行政向け説明会

昨日の矢原プロジェクトの公開シンポジウムの行政向け説明会が午前中にあった。行政向けと言いつつ、プレスは入っているし、その他一般の方も入っているし、位置づけがよくわからない。ざっくばらんな話をとは言うものの、事前の話し合いや打ち合わせ、どんな話をしていくのか、そうしたものがないままいきなり話を公開で行われて責任を持った発言が出来るはずがない。なので、討論というより文字通り説明を聞くというものとなった。こちらが持っている情報も、今はまだ決まっていないので言えないこともある。そんなことを考えながら、昨日よりも気合を入れて話を聞く。
先日も書いたことだが昨日から屋久島でもヤクシカのメスに限って狩猟が可能となった。ヤクシカの保護を巡っては、過去からの経緯があり、一概に保護がいいとかどうとか言えないものがある。理想を言えばしっかりとした野生動物の管理が出来ればいいのだけど、そのためには莫大なお金がかかる。それを如何に効率的かつ効果的に実行していくか。農業被害の話をすれば、それは全体でおそらく年間4千万円程度、シカに限ればせいぜい1千万円程度のはず。それに対して本気を出せば1千万円を越える“不確実な”野生動物管理を行うのか。その体制はあるのか。一度の予算投入で済めばいいのであれば簡単だけど、適切な管理のためには獲り過ぎず、をキープする必要がある。そのために毎年かかる莫大な費用・・・その余裕が今の行政にはない。
如何にしてお金を掛けない方法で、狩猟者の協力を頂きながら、野生動物の管理を行うか。それをただ農業被害、生態系被害だけで終わらせず、せっかく獲ったシカを如何に無駄なく利用するか。殺すだけが目的なのは悲しい。利欲ではなくて、敬意から有効利用したいと思う。それが商業ベースに乗るのがいいのだけど、商業ベースに乗ってしまった途端、お金の欲からまた歪みが生じてくるのも確か。課題はいっぱいありそうだけどやっぱりまずは全体的な計画が必要だなと思う。
途中森林管理署長がいろいろ突っ込まれていた。屋久島町の課長からフォローが入る。現場で起きてしまった悲しい事件。それが現場から離れて論点が一人歩きする。そして譲れなくなるライン。そのラインに理不尽さを感じる。でも、実際に現場にいると、具体的に言うと作業をしている横で狩猟を行われると、聞こえてくる銃声に恐怖を感じるのも確か。登山道を歩いていて、銃声を聞くとやはり怖い。そして人間ミスは起こすもの。その時に何を妥協点として解決するのか、妥協ではなく第三の道はないのか、アイディアを出して、他の地域も参考にしながら話し合って決めていく必要がある。でもこの問題は、いずれ解決する問題だと楽観的に思っている。時間が解決する問題。それは人の忘却ではなく、体制の変化という観点から。個人的な意見だけど。
一通り話を聞き、少しの意見交換をして終了。
その後、昼食を食べながら、立澤先生と話をする。口永良部島のシカも今は増加していて深刻といえば深刻。口永良部島鳥獣保護区になっているのだが、これには訳がある。そして何故口永良部島に人為的にヤクザルが放たれてしまったのか、その悪意にもつながるから、欲望を持った人間とは本当にいやらしい存在だと思ってしまう。放たれた動物に罪はない。でも、排除しなければならない理論のほうが理解できる。話は逸れたけど、簡便な調査で個体の増減を把握できないか、そうした体制を作れるのか意見交換をした。
午後、西部地域に向かった。