奥多摩 倉沢谷塩地谷 沢登り

今年のお散歩観察会沢登り第二弾として、奥多摩の倉沢林道の奥にある塩地谷(しおじだに)に行くことになった。この沢は、13年前、僕はまだ沢登りのロープワークの技術を身につけていなかった大学二年生の春に一度訪れたことがあるはずなのだけど、ほとんど記憶に残っていない。なので再訪を楽しみにしていた。
面子は、今シーズン初沢というまりりん先月一緒に沢に行ったザハくん、ハラサワくん、そして僕の計4名。台風の影響で、天候が不安定で、天気予報に翻弄され、出発まではかなりやきもきした。前日の夜19時を過ぎて、ようやく決行と判断して出発に備えた。
朝は4時に起きて準備を進める。4時半過ぎに、決行の判断に変わりなし、とのメールを参加者に送付して、その後家を出た。天気が持つのは12時まで。多分、大丈夫だろう。
中央線に乗り、立川・青梅で乗り換え、7:17に奥多摩駅に到着。メンバー全員無事集合。そして7:25発の日原行のバスに乗った。
7:43に倉沢のバス亭に到着。強い日差しを浴びて雨上がりの森から蒸気がモクモクとたっていた。しっとりとした空気に包まれた林道をテクテクと歩く。暑い。この林道を行くのは8年ぶりか。懐かしさにかられながら歩く。8:17に標高700mの魚留橋に到着した。入渓準備を済ませて8:35に出発。塩地谷の入口の2段10mの魚留滝は登れないので、さらに林道を少し歩き、カーブを曲がり終えてから少し先に進んだところから、崩れやすい斜面を伝って魚留滝の上に出る。ここから入渓。8:45。
苔むした岩を間を涼しい渓流の水が流れる。そこそこ川幅もあって解放感もある。魚留滝の上だけど、ヤマメかイワナがいた。一つ一つの岩は割と大きい。あたりに広がる渓のせせらぎにつつまれながら先へと進む。
地蔵滝8mには8:55に到着。ぼんやりと覚えている気がした。この滝は左から大高巻き。雨の後でさらに崩れやすくなっている斜面を慎重に登って、山道に出る。暑い。汗が滴り落ちる。山道を40mほど進んで、木の橋が2つかかっている先から(今回は木に目印があった)下る。適当な木から懸垂下降で下った。遡行図には2ピッチ懸垂下降、とあったが、50mロープのためか、1ピッチの懸垂下降で足りた。ほ。降りた先の風景は何となく覚えていた。まだ19歳だったあの頃。少しだけ思い出に浸る。さて川床に戻って再度出発。9:30。
この先はゴルジュの中を小滝が連続する。水はそれほど冷たいわけではなかった。GoProを付けて挑んだりして(YouTube)、沢の楽しさを満喫する。釜を持つ6m滝はわずかに戻って左側を高巻いた。
さて、6mCS滝(チョックストーン滝)。9:50。滝の右側に残置ロープがあるが、ここは遡行図通り少し戻って左から高巻くことにした。ここでルートを迷った。今日は雨上がりで土の斜面がグズグズなのだけど、滝のすぐ上に向かうルートが少し怖そうに思えたので、他の面子に待ってもらって左側斜面を上まで行ってみたのだけど、これがなかなか悪かった。下るタイミングを逸して、気がつけば山道まで出てしまっていた。これは完全にルートミス。懸垂下降でとりあえず戻ってくる。30分ほどの時間ロス。先ほどの滝のすぐ上に向かうルートにロープを付けて行く。実際に行ってみるとそれほど怖いわけではない。でも湿った落ち葉は崩れやすかった。滝の上でロープを固定して、プルージックで通過してもらう。いやはや時間がかかった。さらにその先河床に降りるところで、そのまま行って高度感満点場所に出たので戻ることにした。一段上から回り込む。こちらは問題なし。無事巻き終わったのは10:50。一時間もかけてしまった。いやはや。
6m滝は右から簡単に巻いて11時過ぎに芽尻沢を過ぎる。山道との合流点も過ぎて先へと進む。標高950mで合流する小ガッコー沢には11:15に到着。その先に3m滝、そして3×5mトイ状滝が出てくる。このトイ状滝は突っ張りで越えるが、越えた後急なウォータースライダーとしても楽しめそう。ということで、ザハくん(YouTube)ハラサワくん(YouTube)、僕、と試した見たが、水中に膨らんだ岩があって僕はここで右足踵を強打した。痛タタタ。かかとの打僕は2001年7月以来。あの時は釜に飛び込んだら思いの外浅くて両踵を打撲して歩くのに苦しんだが、今回は片方で良かった&他の人が怪我しなくて良かった。反省。
右足に気を使いつつ、棒杭沢を分けて先へと進む。このあたりは渓畔のサワグルミの木が何故かたくさん切り倒されていた。何かの実験なのか?何のためなのかさっぱりわからなかった。まだ日差しはあって、差し込む日がまばゆかった。
小滝をいくつも越えて行くと、11:40に7m滝に到着した(写真)。この滝も左から巻くが、遡行図通り、ロープを張ることにした。僕がリードで出発。最初少しだけ急な岩を登り、上に出たところで岩場をトラバースして滝の上に出る。最後のトラバースでは残置ロープもあった。そしてロープを固定してハラサワくん、ザハくん、最後にまりりんと続く。沢に慣れていたらロープがなくてもいいかも。後ろから三人組のパーティーが追い付いてきた。全員登って12:10に出発。予報通り、雨が降り始める。
990mの沢を分けて、その先の小滝群は右から巻き気味に登った。6mCS滝は、僕が水流沿いを、その他の人は滝の左のリッジを登った。その上は、サクサクと登る。打撲した右足踵に気を使いながらつま先歩きを続けていたので、かなり足は疲れていた。
1170mで休憩。12:45。後続パーティーが追い抜いていった。雨は少し降っているが、樹林の下ともあってそれほど濡れるわけではない。ガスバーナーでお湯を沸かしてお茶をする。すっかりお散歩観察会の恒例となった成城石井のケーキシリーズ。今回は成城石井オリジナルチーズケーキというノーマルなものだが好評だった。持ってきてよかった。
13:05に出発。右足踵に気を使いながら歩く。1280mの沢の合流点手前で5×8m、5m滝が続く。滝の中に咲いた花が美しい。その先は少しガレた急な斜面をひたすら詰め上がる。足に痛みがじんわりとひびく。そして霧の中、標高1430mの一杯水に詰め上がった。13:40。無事遡行終了。ほ。
沢の装備を解く。先ほどすれ違った3人組のパーティーの方と話をする。学生さんですか?と聞かれて狂喜乱舞するまりりん。最後の詰めでは結構疲れていたのだけど、おかげで疲れも吹き飛んだ(気がした)。
さて、バス時刻表を調べると、東日原発のバスが14:50、その次が16:17だった。ここ一杯水から東日原までのコースタイムは1時間40分。中途半端な時間だ。でも、せっかくなら14:50に間に合うように行くか!ということで、ここから下まで沢道具の詰まったザックを背負ってトレイルランニングすることになった。
13:52に一杯水を出発。走る。踵は痛いが、走ればつま先着地もできるので歩くよりも楽だった(左足は踵(というか足の裏全体で)着地)。間に合うかどうかかなり不確定だったけど、快適な尾根道を走っていく。1100mを過ぎて、下りが多くなり始めるころ、大体分速で18-26mずつ高度を下げていた。バス亭の標高が630m。残り時間を考えると分速20mで下れば間に合う、そんな計算をしながら下る。道路が見えた時はホッとした。そして14:42に東日原のバス亭に無事到着。50分。ちょうどエアリアマップのコースタイムの半分だった。そして、バス亭に到着すると雨足が強くなった。
今回の沢の記録をまとめた動画はこちら(YouTube、5分)

