厳冬の会津駒ヶ岳山スキー 初日

昨年何度も一緒に山に行ったコイケ君から、週末に会津駒に山スキーに行きませんか、という誘いを週初めに受けた。ちょうど三連休をどうするかなぁと考えていたところだったので、渡りに船の提案で、三連休の初日・二日目を使って1泊2日で会津駒ヶ岳に行くことになった。会津駒ヶ岳(標高2133m)は100名山の一つで、3月以降の春スキーの時期には山スキーのメッカとなる山。この山に登るのは、大学時代の部活の三月合宿(山スキー合宿)で訪れた2000年3月以来。その時はガスがかかって視界が悪く標高1950m付近で引き返した。その一度以外でこの地を訪れてたことはなくて、いつか山頂にも行きたいな、と思っていた。参加者は他に、よく一緒に山に行っているカナハナさんとエナさん。結果、合計4名のパーティーが出来上がった。
朝6:20浅草発の電車に乗るべく家を出る。テントも入っているので、ザックが大きい。そうそう4人用のテントをついに買ってしまった。今使っているテントは、1995年8月に買ったIBS石井スポーツ(←今はIBSはなくなってしまいました)のウルトラライトテント1型(アライテントのエアライズに酷似)。大きさは1m×2mで、いろいろなところを旅する時はいつも共にしてきた愛用のテントだ。1人用なので、狭いのだが、相方とキャンプに行く際でもいつもこれだけだった。でもそろそろもう少し大きなテントも買いたいなと思い続けていて、いっそ買うなら(何名かのパーティーを組んだ際にも使いやすそうな)4人用ぐらいの大きさのテントを買おうと、ここ3年ほど物色していたところだった。しかし、そこそこ高い買い物なので、なかなか踏み切れずにいたのだけど、今回の山行で、当初の計画にあったテントなしで雪洞(かツェルトだけ)というのは、メンバーの2名は雪洞泊をしたことがない状況ではややリスクが高いかなと思ったことを口実に、この際!と思い切って購入してしまった。
買ったのは、モンベル ステラリッジテント4人用。2m×2.3mの広さがあるけど、張り綱・ペグ等を含めても2.3kgという超軽量テント。その分生地は薄いのだが、それはそれでいいだろう。大事に使っていきたい。
浅草で3名が電車に乗り込み、春日部でもう一人が合流して無事全員集合。冬晴れの空の下、会津高原尾瀬口駅を目指して電車は進む。6両編成の電車で、終点の会津田島まで行くのは前2両のみで、他は途中駅で2回切り離しが行われるのだが、乗っていたのが前から4両目だったので、新藤原駅で先頭車両に乗り換えた。しかし、会津高原尾瀬口駅まで乗り換えなしで行けるのはすごいと思う。9:20に会津高原尾瀬口駅に到着。そして9:55発のバスに乗って、会津駒ヶ岳登山口に向かう。晴れてはいるが、雪が舞い始める。あたりの景色は段々と雪深くなって11:25にようやく登山口に到着した。
登山口から延びる道にはトレースが付いていた。30m程先にあるトイレ(冬季使用中止)のところに荷物をデポして、11:45にようやく出発。今回は、カナハナさん、コイケ君、僕が山スキー、エナさんはスノーシューという足まわり。さらには、コイケ君と僕は登山靴で山スキーという仕様だった。11月に買った山スキーのようやくの山スキーデビューとあって悦に浸る(買って以降、スキー場でばかり滑っていたのです)。雪がちらつく中、トレースを辿ってテクテクと進む。標高980mの橋を渡ったところから、左俣の沢に入り林道をショートカットする。そして1090mの林道の屈曲点に出るのだが、そのまま沢沿いに行くトレースと、登山口に向かうトレースとあった。悩んだが、登山口に向かうトレースを辿る。結果的には、そのまま沢沿いに行くトレースの方がいい(翌日の下りはそちらを通った)。さて、12:35に登山口の急な階段の右側の斜面を上がる。それほど難しいわけではないのだけれども、変なルートに慣れていないカナハナさんが結構手こずっている。キックターンの度に消耗していたのだけれども、板を回すコツを教えると段々と上手くなる。まあしかし、短いけれども急な段差があるという、スキーが苦手とする斜面の一つだった。雪は柔らかく、登っている斜面の右側の斜面には一か所大した大きさではないけれどクラックが入っていた。蹴っ飛ばせば小さな雪崩が起きそう。高度を上げると遠くが見えてくる。雪は降り続く。
