小室川谷 沢登り 1日目

9年ぶりに小室川谷沢登りに行くことになった。職場の方々と一緒に行く沢登り・山スキーシリーズは、去年から“お散歩観察会”と称している。由来は、羅臼山岳会のお散歩会から。今回は、森のきれいな楽しい沢で沢中泊をしよう、とメンバーを募っていたのだけど(大荒川谷も候補の一つだった)、結局はみなさん何だかんだで別件があったり都合がつかなかったりして、参加者は先週も一緒に沢に行ったコイケ君だけとなった。でも沢慣れしたコイケ君となら、サクサク進むだろうし、と沢登りに対する気持ち的には楽な気分でいた。
塩山駅8:15集合ということで、8:12塩山駅着の電車に乗り継げる電車に乗るべく、家を5:30過ぎに出た。飯田橋駅で電車に乗り、しばらくすると携帯電話が鳴った。嫌な予感。コイケ君からで、寝坊したので1本後の8:44着の電車になります、とのこと。予定より30分遅れるということで、それほど沢に慣れていない他のメンバーがいなくてよかったと思いながら、塩山駅に向かった。電車の中は大きめのザックを持った人が多数。山ガールも何名か。みんな逞しいなと思う。途中で予約を入れておいたタクシー会社に時間変更を連絡する。この3月末で残念ながら撤退してしまった奥多摩駅のタクシーは、3台ほどしかなかったので予約は必須だったのだけど、塩山駅にはタクシーは多数いたので、この時間帯なら予約しなくても大丈夫かもしれない。
塩山駅では、タクシー運転手さんに「1本後に来られるなら被害は最小限で済みましたね」という励ましの言葉をいただきながら、30分ほどダラダラと過ごし、追い付いてきたコイケ君を乗せて、柳沢峠を越え、三条新橋に向かう。雲は多いが天気はいい。9:30前に到着。8990円なり。
さて、出発。林道を20分ほど歩いて、林道横の道に入り、木橋の手前で入渓準備を済ませる。10:05にようやく入渓。懐かしい小室川谷。またここに来れたことが嬉しかった。小室川谷に入ってすぐに早速一人の釣り人を追い抜く。コイケ君と二人なので、ゴーロ歩きもサクサクと進んで早い早い。以前は巻いた3m・4m滝は3m滝は右岸の岩を巻き気味に登り、4m滝は左壁を直登した。その先の8m滝の釜は埋まって以前より狭くなっていた。ここは右壁を簡単に登る。その後のゴーロ歩きは、とかくサクサクと進んだ。立ち止まると森が美しい。そらは曇りがちなので日が差し込まないのは残念だったけど、森とコケのハーモニーは素敵だった。目を凝らすと淵という淵にはヤマメがいるのがわかる。やっぱりいい沢だなぁと思いながら、先へと進んだ。
深い釜を持つ6m滝は、その手前の深い淵はまず左岸をへつる。そして、6m滝の深い釜に先に泳いで取りついたコイケ君がスタンスをうまく見つけられずにややてこずっている(YouTube)。体を引き上げてしまえばその先は楽勝なのだけど、本格的な泳ぎはここが最初なのでまずは試されるところだ。
その後は泳ぐことに抵抗感がなくなり、淵が出てくると積極的に泳ぎ始める。幸いにして気温は高い。そして出てきましたS字峡の入口の滝。時刻は10:55。前回は増水していたこともあったが、ここに至るまでに2時間強かかっていたことを思うと早いものだ。今日の水量は普通なので、今日は水線際をさっくり登る(YouTube)。最後に乗り越えるところだけ、膝に水圧を感じて迫力が出るところ。上の小滝は難なく通り、その先の淵は泳ぎ、S字峡出口の滝は、手前の右岸の岩場から上にあがって、巻いた。
その先は、適度な登れる滝と適度な泳げる淵が続く(YouTube)。11:20に石門手前の8m滝に到着する。ここでおじさん2人組の先行パーティーが左壁をトラバース気味にリードで直登していた。滑りやすそうだし、よく行くなぁと思いながら見ていた。我々は巻くことにして、右岸の残置ロープのある岩壁に取りつくが、どうも最初の出だしが難しい。こんなのだったかなぁと言いながら2mほど登ると残置ロープに手が届いたが、それがそこで引っ掛かっていて、下まで残置ロープが届いていなかっただけだった。上側はホールドがやや乏しく、残置ロープもつかみながら越える。ここで先行パーティーを追い抜いて先に進む。石門をくぐり、随分とヤマメの魚影が濃くなった沢を歩いていると釣りをしたくなり、餌とする水生昆虫をタモで採取しながら進む。アミメカワゲラを数匹捕まえて、濡れた落ち葉とともにジップロックに入れておいた。
