5月

屋久島に大分体が馴染んできた五月。山にとにかく行く事を目標とした。屋久島の自然と人になれ始めた時だった。
5/1 登山者指導ということで、縄文杉に行く。縄文杉の裏ルート(一般の方は入れない)を通って、車止めから一時間半でたどり着く。途中の作業道はアンデスの登山道みたい(行ったことないけど)。そして旧宮之浦歩道の道の素晴らしさ。人が入らないゆえの美しさ。これを残したい。縄文杉には朝九時過ぎに着き、そこから昼の一時半過ぎまで登山者の数を数え、記念写真撮影を手伝う。朝から見続けた縄文杉は馴染みが出てきて、この木の持つ素晴らしさを始めて実感することとなった。帰り、林道終点にたどり着くと、後輪右側のタイヤがパンクしていることが発覚。荒れた林道で車をジャッキアップし、スペアタイヤに交換。ちょっと疲れた一日だった。
5/2 弟が昼のジェットフォイル屋久島に遊びにやってきた。この日は仕事があったので、宮之浦にある環境文化村センターと屋久杉自然館で時間を潰してもらう。夜は先日初めて作り成功していた白菜豚肉煮鍋を作り、大成功なり。
5/3 弟と一緒に宮之浦岳縄文杉を縦走すべく、朝出発する。淀川登山口から登り始める。一泊二日の荷物を背負っての登山は初めての弟だが、元気に着いてきていた。いい天気。素晴らしい眺め。そのいい天気が災いして熱中症気味の弟であったが、欲を出して永田岳にも連れて行ったのがまずかった。結構辛そう。マットで日陰を作り、スポーツドリンクを無理やり500cc飲ませてから30分休憩すると回復した。良かった。小屋にたどり着くがさすがゴールデンウィーク中だけあって、小屋の中は一杯だった。外にテントを張り、まずは今日の頑張りをビールで乾杯!!晩飯後はオイルサーディン、厚切りベーコン等、キャンプでのつまみ盛りだくさんで楽しく夜を迎える。
5/4 早朝出発。早朝の縄文杉は荘厳。この杉を見るのは静かな時がいい。荒川登山口まで歩き続けて、フジイ君に迎えに来てもらった。多謝。午後は安房川にカヌーに行き、松峰大橋の上で泳いで遊んだ。夜は鹿肉を食べにレンガ屋に行く。
5/5 今日はやや曇り気味。弟と島一周。弟はお昼の便で帰っていった。また来いよ。
5/6 フジイ君を誘って一湊にシュノーケリングに行こうとしたが、凄まじい雨風で引き返し、安房川でカヌーをすることになった。
5/11 何名かと飲み屋に行った。
5/12 二日酔いの中、高盤岳、黒味岳に行く。高盤岳は登山道はないのだけど、探せば踏み跡があり、一部藪が濃いところもあるが、すんなり山頂にいける。山頂にはトウフ岩と呼ばれる巨大な花崗岩を縦に切った岩がある。食パン岩が妥当な名称かも。そこからの眺めは素晴らしく、屋久島の森の広がりを独り占めできる。素晴らしいところ。岩に弱点はないのだが、ボルトが何本か打ち込んであり、いずれトウフ岩の山頂に立ちたいと思った。いつかこの山頂に寝袋を持ち込んで、夜空を眺めながら寝てみたいな。そんな素敵なところ。黒味岳に行く途中、知り合いを追い抜かす。奥岳の展望台。そこからの眺めもなかなかのものだった。
5/13 一湊にシュノーケリングに行く。あいにくの空模様だったのだが、カクレクマノミを始め、亜熱帯の海の魚たちが泳いでいた。なかなか。
5/16 夕方、時間降雨量が36mmとなる猛烈な雨となる。明日の登山に備え、テルテル坊主を作ってみた。