ショートバージョンはこちら(YouTube、4分)

バスに乗って奥多摩駅へ。この後別件があるというハラサワくんは一足先に帰ることになり、小雨がぱらつく中、まりりん、ザハくん、僕で奥多摩駅から歩いて10分のところにあるもえぎの湯に行った。もえぎの湯ではポカポカと温まる。ふぅぅぅぅ。踵に気を使ったし、最後走ったから明日は筋肉痛だろうなぁと思いながら体をほぐしていた。温泉上りは、休憩所でビール&軽食。疲れた体に生ビールがしみわった。美味しかった。
16時半前に温泉を出るころには雨が上がり、陽が射し、あたり一面は清々しい空気に包まれていた。16:40に駅に戻って、16:57発のホリデー快速東京行に乗る。ホリデー快速に乗れると途中乗り換えがないので快適。電車では爆睡した。
自宅には19時前に戻る。さすがに足が痛む。晩御飯は相方が作ってくれた。感謝。右足踵を打撲したウォータースライダー滝での登り、下りの様子を確認したが、何故かGoProには記録されていなかった。残念無念。
13年ぶりに訪れた塩地谷。記録が残っていないのでほとんど覚えていなかったのだけど、かつてもここを登って今の自分につながっているのだろう。そして今回は、一か所ルートミス(その後リカバリーしましたが・・・)、そして右踵打僕ということをやってしまった。数日間は痛みが残るだろう。反省。沢自体は小滝登りあり、巻きあり、懸垂下降ありで面白かった。またいつか、訓練を兼ねて行くのによい沢だなぁと思う。


※遡行図は「東京起点沢登りルート120」を使用
※写真付きの記録はこちら(お散歩観察会のページ)