しむことになるのだが、この時はまさかそんなことになるとは思っても見なかった。みんなで考え、何とかしたけど。
夏場何度かカヌーに一緒に行ったタナベさんの異動。残念。でも仕方がない。
二次会に参加し、その後家に泊まりに来た羅臼事務所のイシナザカさんと北海道に棲んでいるアザラシの話をしていたので、寝たのは午前一時過ぎだったが、六時前に起きて家を出た。今回、職場の方々と計6人で一泊二日でスキーに行く。ゲレンデスキーは、実に五年ぶり。勘も鈍っているだろうか。
三人で乗り合わせてレガシィ富良野に向かう。この車はスキー板が中に入るし(三人乗りなら)、長距離も楽だから、スキーに行く時は心強い。やや飛ばし気味で4時間走って富良野に到着。富良野スキー場へ。一足先に来ていた次長他2名と合流する。
富良野スキー場は晴れていたが、だんだん視界が悪くなってきていた。札幌の事務所から来ていた方々とも合流して、ゴンドラで上に行く。10名の内、テレマーカーが6名、山スキーヤーが3名、普通のアルペンスキーが1名という構成。雪質は良かった。久々のゲレンデだが、快適に滑る。昔のようなスピードはまだ出せない。硬雪の急斜面で跳ねるのもまだ出来なかった。が、すぐに慣れる気がした。
ゴンドラ三回目になると、かなり勘を取り戻して、コブ斜面に行く。これがなかなか快適だった。
僕がやっているのは、登山靴山スキーだ。大学1年の12月26日以来、スキー靴は履いていない。板は、アトミックの山スキー板で、ビンディングはコバがしっかりしていれば登山靴も付けられるジルブレッタ404というもの。靴は、今はサロモンの冬山&アイスクライミング用の皮製登山靴を使っている。大学時代に所属したワンゲルでは、こうしたスタイルが標準的だった。今は、登山靴スキーヤーは減って(絶滅したという噂も・・・)、兼用靴(スキー靴をやや歩きやすくしたもの)スキーヤーが増えたと聞く。
登山靴スキーは慣れないと難しい。脛周りがまったく固定されないので、加重のかけ方を間違えるとすぐにこけるし、その分足首、そして太ももの筋肉で支えるので、大変疲れる。深雪では体がつんのめるし、アイスバーン斜面では、足首に力を込めて板に加重をしっかり乗せるコントロールをしないと板がバタついてコントロールが難しくなる。一言で言えば、ごまかしが効かないスキーだ。ゆったり滑るには何とかなるが、スピードを出して突っ込むには、それなりの覚悟と太ももの疲労感との相談となる。
何故、そんなスキーに拘っているかというと、まずはこれが昔のスタンダードだった。今は優秀な安い兼用靴が出てきているのでいいのだが、昔はなかった。あっても高くてとても手を出せる物ではなかった。後は、登山靴であるので軽快感があること。スキーを履いて、スキーだけをするなら兼用靴でいいのだけど、その後のピークアタックや、アプローチも考えると登山靴であることのメリットは大きい。そして、スキーの歩きの場面では、登山靴はやっぱり使いやすい。理想を言えば、山スキーに特化した山行では、兼用靴、スキーと歩きのミックス山行では、登山靴、で行けるのがいいのだけど、兼用靴はまだ持っていないし、登山靴は普段から練習して慣れていないと、なかなか楽しく滑れるものんじゃない。
自分の行ってきた登山の中で、登山靴スキーのメリットを最大限活かしたと思っているのは、昨年(2005年3月)行った冬山単独縦走。ラッセル用にショート山スキーを持っていったが、あれは登山靴スキーに慣れていたからこそ出来たものだと思っている。
いろいろ書いたが、微妙なテクニックを磨けるのが登山靴スキーだ。そして、通常スキーヤーを凌駕するスピードで滑れれば優越感に浸れるし、勝てなくても言い訳できる便利な板だ。僕のやってきた山スキーはこの登山靴で大抵35kg程の荷物を背負って下るものばかりだった。今、流行り始めたバックカントリースキーの軽快さと程遠いが、その基礎は学んで良かったなと思っている。
夕暮れが早い。四時を過ぎるともう真っ暗に近くなる。昼過ぎから降り始めた雪が積もり、快適斜面だ。北海道の雪質は感動的。
勘を取り戻してスピードがかなり出せるようになってきた。一緒に行ったツユキさん(兼用靴山スキー)とスピード勝負する。こちらの方が早い。そりゃそうか。
夜は、フロイデというコテージを借り、飯を作り、次長の演奏するバイオリンを聴きながら、過ごす。夜一時を過ぎて寝た。