奥多摩 水根沢 沢登り

7月中旬より、ほぼ毎週沢登りに出かけてきたが、今後は予定が入りしばらく行けなくなるということで、この週末も沢を企画しようと思っていた。が、週明けから沢経験者に声かけするも、それぞれ予定が入っていたり、体調を崩していたりしていて、この時点で上越 大源太北沢本谷は諦めた。次に既に何本か沢にいった人に声かけするが、みんな予定が入っている。この時点で上越 白毛門沢は諦めた。今週は中止かなぁと思いも出てきていたのだが、木曜日の朝の通勤途中に去年も行った奥多摩の水根沢でも行くかとの思いが湧いてきて、これなら初心者も2〜3人なら連れていけると踏んで、2週間前に一緒に沢に行った初心者の3名に声かけしたところ、2名参加希望とのこと。結果として企画が成り立つことになった。
この2か月の間、僕が企画したのはこの水根沢も足せば9本、ミズサキ企画の1本を足せば、10本の沢登り企画に行き、合計12日、沢も12本に行った。学生時代の最盛期には年間のうちの一カ月近くを沢登りに使っていて、大学院生のころは沢の調査で春・秋のシーズンは毎週3〜4日は沢の中にいたので、その点ではまだまだなのだけど、それでも、この二ヶ月間にいろいろな沢に行けたのは結構満足できるものだった。
朝は7:46奥多摩駅到着の電車で集合する。昨晩は珍しくあまり眠れなかったのでやたらと眠い。立川駅から先は登山客が多数いたが、山ガールも何人もいた。ただ何名かいた美人山ガールは全て彼氏つきだった。10数年前は中高年の登山ブームで山に行くと元気なおばさん、おじさんに溢れていた。その後ここ数年で山ガールブームとなり、山に行くと若い女性がいっぱいいて、彼女らには逞しさ・かっこよさを感じていたが、最近は若い男性が多いと思う。彼らは山に惹かれたのか、山に惹かれる女性に惹かれるうちに山に惹かれたのか、それとも純粋に女性に惹かれているのかはわからないが、山ガールブームから、若者山ブームに移行していることは嬉しく、ただそれがいつまで続くものかとも思いながら、ザックを持った若いカップルを眺めていた。
今回の参加者であるくっしー、ユリアさんは無事時間どおりに集合。7:55の峰谷行きのバスに乗る。地面は濡れているが、今の天候は曇り。雲を見ている限りはそれほど雨が降りそうな感じではない。朝5時の天気では、9〜12時は弱い雨が降ることになっていたが、7時を過ぎて曇に戻っていた。20分ほど乗って水根で下車。トイレ休憩の後、ザックを背負って、水根沢キャンプ場に向かう。10分ほどして到着。沢装備を整え、荷物を草むらにデポして、8:40過ぎに出発。
水根沢は水のきれいな、水に濡れることが楽しい沢だ。12年前、11年前、昨年と来たことがあるが、昨年は淵という淵が土砂で埋まり、かつて足が付かなかった淵も、腰ぐらいの深さしかなく、泳ぐ場所もなく、かつての楽しさが半減していた。その分簡単になっていたので、初心者を連れてくるにはいいのだけど、しかし、物足りない思いも持っていた。
曇り空でそれほど明るくない中、沢を進む。今回が沢登りの2本目となるくっしーとユリアさんだが、見ていてそれほど不安はない。特にくっしーは足取りが前回より格段にしっかりしている。清らかな流れに、沢楽しいですね、とくっしーが呟いている。
さて、早速出てきたCS(チョックストーン)3m滝。手前5m程に淵があって、左からへつり登る滝だ。去年は腰までの深さだったので、へつらず直接取りつき、簡単に登っていた。その記憶の下、何も考えずに取りつく。が、今年は淵が深くなっていた。足が下に付かない。
水根沢に深い淵が戻ってきていた!
