南八ヶ岳縦走2日目

目が覚めると0時半だった。再び目を覚ましたのが2時半。寝飽きていたのだけど、部屋の一番奥に寝ているので出るに出られず。ウトウトしかけて3時半に再び目が覚め、その後はずっと起きていた。4時半に起床。硫黄岳山荘はウォシュレットが付いているということでその実力を試しにトイレに行く。外は満天の星空。冬の星座がしっかりと輝き、東の空には月齢28の月がうっすらと輝いていた。
5時から食事。ご飯・豚汁・ニシンの煮つけ・納豆・海苔・卵焼き・キノコ・グレープフルーツ等が出てきた。5時半前に小屋の外に出る。朝焼けが美しい。そして5:40に出発。
ガスはきれいに晴れて美しい。稜線に上がると北アルプスの山々が輝きだすのが見えた。美しい。その山の名前が何かを推測する。8月に購入した単眼鏡が大活躍。買ってよかった。朝出発した登山者が列になっている。それほど寒くはない。風は弱く、霜柱はあっても凍りついている様相ではない。念のために軽アイゼンを持ってきたのだが、それは全く必要なかった。
台座ノ頭に着く前には日の出となり、残念ながら日の出は見えなかった。その先奥ノ院の手前から本格的な岩場が始まる。まず左側を通った後、右側に抜ける。絶壁。そこを鎖を使ってたどって、その後岩場を登る。岩場を登る手前のひやりとする場所で振り返った際に、前にいた人にザックがあたる。勘弁してくれと言われる。確かに悪いことをしたなと思った。それ以上何もなくて良かった。そして人が多いのは大変だと思った。岩場を登って左側に戻る。その先は冬用のハシゴがあってそちらからでも行けるのだが、真直ぐ進んで稜線場に出て少しだけ進むと奥ノ院に到着。6:30。ここまでの岩場にハヤカワさん、テラオカさんは大興奮!かつて自分は2月に一人でここを通過していて、振り返るとよく何も怖がらずに行けたものだなぁという思いも持ったりした。
それにしても、東に広がる雲海が素晴らしい。盛り上がった雲海の先に陽が射しこみ、神々しいの一言。何枚もシャッターを切った。南を見ると今日歩く稜線が一望できる。素晴らしいコンディションの下で山に来れたことが嬉しかった。
その先の岩場も時に渋滞に巻き込まれながら歩く。八ヶ岳北アルプスと違ってペンキが付いていなかった。それはそれで新鮮だった。赤岳の基部に近づくほど、すれ違う人も増え、待ち時間も多くなった。
何箇所か階段や岩場を上り下りし、何箇所か岩場をトラバースして、7:40に赤岳展望荘に無事到着。お湯を沸かしてお茶を飲む。ホッと暖まって美味しい。赤岳展望荘のチップトイレを借りる。しかし八ヶ岳の小屋もなかなか立派なものだ。
8:05に出発。赤岳山頂まで標高差で200m。この部分を通るのは初めてとなる。途中にそれなりに急なところもあって、ゆっくりと登る。途中でカナハナさんと一緒のジャケットを着たおじさんがいたので並んでもらって写真を撮る。そして、たくさんの人がごった返す2899mの赤岳山頂に8:40に到着!!!ここに来るのは2002年の正月以来。その時は吹雪の中で何も見えなかったので、今日のこの素晴らしい天気と大展望が嬉しい。そう南を見れば連なる権現岳、その後ろには南アルプス鳳凰三山甲斐駒ヶ岳北岳千丈。千丈は単眼鏡で覗くと千丈カールがよく見えた。甲斐駒ヶ岳、千丈は2000年の年の暮れに登ったのだが、ただ、ただ懐かしさを感じる。
さて、少し休憩してから下山開始。9:00。当初は文三郎尾根を下って行者小屋に降りて、そこから南沢ルートをたどる予定を立てていたのだが、天気がいいこと、まだ元気なことから、阿弥陀岳を越えて御小屋(おこや)尾根を下る計画に変更する。赤岳直下の急な岩場を下って、ざれた登山道を下る。次々と登ってくる人がいて時々待機する。9:25に文三郎尾根の分岐に出る。決断の場。一息置いてから、阿弥陀岳に向かって歩き始めた。