実は病み上がりだというカナハナさんがどんどん消耗していって、ゆっくりとしたペースになる。今日は1650mのところまで上がることが出来るかなぁと考えていたのだけれども、とてもではないが無理そうなペースだった。1270m付近の会津森林管理署南会津支所の看板のあるところで大休止。14:00。10分ほど遅れて上がってきたカナハナさんにはオニオンスープを飲んでもらった。体に力が入っていない感じだ。振り返ると完全にシャリバテだったのだと思う。ここで今宵の宿は、1350m付近にしましょうという決定をした。あと標高差で70mぐらい頑張りましょうと話をするのだが、相当疲れた表情をしていたところ、なんとコイケ君が、僕がザックを背負います!との男気を見せてくれた。さっすがぁ。これだから北大山岳部OBは一味違う。ということで、ザックの雨蓋の間にカナハナさんのザックをくくりつけて、14:30に出発(写真)。僕は先頭でラッセルをしていたのだけれども、なかなかいいコース取りが出来たと思う。14:55に1350mにまで登って、今日の行動はこれにて終了。平らで快適そうなところ。ブナの木には似顔絵が刻み込まれていて、その顔が結構リアルだった。
新品のテントを張る。スキーで固定できるようにフライシートのループには細引きで15cmぐらいの輪を付けておいた。フライシートのオレンジが雪に映えている。いいなぁ。
テントの中に入ると、早速赤ワインを頂く。美味しい。雪洞を掘ろうかという話もあったのだけれども、ワインを飲んだ後はもうそんな気は失せてしまっていて、また、16時の天気図を取ろうという話もあったのだけれども、携帯電話が通じて天気図をダウンロード出来たので、もはや書く気は失せてしまって、結局何もせずにダラダラと過ごす。みんなお腹が空いていたようで、パンやら、コイケ君に至ってはカップヌードルを食べた後、ようやく晩御飯の食事の準備をした。
晩御飯は、大定番のポークチリビーンズ。米は賞味期限切れで頂いたアルファ米を食べる。美味しい。晩御飯後は、水づくりをやった後、宴会が始まる。コイケ君が日本酒を瓶で持ってきていた。すごい!でもそんなに余裕なんだったら今度はもう少し共装を振ることにしよう。他には、ワイン・梅酒・ウィスキー等を頂きながら、一足早いバレンタインチョコレート、スモークチーズイカの塩辛、スモークタン、大人のじゃがりこ、ほやの燻製、スコーン等等を頂きながらのんびりとした時を過ごす。陽はすっかり落ちて、ろうそくの明かりが優しくテントの中を照らしている。テントは高い買い物だったけど、本当に買ってきてよかったなぁと思った。外に出ると雪は止んで星空が見える。まだ昴やアルデバランが空高くに輝いていた。オリオン座も堂々たる姿で横たわっている。マイナス10度以下と思われる澄んだ空気の下で、遥か遠くの宇宙に想いを馳せる。
20時半を過ぎて寝る準備。大学の部活をやっていたころは、3〜4年生の時は単独行以外ではテントに寝た記憶がほとんどない。大学4年生の時は積雪期も一度もテントには寝なかった気がする(南アルプス聖岳に正月に行った際には無人小屋に泊ったことはありました)。最後にテントで大人数で寝るのは、2007年3月にお散歩会で知床岳を目指した時以来。テントの中は狭いんだよなぁと思いながら準備をしていたのだけれども、このテントに4名だとそこそこ広くて想い他快適だった。シュラフに入ってものの3分も経たないうちに、僕は他の方に先駆けて早々と眠りに着いた(らしい)。