水流すぐ左をよじ登ろうとするが水中からの這い上がりでいいスタンスがない。よじ登りかけたがやや大きめサイズの沢タビで微小なスタンスには立ち切れなかった。諦めて泳ぎ戻り、右岸をへつる。ホールド・スタンスはしっかりしている。が、後続の二人が来れるかどうかは微妙だと思ったので、CSの脇の溝にカムを効かせて、お助け紐+アブミを出した。へつりに失敗したら、アブミをスタンスに水中からよじ登ってもらう作戦だ。まずはユリアさんが挑戦。案の定、へつりに失敗。お助け紐+アブミを使ってよじ登ってもらった。続くくっしーは無事へつりに成功。その先の滝の上段はなにも無しでよじ登ってもらった。
沢を横断する橋をくぐり、先に進む。2条3mCS滝は、腰の深さの淵を進み、真ん中の岩を登り、右の水流を登る。何も出さずに通過してもらう。わずかに開けた後、ゴルジュ帯の始まり。最初の2m程の滝は、淵の左岸をへつり、1.5mほど手前からトラバース気味に登る。昨年は浅くなっていたが、ここも釜の深さが戻っている。くっしーはすんなり通過。ユリアさんはややてこずっている。へつれなかった時のためにお助け紐+アブミを準備していたが、これは必要なかった。続く3mちょっとの高さのあるCS滝は左壁を登るが、これは高さがあり、落ちても素直にドボン!では済まないので、カム×2でアンカーを作って念のためロープを出して確保した。でも簡単なので要らなかったかも。続く小滝は簡単。左から登る。全身ずぶ濡れとなった二人は寒いですね〜と言い始める。寒かったら雨具を着てね、と10回ぐらい言っていたら二人とも上の雨具を着ることになった。
さて、その先にある4mナメ滝。東京周辺の沢(白山書房)では「難しい4mナメ滝」と記載のある滝だ。ここも昨年は浅くなっていたが、今回は足が付かない深さになっている。泳いで取りつく、水流右を這い上がる。後続にはカムを効かせてアブミを出した。くっしーは難なく通過。実は50cmも泳げないというユリアさんには、ザックが浮きになるから大丈夫と話していたのだけど、泳ぎ始めにザックがヘルメットにあたってパニック気味。ゆるゆると泳いでくる(YouTube)。腰ベルトをしっかり締めておけと言うべきだった。手がかりを掴んで登り切る。
さて、大滝へと続くゴルジュ帯に入る。時刻は9:45。早速CSトイ状4m滝が出てくる。この沢のハイライトの一つ。ここも淵が深くなっている。泳いで取りつき、突っ張りでズリズリと上がる。残置ハーケンとカム#0.5をアンカーにしてロープを出す。まずくっしー。ズリズリと登り無事通過。続いてユリアさん。泳ぎが苦手とあってまず最初の取りつきが難しそうで少し苦労していた(写真。手前で確保しているのは私)。そして突っ張りで登るのは得意ではないようで、結構てこずっている。ロープをしっかりと引っ張りながら、引き上げる気持ちでズリズリと登ってもらい無事クリアー。続く2段3+5mの大滝は、右壁を登るが、昨年ここでテンションをかけた人がいたので、ここもロープを出して確保した。
この先は易しい小滝・淵が連続する楽しい場所。僕も気持ちに余裕が出来て、くっしー・ユリアさんに先に歩いてもらう。寒かったが、時折陽が射していて、心が和んだ。2m程のウォータースライダー滝は今日は水流が弱いのか、途中で詰まっていた(YouTube)。その後も穏やかな渓流を登る(YouTube)。何でもない流れに心が癒されていく(YouTube)。初心者二人もサクサク登るが、時々、沢タビのフリクションの程度にまだ自信のないか、小滝に案外てこずることもあって(YouTube)、いつかこの程度で緊張していた時もあったんだなぁと思いながら見る日も来るんだろうなぁと思いながら見ていた。
岩・淵・小滝を見ると気持ちが高鳴るようになりました、というくっしーが、果敢に小滝登り、へつりに挑戦している。落ちてもドボンで済む淵で、これは落ちそうだな!と思って素早くカメラを構えたところ、動画撮影ボタンを押した途端にドボン!と落ちていたのが愉快だった(YouTube)。再挑戦して無事突破。怪我しない場所でのこうした挑戦の積み重ねが上達につながるのだと思う。