途中に中山で50m登り返して、その後50m下ってから150mを登り返す。先ほどまでいた赤岳が威圧感を持ってそびえている。天気は青空が広がり日差しがきつい。途中でハヤカワさんがバテ気味。バテて注意が散漫になり怪我をしたり、また動けなくなっても困るので、ゆっくりと活かさず殺さずのペースで登る。阿弥陀岳の登りは結構急だった。こちらもペンキ印はついていなくて、こちらかなぁといいながらちょっとした岩場を登って上に向かう。10:35に無事阿弥陀岳到着。初めて登ったのでやっぱり嬉しい。集合写真を撮ってから家から背負ってきたミカンを食べて一息つく。カナハナさんがおじさんたちのグループに大人気!我々のパーティーはおじさんたちのグループからは、若い女性がいて羨ましい!と羨望の目線・メッセージをいただいた。
さて、10:50に御小屋尾根に向けて出発。急に細くなった道を歩く。岩場が出てくる。赤岳を背にしてハシゴを登って鎖を伝う(写真)が、短い距離ながら割と高度感がある。その先はすっぱりと切れ落ちた岩壁が見える。その上の岩峰で休んでいる3名の登山者がいたのだが、見ていて冷や冷やした。その先で、その岩峰に行ったが反対側だと案外怖くない。眼下にはこれから下る御小屋尾根が一望でき、素晴らしい景色なのだけど、長いなぁと息をついた。
その先の下りはまずは急な長い下り。最初はロープを伝ってざれざれのところを下るが、足場が悪く膝に響く。景色は良いけどあまり良い道とは言えない。30分ほど下ってようやく傾斜が少しだけ緩んでくる。色づいたダケカンバが美しい。腰を少し痛めているテラオカさんがそれを庇ってゆっくりと下ってくる。樹林帯に入ってからもしばらく急だったが、不動清水の分岐に着くころには大分傾斜が緩み、その先はかなり歩きやすくなった。
不動清水の分岐で大休憩。12:05。お湯を沸かす。その間に僕は不動清水に水を汲みに行く。100mも行かないところで、水が湧いていた。ラーメンを作り食す。途中ラーメンをこぼすというトラブルがあったが、ハヤカワさんが1食余分に持ってきてくれていたので再度作る。僕は芋焼酎オランジーナ割もいただいた。美味しかった。そして12:55に出発。
この先は森の中の素敵なトレイルとなる。シラビソ、コメツガ、ダケカンバが混ざる。ふかふかしていて苔むしてもいて歩いていて楽しい。13:25に御小屋山の分岐につき、この先は少し急な下りとなる。カラマツ林が色づき始めている。中山あたりですれ違ったトレイルランナーが追い抜いていった(赤岳に登った後、戻ってきたのとのこと)。ゆっくり歩いて14:25に車道にでる。その直前100mほどのところにシラカバが2本並んで生えている分岐は、まっすぐ進まずに右に下る必要があるので要注意(看板もあるがわかりにくい)。
別荘地の中を歩いて、美濃戸口へ。ゆっくりと歩いていたテラオカさんを迎えにタクシーで向かう。その後は茅野駅に直行。17時過ぎのあずさ号の切符を買った後、駅の横のそば処茶屋で打上!生ビール、ハイボール、焼酎が五臓六腑に染み渡る。下山後の乾杯はやめられない。最後に新そばを食べて締めとした。
帰りの特急では、まずはハイボールで乾杯!でもその後は酔いもあって爆睡だった。はっと気がつくと立川。その後も眠って新宿に着く。その後は各駅停車に乗って最寄り駅へ。フラフラしながら家にたどり着き、その後相方と晩御飯を澄まし顔で食べた。
初めて訪れた“無積雪期”の八ヶ岳。山は紅葉に包まれ、彩り豊かで美しかった。寒さを相当警戒していたのだけど、風も弱く穏やかで天候には本当に恵まれたと思う。体力的には楽勝だったけど、やっぱり空気は少しだけ薄いなと思った。天候と面子に恵まれた南八ヶ岳縦走が幕を閉じた。


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