5/17 石塚山に行った。この山も登山道はないのだが、ピンクテープがしっかり残っていて、探しながら行けば迷うことはない。途中の道の素晴らしさ。静かな森の素晴らしさ。そして鳥居にたどり着く。少し戻って、鏡岩のところに登る、そして山頂へ。山頂からは360度の展望。ヤクシマシャクナゲの花が咲き始めていた。素晴らしい。地元の翁達が、「屋久島で天孫降臨の地があるとすればそれは石塚山だろう」というのも理解できる。一部藪藪しているところもあるが、大抵は問題ない。多くの人に訪れてもらっては、今の雰囲気は失われてしまうのだろう。しかし、この素晴らしいところを分かち合いたいと思う気持ちもあった。
5/19-21 姉の結婚式で大阪に行った。ボンバルディアのQ400に乗って屋久島空港を飛び立ち、鹿児島空港で乗り換えて伊丹空港へ。姉と明日姉の旦那さんとなる人と三人でお好み焼きを食べに行く。新居となるマンションには姉がまだ一人で住んでいて、そこで一泊。
 結婚式当日は、朝からバタバタしていた。さて、結婚式。姉の結婚式。姉貴もいよいよ結婚かぁと思うと感慨深いものがあった。ここに至るまで、姉貴の恋愛そのものには僕は何もしていないのだけど、家族の中ではいろいろなことがあって、僕も頭を悩ませ、朦朧となり、鬱となり、価値観への迷いがあり、己の価値観の根幹が揺るぎ、その先に決心があり、己を見つめ、家族を見つめ、己の過去を見つめ、これまでの家族を見つめ、己の将来を見つめ、家族・価値観というものを考えた日々があった。それらの重い想いが全ていい方向に進むことを願う。そして何よりも姉貴とその家族の末永い幸せを祈るだけ。姉貴、本当におめでとう。姉の結婚式の後、関西に住む中学からの友人+彼女(結婚相手)と会った。なかなか素敵なお相手で、すっごく嬉しかった。頭の中では、Mr.Childrenの「花」とB'zの「Pleasure 91」が流れていた。
 結婚式前日、当日と姉の家に泊まり、その翌日は結婚式の疲れで眠り続けていた姉夫婦に置手紙をして帰路に着いた。鹿児島空港から屋久島空港への途中、桜島を眼下に望み、それは素敵な景色だった。
5/22 職場の窓ガラスにズアカアオバトがぶつかって息絶えていた。合掌。夜、大学時代の友人のイトーの研究室の助手をやっていて、今は岩手大の准教授をしているシバサキさんの奥さんのご実家に遊びに行き、BBQをする。鹿肉を1kgほど食べさせてもらった。シバサキさんとの再会はすっごく嬉しかった。この島のために役立てれば。
5/23 ウミガメ協会のマツザワさんがオオムタさんと一緒にやってきた。いろいろ話をする。今事務所では全然ウミガメに取り組んでいないが、取り組みたいという思いを強くし、熊本事務所を説得するための資料作りに着手する。
5/24 天気悪い中、ARのナガオカさんと二人で宮之浦岳の巡視に行く。巡視範囲は淀川登山口から宮之浦岳を経て平石岩屋まで。往復すると20kmある少々のロングコース。今年は二週間に一回は誰かしら巡視に行っている。この仕事をするには、そのぐらいは平気で歩ける体力が必要かも。天気は悪かったが、シャクナゲが咲き、それは素晴らしいもの。ヤクシマシャクナゲはつぼみは真紅、そして花びらが広がるとピンクになり、花が全て開くと白くなる。霧にかすむ限界上の笹原に咲き誇る花々。今年は少ないらしいのだけど、それでも良かった。朝の六時には登り始めるのだが、下ると四時を過ぎた。事務所までは車で一時間。流石にくたびれる一日。
5/25 姉貴の結婚式の引き出物のバームクーヘンを事務所で食べる。美味しかった。
