西丹沢 小川谷廊下 沢登り

朝4:20に起きた。昨晩は懇親会があったので、少々体が重い。しかし寝過ごさずに済んだのでホッとする。起き上がり、最終の準備を始める。そして、5時頃家を出た。

台風が接近する中、週末の天気をかなり心配していたのだが、結果的には関東南部は良く晴れる天気となった。お散歩観察会沢登り企画の募集をかけたところ、当初5名ほどのメンバーとなる予定だったのだけど、仕事やら何やらでキャンセルが相次いで結局はザハくんと僕の二人だけとなった。場所はどうしようかと話をしていたのだけど、水にたっぷり濡れる系の沢がいいです、とのリクエストを受けて、昨年も訪れた丹沢の小川谷廊下に行くことになった。

朝5:46新宿発の小田急急行 小田原行に乗って新松田へ。山の上には雲はかかっているが良い天気だ。7:04に新松田に到着。無事集合。そして、7:20発の西丹沢自然教室行のバスに乗る。バスは案外空いていた。小一時間乗って、8:10ごろビジターセンター横にある玄倉バス停に到着。暑い日差しの下、登山届を出して、出発。

林道をテクテクと歩く。途中で橋を渡って仲の沢林道に入る。途中10名ほどの沢登りパーティーを追い抜く。どこかの山岳会なのだと思う。8:55に490mの入渓点に到着。ここに着替え等の荷物をデポし、沢に入る装備を整える。と4名ほどの他のパーティーが通り過ぎていった。流石、小川谷廊下、大人気だ。

9:10に出発。まずは広い川原を歩く。水量は少なめだ。砂防堰堤は左岸側に付いているハシゴを登って越える。9:20に穴ノ平沢出合。ここから小川谷廊下に入る。

9:25には、早速最初の3m滝。ザハくん、僕の順で、花崗岩フリクションを確かめながら慎重に右壁を登る。
続く5mCS(チョックストーン)滝は、右を行く。去年と異なり、倒木がいくつも立て掛けられていて、さらに新たなボルトが打ちこまれ、残置スリングが足されていた。これなら楽勝だな、と思うが、案外左足のスタンスがなく、最後は突っ張り気味で上がる。特に何も出さずに通過。

さらに続く6m滝は、ザハくんが左壁を、僕は右から巻き気味に登った。
この先も小滝・滝が連続する。

5m・2mの2段滝は左壁を水流に向かって登り、左に斜上する。特に問題なし。

その先で林道で追い抜いた(後に、沢にはいる準備をしている途中で追い抜かれた)10名ほどのパーティーに追い付いた。先に行かせていただいた。

標高580mのワナバ沢を分けて、ゴルジュ帯に入る。最初の3m滝はさっくりと左から登り、その先の6m滝は、左岸を巻く。途中に急なルンゼを残置スリングを掴みながら下りトラバースするところがあるのだけど、高度感は満点で、慣れていないと緊張するところ。下を見ないようにして通過する。そのすぐ先で河床に巻き下りてホッとする。

その後のひょんぐりの3m滝は淵がエメラルドグリーンに澄んで美しい。水流の裏側をくぐり右壁を登る。

少し進むと小川谷名物の大岩が出てきた。9:55。大岩には長い残置ロープがつけられているのだけど、何と途中のところで畳まれていて、一番下まで届いていない。誰が畳んだのだろうか?課題を作ってくれる人もいるもんだ。ダッシュで駆け上がるが最初はギリギリ届かず滑り降りる。何度か試してザハくんが無事キャッチ。お助け紐にハンマーを付けて投げて引っかけても良かったかもしれない。何はともあれ無事ロープを下ろせてほっとした。ロープを手繰って大岩を登る。角度の割には滑りやすい。ロープがなかったら大岩は登れないなと思う。

少し歩くと、4〜5名のパーティーが右岸のルンゼから懸垂下降で降りてきた。話をすると、ほとんどの人は知らないけど、ここから入るルートもあるのです、とのこと。ではお先に、と先に進む。10:05に石棚のゴルジュに入る。今日は水量が少ないので、水流沿いを簡単に進める。