さて、気が付けば半円ノ滝6mに到着。この手前でヤマメが2匹泳いでいて心がときめいた。半円ノ滝は、突っ張って直登する楽しい滝。まず僕が何も無しで登って、その後二人にロープを出す。くっしーは突っ張り登りは得意そうで、これもサクサクと登ってくる。ユリアさんは突っ張り登りは不得意そうで、滝に取りついたところで足を滑らせて水流に揉まれている。少しロープを出して体制を整えてもらう。右壁を登っていいですか?と聞かれたので、右壁を観察。最後が嫌らしいが、残置スリングが上の方にあったので、これを手掛かりにできると判断してOKと合図した。横にいたくっしーに残置スリングにお助け紐をつないでもらって、5mの長さの手がかりロープを出す。落ち口の高さまで登り、その後は手がかりロープを持って振り子気味に落ち口に降りてもらった。無事登り終わってホッとした。そして、間もなくのところにある遡行終了点に到着。時刻は11:20。遡行時間は2時間40分。まあまあいいペースだった。
沢装備を解いて、11:25に出発。踏み跡を尾根沿いに登り5分ほどすると登山道(水根林道)に出る。途中で登山道を離れて民家の軒先を通過して、入渓点には11:45に戻ってきた。思った以上に速かった。デポした着替え・靴を回収し沢タビを洗う。ガスバーナーでお茶を沸かして飲んだ。温かくて美味しい。12:15前に出発して、10分かからずバス停に戻ってくる。道路端には彼岸花が咲いていた。そして12:30の奥多摩駅行きのバスに乗った。
奥多摩駅に着いてからは、駅から10分ほど歩いたところにあるもえぎの湯に行く。眼下の川原ではBBQをしていて美味しそう。このもえぎの湯は便利な場所なので結構混んで待ち時間が出来る温泉だが、流石に昼の13時前だとまだ空いているようで、待たずに入る。アルカリ泉で肌すべすべ。ゆったりとくつろぐ。その後は、ビールと焼鳥と枝豆とたこ焼きで打ち上げをやった。毎度のことながら、山を下りての温泉上りのビールは五臓六腑にしみわたる美味しさがある。
奥多摩駅まで戻る途中にある奥多摩ビジターセンターに立ち寄る。そして、14:42立川行きの電車に無事乗りこむ。東京方面は青梅駅から出る青梅特快に乗った方が早いようで、青梅駅で乗り換え。睡眠不足とビールの酔いもあってか爆睡。気が付けば最寄駅を通り過ぎていた。御茶ノ水駅で乗り換えて戻る。17時頃帰宅した。
相方が19:30頃戻るというので晩御飯を作る。鶏料理にしようかなと思っていたのだが、買い出しに行ったスーパーでは北海道産の生さんまが98円で売っていたので、その誘惑に抗しきれずに購入。タンパク質を取りたくて、さらにカツオのたたきも買ってしまった。晩御飯のメニューは、ご飯、ネギ+シメジ+サツマイモ+ナスの具だくさんみそ汁、もずく紅白なます、とろりとした野菜親子オムレツ(ササミ+卵+ナス+ネギ+ニンジン+わずかにショウガ)、最近ブームのレタス+大根+ニンジン+ミニトマト+ショウガ+鰹のたたき(サイコロ切り)のサラダ、そしてサンマの姿焼(+大根おろし+かぼす)。19:40を過ぎて帰宅した相方と、プレミアムモルツで乾杯した。
今回の野菜親子オムレツは特に美味しかった。いつも作る野菜オムレツは、細かく切った野菜をルクエに入れて2分レンジし、溶き卵(×2個)にパルメザン粉チーズを大さじ1〜2杯程加えたものを入れて再度2分レンジして完成なのだが、トロトロ感を出すために、今日は後半のレンジを1分40秒にして、その後1/4程残しておいた溶き卵を入れて20秒程レンジしてその後は蒸らしておいた。野菜オムレツは、ショウガやネギを入れておくとアクセントとなってほとんど味付けしなくても美味しくいただける。今日はそれにササミを入れたアレンジで、トロトロ感も素敵で相方としてはかなりヒットしていた。よかったよかった。
昨年7月にも訪れた水根沢(記録は書いていませんが)。深い淵が復活していたのは嬉しかった。初心者に泳ぐ楽しさを知ってもらうのに最適な美渓。コースも短いし、時間がない時には本当にいい沢だ。昨年は自分たち以外にも20人以上が入っていたが、今回は自分たち以外はいなかった(どこにも追い付かれず。また先行パーティーもいなかった)。天気予報が悪かったからだろうか。確かにちょっと寒かったけど、楽しいひとときだった。またいつか暑い季節に沢の魅力を伝えるために初心者をひきつれて来ることが出来ればと思った。

※遡行図は「東京起点沢登りルート120」を使用。でも水根沢に関してはあんまり詳しくない。「東京周辺の沢(白山書房)」も併用。


※写真付き記録はこちら(お散歩観察会のページ)