5/26 栗生の塚崎の海中公園地区にフジイ君とシュノーケリングに行った。サンゴ礁広がり、なかなか素晴らしいところ。一湊は波穏やかでシュノーケリング初心者向けなのだが、こちらは少々波が荒いことが多い。でも珊瑚の素晴らしさは比較にならないぐらいこちらが素晴らしい。大阪に行った際にオリンパスの10m防水デジカメを購入したのだが、早速撮影。このデジカメには水深計も付いていて、水深8mまで潜り、きらめく太陽の神秘を取った。昼は松竹という栗生にある蕎麦屋さんに行く。フジイ君は元皇室ご用達の蕎麦屋の息子なのだが、彼も「結構美味しい」という美味しい蕎麦屋さんだった。午後は、バイクに乗って、花山歩道の偵察に行った。
5/27 バイクに乗って家を出て、龍神杉に至る登山道の入り口に行く。通常車を止める位置から欲を出して先までバイクで進んだら、道悪く、バランスを崩してバイクごと転倒。やってしまった。バイクでこけるのはオオタハラに借りたバイクを転倒させて以来。セローでこけるのは、二回目。かつて林道で急ブレーキをかけてこけて以来のことだった。かなりの憂鬱感。そしてバイクのエンジンがかからなくなる。いろいろ試した後、アクセルをいっぱいにひねってからセルモーターを動かすとエンジンが始動してくれた。通常車を止めるところまで戻る。登り始める前にハプニングがあったが、気を取り直して出発。龍神杉歩道は、石積みで作られた登山道で、石積み歩道の材料は現地調達。これがなかなか素晴らしい。数年前に工事を終えたばかりではあるのだが、もう苔むしているあたり、屋久島の湿気を感じるところ。歩き始めてすぐにヤマカガシを踏みそうになった。いやはや。石積み歩道を歩き、トロッコ道に差し掛かったところで雨が降り始める。どんよりと暗い森。何かの気配を感じて、圧迫感があり、何故かGPSも大きくずれていて、一人で歩いているとあまり気持ちのいいものではなかった。トロッコ道が終わり、その先も歩いていく。やがて龍神杉にたどり着く。なかなか立派な屋久杉。まだ若さも感じるが、それは元気だと言うこと。傍にも寄れて、見上げるとじっと緑の葉を灰色の空に広げている。僕の中での評価は高い。帰りは一部滑りやすいところもあったので、慎重に下る。登り二時間弱、下り一時間半の道のりだった。遠望はなく、地味といえば地味なのだが、雰囲気はあるところだった。でもどんよりとした日に一人で行くことはお勧めしない。昔の岳参りの道の記憶か、薄暗い中では時々気配を感じる道でもあった。帰ってきてから安房港で釣りをしたが、一匹も釣れず。ただし、波間に浮かぶウミガメを目撃することが出来た夕方だった。
5/28 東大の大澤研の学生さんの調査同行。うちの調査もやっていただいている。花山歩道の標高600m、900mにシカ排除柵の設置。僕は大学四年生の冬以来、4年と2ヶ月ぶりにローアルパインのコントワー?(ザック容量105?)を引っ張り出してきて、網を二束背負った。最近、運動しているおかげで随分体力を取り戻してきていると思っている。雨も降る中、作業を続ける。ヒルもいた。夕方作業が終了。戻る。
5/29 近くのスーパーでスルメイカが売っていたので買った。かつて食べて美味しかった〜☆という印象が頭に舌に残り続けていたゴロ煮を作った。美味しかった!!近頃釣り道具をそろえた(ルアーに挑戦)のだが、本音を言うとアオリイカを釣り上げてゴロ煮を作りたいとの思いが一番強かった。スーパーで買ったスルメイカではあったが、美味しかった。
5/30 行政監査があって、調査員の方と一緒に屋久島を一周した。行政がきちんと仕事をしているかをチェックして改善点を示すのが行政監査。一緒に回ってみて、自分たちが普段見ていない視点もあり、面白かった。そしてやたらと看板が好きな方々だった。