休日

今日は振替休暇をいただいていたので、休み。朝六時半までたっぷり寝た。起きて、インターネットで探し物。昨日失くしてしまった剣先ナタの代わりを探す。
愛用していた剣先ナタは、7年前に地元の鍛冶屋さんで作ってもらったものだ。刃渡り7寸、柄が5寸。普通の剣先ナタより薄刃で、重量がないので打撃で切るのは向いていなかったが、携帯性に優れ、また薄刃の分食い込みが良くて、ある程度の木ならスッパリと切り落とすことができた。刃が欠けたこともあったけど、何度も研ぎ直して使ってきたナタ。藪を刈り払ったり、木を切ったり、鮭をさばいたり、イワナをさばいたり、杖を作ったり、またある時は魔除刀となり、といろんなことに使ってきた思い出の品だった。
カッターナイフは怖かったけど刃物は結構好きだった。小さい頃から道具としての魅力を強く感じていた。ランボー2を見てから、サバイバルナイフに強い興味を持ってきていた。そして欲しいなと思い続け、小学生の時に貯めたお小遣いで「アイトール ジャングルキングナイフ2」というサバイバルナイフを買った。シースには、缶切りや小型銛にもなる予備小型ナイフと合図ミラーと砥石と細引きとパチンコが付き、ハンドルにはコンパス、釣具、火打石、メス、絆創膏、刺抜き等が入っていた本格仕様。届いた日ははっきりと覚えていて、これで自然の中に入って秘密基地を作って遊ぶことができると思うと本当に嬉しかった。
でも、実際のこのナイフ切れ味は全然良くなくて失望するものだった。父親の登山用のナイフの方がずっと良く切れた。それで素材に興味を持つようになった。
ただ、昔は、とにかく錆びないナイフが欲しかった。父親の登山用のナイフも錆びやすかった。それが不満だった。ステンレス製のナイフを足に巻いて海・川に潜り、錆びていかないことが嬉しかった。
小学校高学年になると、親戚の伯父さんに枝打ち等の森林作業を教えてもらった。その時に使った研いだナタは良く切れて、直径10cmほどの木を間伐させてもらった。その時に分けてもらった木を使って縄梯子を作り、それは長らく実家の二階からの脱出用の梯子としてベランダに巻き付けてあった。話が逸れたが、和式刃物に興味を持ったのはナタの切れ味だった。小学校5〜6年生の時は、いつもポケットに肥後守(実際は廉価版の肥後ナイフ)が入っていて、鉛筆やら何やらいろいろ削っていた。
和式刃物の魅力は感じ始めていたものの、ビーパルの影響も受け有名なナイフがやっぱり欲しいと思い、中学校に入ると「バック フォールディングハンター」を買った。ロックブレード機構を初めて備えたナイフとして大ベストセラーだった大定番モデル。でも切れ味はいまいちだった。それから、別系統のナイフとして「ウェンガー スーパータレントロック」を買った。小型ペンチも付いたアーミーナイフで大学1年のときに一度失くしたが、また購入して今も愛用しているもの。切れ味を追求するナイフではないが道具としては大変気に入っている。そして、高校に入ってからオピネルナイフを買った。これが炭素鋼で良く切れた。そして、研ぎ易い。錆び易くてもいいから研ぎ易くて使いやすいナイフに興味が戻った時だった。
その後、和式刃物の本を読み、鋼を軟鉄で挟み込む技術・発想に惚れ込んだ。錆びることも手入れをきちんとすれば解決する問題。和式刃物をとことん使ってみたいと思った。そして、ついに手に入れたのが、刃渡り7寸の剣先ナタだった。
今持っているナイフは、オピネルナイフ(工作用)、オピネルフィレナイフ(魚さばき用)、ウェンガースーパータレントロック(登山・旅行用)、レザーマンウェーブ(登山・カヌー・仕事用)、スパイダルコてんとう虫(登山・沢・カヌー用)、マキリ(登山・魚さばき用)だ。それぞれに特徴があって面白い。
オピネルナイフは、相変わらず使い勝手がいい。肥後守より使いやすく、研ぎ易く、サイズもいろいろあるから、初めて持つナイフとしても本当にいいナイフだと思う。値段も千円台で安いしね。
ウェンガースーパータレントロックは、プラスドライバーが付いていないことだけが不満なのだけど、コンパクトなボディーに機能が凝縮されていて、本当に使いやすいアーミーナイフ。
仕事で巡視の時に使うのは、案外ペンチが役に立ち、掴むことを意識して開発されたレザーマンのナイフは、レンジャーで持っている方が結構いる。僕も外に出る時はいつでも持っていて、針金を切ったり、ネジを回したり何かと役に立っている。
スパイダルコのてんとう虫は刃渡りが5cmに満たない小さなナイフだが、ハーフセレーション(半分波刃)になっていて、ロープなどをスッパリ切ることができ、また切れ味もいいので、登山・カヌーの時はいつも首からぶら下げている。
マキリは、今年の三月に羅臼で購入したもの。アイヌの小刀のことをマキリと呼んでいたのだけど、羅臼の漁師さんはみんな腰に下げていて、ロープが絡まった等のいざというときに備えている。また鮭をさばくのに非常に適している。刃は片刃で材質は青紙、軽くそして結構切れ味もいい。実用本位だから値段も2000円とお手頃だった。剣先ナタを持っていくのが大袈裟過ぎるときにザックに入れていくナイフだ。
この他に、万能包丁を持っているが、鋼をステンレスで挟んだ物を使っている。良く切れるし、研ぎ易いからずっと愛用している。
と、ナイフ紹介になってきたけど、これまでの経験を踏まえ、いいものがないか、ネットで探していた。いくつかいいものがあって、惚れ惚れするものもあった。でも、やっぱり地元の鍛冶屋さんでしっかりしたものを作って欲しいという気持ちが強くなり、実家に電話して相談する。と、作って欲しい刃物の設計図を描けば持っていって聞いてみるとの返事を頂き、早速描いてFAXで送って、その図面を持っていってもらった。
鍛冶屋のおじさんはもう77か78歳なのだけど、また作ってあげるよとの返事。ただし、原寸大で設計図を描いてこいとの事で、また書き直した。
前の剣先ナタから改良したいなと考えていた点4点を盛り込んだ図を描く。刃を少し長くすること、刃の付け根とヒルトの間に1cmの隙間を開けること、ヒルトの長さを短くすること、そして柄の長さを4寸、実質持つところは3.5寸に短くしてもらうこと。地元の鍛冶屋のおじさんの作る剣先ナタは、割と薄刃で、切っ先に向けだんだんと細くなっていく形をしている。打撃系ではないのだけど、食い込みがよく、ある程度の木までスパッと切れるのが特徴だ。いつ出来上がってくるのか、また描いた図面にどこまで忠実に作ってくれるのかはわからないけど、出来上がりが楽しみだ。
朝からずっと刃物を眺めていたけど、午前中一度職場に行き、午後は熟睡。夜は日記を書いたりいろいろ。久々のんびりと過ごした一日だった。