さて、小室ノ淵に到着。昔はもっと長い淵に見えたのだが、案外距離はない。腰ベルトを締めて、泳ぐ。先に行ったコイケ君は、水流の割とすぐ横のリッジに取りついているが、スタンスがいいのがなくて案外難しそう(YouTube)。僕はその1m横の凹部分の左を簡単に登り、右にトラバースして越えた。その先の淵と続く滝は、右岸から巻く。少し先で中ノ沢が合流し、ここで休憩。ここまで2時間。速い!僕はコンビニで買ったチーズバーガーを齧った。
その先も適度に泳げる釜を持った小滝や淵が続く(YouTube)。目を凝らすとヤマメがたくさんいるので、釣りをしよう、と雨乞滝の100mほど手前で竿を出して、釣りを開始。50m程手前の淵でヤマメが群れていたので狙うが、餌までは近づいてくるのだけど食いつかない。餌の高さを変えながら15投ぐらいしたが、釣れず。時刻は12:40ぐらいだったので、釣りにくい時間ではあるのだけど、でもやっぱりスレているのだと思う。淵の真ん中では食いつかないので、淵の右側に入れると興味津津のヤマメがいる。これは行ける!と2投目で食いついてきたのでラッキーと竿を上げるが、食いつきが甘かったのか、3秒後にバラしてしまった。逃した魚は大きい。ショックだ。気を取り直して再度同じラインをトライしたがダメだった。諦めて先に進む。
雨乞滝10mの淵の縁に大きめのヤマメがいたのでその1m前に餌を落とすが、近づくのだが食いつかない。ここもスレている。10分ほど粘ったが諦め、先に進む。この滝の巻きは過去は左岸を行き懸垂下降していたのだけど、今日は右岸から巻いた。右岸の枝沢に入って少しだけ登り、うっすらとした踏み跡をたどると懸垂下降することなく、滝の落ち口付近にクライムダウン。続く4段30m滝は、一段目・二段目はサクッと登り、深い釜を持つ三段目は釜に倒木が重なっていて取り付き辛かった。四段目は右から越えるが、上部には残置ロープがあって、それを掴みつつサクッと越える。
魚を釣りあげねば、とその上で釣りに再度挑む。小さな淵でヤマメを見つけ、身を隠して投げ込むと、1投目で食いついてきた。無事一匹釣りあげる。明らかに先ほどとは違う感触。こちらのヤマメはスレていなかった。僕は心に大いに余裕が出来て、その後はコイケ君に竿を貸したりしていたが、結局釣れたのは1匹だけだった。小滝群を越え、2段20m滝を越え、このままだと3時には(今日のサイト予定地である)ジャヌケ沢に着いてしまいますね、と話をしていたら、14:35にはジャヌケ沢出合に着いてしまった。釣りをしていなかったら、あと1時間近くは速かったと思う。
幸いにして他のパーティーはいなかったので、一番いい場所にツェルトを張った。薪を集め(既に集められていた残りがあったけど)、食事の準備を進める。ヤマメは内臓を出して枝に刺した。15:30を過ぎて焚き火を始める。流石にコイケ君は焚き火に慣れている。ご飯を炊き、ポークチリビーンズを作りつつ、スコッチウィスキーでまずは乾杯!ご飯の他に持ってきたベーコンやオイルサーディン、ソーセージ、クリームチーズ、シシトウ等のツマミをいただきながら、その後は延々と焚き火のそばで過ごす。やがて日が暮れ、あたりは闇に包まれる。じっくりと焼いたヤマメは美味しかった。日が暮れてからも沢トークに華が咲き、結局21時過ぎまで焚き火のそばで過ごしていた。沢中泊は久しぶり、こんなことをよくやっていたなぁと感慨にふけりながら時を過ごす。
天気は悪くならなさそうだったので、僕はツェルトの外でシュラフカバーに包まって眠りに着いた。
小室川谷沢登りの一日目が終わった。