出口付近の7m滝は、水流ギリギリの右壁を快適に越える。水量が多ければこのルートは厳しいのかもしれない。水量が非常に多かった3年前にどう通ったかはよく覚えていない(たしか左壁を登ったような気もする)。

さて、小川谷廊下の大滝、石棚2段20m滝。

この滝は登れないので、右岸の岩場を巻く。ここに先行パーティーがいて、リードで登っているところだった。少し待ってから登る。傾斜はきつくて高度感もあるので、ザハくんには念のためお助け紐を出した。

石棚の上の小滝・ナメを快適に進む。が、沢が結構荒れていて、倒木が多く、また川底には砂利が溜まっていた。去年は無かったのに。これらがきれいになるにはそこそこの増水が必要だろう。
途中で、先行していた2人組を追い抜いて進む。
深い釜の小滝は案外ホールド・スタンスが豊富で簡単。泳いで取りつき、はしゃぎながら登った。

そして、最後の滝である樋状8m滝に辿りつく。10:50。昨年に引き続き、釜は土砂で埋まって膝ぐらいの水深になっている。滝の左ルートの途中には新たにリングボルトが打ちこまれていた。僕リード、ザハくんがビレイで、ロープを付けて滝に取りつく。

釜が埋まってしまっているので、取りつきは簡単。水流のすぐ右に取りつき、体を上げて、リングボルト支点でランナーを取る。その先のリッジ状はホールドはあるのだが、スタンスが不安定。ここは岩が剥がれおちてルートが変わってしまったところだ。どうしようかと悩んだが、昨年と同じく水流直上の樋状部分を突っ張って乗り越える。途中で2cmほどスリップしかけてドキリとした。無事登り終えてホッとする。ここで、ヘルメットに着けていたGoProの撮影ボタンを押し忘れたまま登ってしまったことに気がつく。失敗したなぁ。

ザハくんはリッジ状を直上してきた。ザハくんには2週間前の大荒川谷では15m滝をリードしてもらったが、やっぱり(セカンドで)ロープが付いていると安心感が違いますね、と話していた。

樋状8m滝のすぐ上にある崩れかけた石積堰堤を越え、すぐ先の遡行終了点の川原には11:10に着いた。遡行時間は2時間きっかり。いいペースだった。

川原で沢装を解いて、流木を拾って焚き火をする。お茶を飲みながら、持ってきた焼き豚を焚き火であぶって食べた。美味しい。

12:25に下山開始。斜面を登り、中ノ沢経路と名付けられた作業道に出る。少し行くと崩壊しているので、右の斜面の上に続くう回路を進む。その後も所々で崩壊しかけている細い道を歩き、13:10に林道に出る。仲の沢林道は入口にチェーンがかかり通行止めになっているため、いつもは車が数台は停まっている穴ノ平橋付近も静かだった。
下る途中で鹿が死んでいて強烈な悪臭を放っていた。

荷物をデポした490m地点には13:25に着いた。荷物をまとめ、沢タビを洗い、13:40に出発。
暑い日差しの下ではあったけど、途中吹き抜ける風は秋の気配を感じて、「秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる」の藤原敏行の短歌を思い出した。
玄倉のバス乗り場には14:25に到着。15:06のバスに乗る予定だったのだけど、何と14:26のバスがあったので、慌てて着替えて、無事乗り込む。ほ。そして、新松田駅へ。

新松田駅では、バスチケット売り場横の海鮮居酒屋で打ち上げをやってから、解散。


■今回の沢をまとめた動画はこちら(YouTube、6分弱)


小田急線に乗って、18時前に新宿に戻ってくる。最後は酔いもあって爆睡していたので危うく折り返して、戻っていくところだった。いやはや。

小川谷廊下は10年前、一昨年昨年に続いて4回目。山崩れがあったのか、沢に倒木がたくさんあったのは残念だったが、またきれいになるだろう。毎年見ると変化がわかるという面白さはある。そして、遡行2時間というのは本当に早かったと思う。またそのうち訪れてみようと思った。


※写真付き記録はこちら(お散歩観察会のページ)