竜喰谷沢登り

大学の部活の後輩で、かつて一緒にたくさんの沢登りにでかけたミズサキと、約10年ぶりに一緒に沢に行くことになった。当初、先週末も一緒に軍刀利沢に行ったぶっちーも一緒に行く予定だったのだけど、土曜日に体調を崩してダウンしていたので、結果的に2人だけのパーティーとなる。
朝5時に文京区に集合。ミズサキの奥様の車に乗って、山梨県を目指す。今回の沢は、竜喰谷(りゅうばみだに)。大学2年の時に一度、そして2年前に一度訪れたことがある。シャワークライミングが出来る水量と滝の多い沢だ。中央道の勝沼で高速道路を下りて、柳沢峠を越えて、一之瀬高原の石楠花橋に7:30に到着した。ミズサキは車を汚すべからず、という奥様の命を受けて、座席にシートをかける。偉い!手早く準備して、7:50に出発。
駐車スペースの少し下流から一之瀬川本流に降り、少しだけ下降して、竜喰谷出合の滝に出る。この滝の中ほどを渡るのだけど、すぐ下には大きな釜とそこに注ぎ込む大量の水があり迫力があるので、水量が多いと緊張する。立木にお助け紐をかけて手がかりにして下り、対岸に渡った。
さて、竜喰谷。早速幅広の5m滝。初心者を連れていく時はロープを出す滝だけど、ミズサキなので何も出さない。簡単。ただ、滝を登りきったところで僕の時計のベルトが突然ピンが外れて、カラランと落ちた。見るとヤマメのウォッチリングが外れてない!焦る。滝の水に流されたか、もう見つからないか・・・と途方に暮れて探していると、後から滝を登ってきたミズサキが探し当ててくれた。感謝!前にもこんなことがあったなぁと思いながら気を取り直して進む。
サクサクすすんで精錬場ノ滝8m。水量多くて直登を諦め、左岸を巻く。ナメが美しい。森もコケも美しい。天気は曇りなのが残念だけど、多摩川の最源流部の沢を進む楽しみを噛みしめながら歩きそして小滝を登る(YouTube)。竜喰谷最大の下駄小屋ノ滝12mは、下段は左壁を快適に登り(YouTube)、上段は、右岸の立木にお助け紐をかけて、それを振り子に下段の落口を越えて登る。その先末広がりのナメ滝10mはきれいな滝(YouTube)。それを越えて、階段状の2段8×10mのシャワークライミング(YouTube)を経て、9:00に曲り滝10mにたどり着く。遠目に見て大きな滝。緊張感がみなぎってくる。
過去2回はこの滝は巻いている。でも今回は直登したかった。今日の水量は多めなのだけど、リードでも何でもやりますよ!と話していたミズサキに、先に行く?と聞いてみると、遡行図の記述「水量が多いときは迷わず高巻くこと」を読んで、大丈夫ですかねぇ、巻いた方がいいんじゃないですかねぇ、と弱気な様子。じゃあ俺が先に行くよ、ということでリードの準備をする。ロープのキンクを取って、息を整えてから、曲り滝10mに取りついた。
出だしに残置ハーケンがあったので、まず一本ランナー(1)を取る。ホールド・スタンスはないわけじゃないのだけど、濡れていて滑りやすそうで、緊張感がみなぎる。水際に近付き、スタンスを探す。恐る恐る上に登って、さらに残置ハーケンでランナー(2)を取る。さらにもう一段登って残置ハーケンでランナー(3)を取る。と、スリングの数が足りなさそうなので、足元の一つ下のランナー(2)を回収したのだけど、(3)の残置ハーケンが古かったので、もし落下したら耐えきれるのかなぁという思いがふつふつと湧いてきて、緊張感が増してしまった。その上は水を被るが、スタンスに自信を持てずに少し時間がかかる。被りもきつめ。寒くて雨具を来て登ればよかったなと思い始める。水流すぐ横のクラックにリンクカムの#1を入れてランナー(4)を取って乗り越え、さらに少し右手にあった残置ハーケンに60cmスリングを使ってランナー(5)を取り、その後は左手の水流中を越えて、無事滝の上に立つ。沢での真面目なリードは2年ぶり(2年前は屋久島での沢登り)だったので、そこそこ緊張していたが、無事登り終えて心底ホッとした。少し先の立ち木にアンカーを取って、ビレイ解除の笛を吹くが、聞こえなかったらしく、落ち口まで戻って合図した。
ミズサキはサクサク登って(写真)、無事曲り滝の登攀は終了。一気に緊張感がほぐれる。そして満足感が沸々と湧きあがってきた。時刻は9:30。小休止の後、さらに先に進む。
天気は相変わらずだが、森は美しい。二人とも何枚も写真を撮りながら進む。スダレ状幅広2段8mは中央をシャワークライム。初心者ならロープを出すと思う。その先の5m滝はホールドが少し細かく、2年前は少しだけ難しく感じたのだけど、今日はサクサク登れた。ただ、ミズサキは思いのほか手こずっている(YouTube)。その先の小滝の連続(YouTube)を越えて、歩いて行くと見えて来たのは8m滝(YouTube)。倒木が左壁に立てかかっていて、その横を登る。この滝は全然覚えていなかったのだけど、思いのほか高度感があったので、ミズサキは念のためトップロープで確保した。その先、沢の中でサーモステルモスが落ちているのに気がつく。中にはまだ温かいコーヒーが入っていた。今日の遡行者だろう。拾って先に進むが、結局追い付けず東京まで持ち帰ることになった。花崗岩が増えてきて、砂が白くなり美しい。時々日が射して沢が鮮やかに輝いた。やっぱりいいなぁといいながら遡行する。
石積堰堤のあるヤケト沢の出合いで大休止。11:20。ラーメンを作って食べる。美味しい。ミズサキと山に来るのは本当に久々だったのだけど、何の気も使わず、何を言わなくても(沢登り的に)何を考えているからわかるので本当に気楽だった。11:50に出発。随分細くなった沢を行くと10分ほどで遡行終了点の大常木林道という名の作業道(登山道)に出る。装備を片付け、12:20に出発。天気は曇りだが、時々日が射す。10分ほど歩いて、二つ目谷筋のコケのきれいな水の涸れた谷筋で分岐があり、上に登りトラバースを続ける道と、谷に沿って下る道と分かれていた。全然記憶にないが、左の谷に沿って下る道を下る。合っているかどうか不安だったが、そのまま歩き続けると13:45に二ノ瀬の集落に出た。道路を歩いて14:00に石楠花橋に無事到着。
荷物を片づけて、柳沢峠を戻り、大菩薩の湯に入ってから帰京。途中、談合坂SAから先で小仏トンネルを先頭とした長い渋滞に巻き込まれる。眠さを堪えて、無事東京に到着。ミズサキThanks!
帰宅すると相方はまだ帰ってきていなかったのでご飯を作る。二人で晩御飯を食べた後は流石に疲れきってしまって、そのまま熟睡した。

多摩川最源流部の森と水が美しい沢。その沢はこの日も変わらず輝いていた。

■行動時間
5:00文京区→(車:中央道→柳沢峠)→7:30石楠花橋 7:50出発→8:00竜喰滝出合 →9:00曲り滝(リード)9:30曲り滝上出発 →11:20ヤケト沢出合(昼食)11:50→12:00遡行終了(装備片づけ)12:20→12:30分岐(左へ)→13:45二ノ瀬→14:00石楠花橋 →(車:温泉・高速・渋滞)→18:00 文京区到着


※写真付き記録はこちら(お散歩観察会のページ)