休日 Châteauguay Kayaking

朝6時半に起きて準備を進める。荷物を抱え7時20分に地下の自転車置き場に下りて、自転車にカヤックを積み込む。過去にバイクにインフレータブルカヌーを載せて旅したことはあるけど、自転車に載せるのは初めて。幸い(そして狙い通り)先週購入した自転車のサイドバッグが素晴らしい安定台となり、無事積み込むことに成功。後はこの重量物を載せた自転車でうまく先に進めるかどうかが問題なのだけど。

手に入れたカヤックを初使用すべく、場所をいろいろと考えていたが、まずは先月初めに訪れたモントリオールの南部、セントローレンス川の対岸にあるシャトーゲー(Châteauguay)という町でカヤックをしてみようと思った。ここにはマルグリート=デュービル保護区(Refuge faunique Marguerite-D’Youville)という自然保護区があるのだけど、この保護区はサン=ベルナール島(Île Saint-Bernard)という島からなっていて、この島を一周しようという魂胆。地図はこちら。

さて、7時40分に出発。流石にたくさんの荷物を後部のみにバランス悪く積んだ自転車は、最初は慣れずにふらついていたが、次第に慣れて落ち着いてペダリングが出来るようになった。Atwaterマーケットを過ぎて、ラシーヌ運河沿いを走る。人が少なくて快適。すれ違った何名かのサイクリストが僕の荷物がカヤックだと気づくと雄叫びを上げて声援を送ってくれた。運河の入口、ルネ=レヴェスタ公園(Parc René-Lévesque)の入口にある船着き場には、8:20には到着した。ここまで11km。特にトラブルもなく順調だ!
18ドル払って往復分の切符を買い、船に乗る。かつてシャトーゲーに住んでいたというおばさんから、カヤックするんだ、いいねぇ、と話される。
8:45にシャトル船が出航。ほぼ満席。波を切って、セントローレンス川を横断する。遠くにはモントリオールダウンタウンのビル群が見える。広い川だなぁと思う。

9:45にシャトーゲーの船着場に到着。

どこから出発しようかとうろうろしたが、結局この船着場の付け根から出発することにした。自転車の荷台からカヤックを下ろして、空気を入れる。あっという間に組み上がるのがいい。船員のお姉さんからも、もう完成したの?!と驚かれる。ふふふふ、これがこのFeathercraftの最新艇エアロナットの実力よ。
その後、一組の母娘がここにやってきて、水切り遊びをして遊んでいた。話しかけられて、日本から来たんですよ、と話をすると、お子さんの一人が日本のことが好きだそうで、日本語で挨拶してくれた。その後一緒に水切りをして遊び、この遊びは日本語ではMIZUKIRIと言います、と話した。まだ日本に行ったことはないのだけど、もう日本に行く準備はできているわよ、と話されていた。異国で聞く日本語。ホッとするひととき。
さて、組み上がったカヤックに荷物を詰め込み、進水式

ウィスキーを船首と船尾にかけてこれから楽しく、面白く、そして安全にこのカヤックと旅が出来ることをお祈りした。10時半を過ぎてようやく出航。久々のカヌーに少々の身震い。
漕ぎ出してすぐ、懐かしさに駆られる。でも最初にふらついた時はちょっとだけ肝を冷やした。まともにカヤックに乗るのは屋久島以来だ。お盆に実家に帰った際にカヌーに甥っ子を乗せて川遊びをしたことはあるが、しっかりと漕ぐのは実に5年ぶり。いやはや。
今回は船首にGoProを装着した。この結果、久々自分撮り満載の旅が出来るようになった。操作は手元のリモコンで行える。GoProで滝登りスキーを撮ってきたが、今回のセットが一番GoProっぽい気がした。
さて、漕ぎ出して早々、眼前に鵜が現れるが、まだ体が慣れず、見逃した。う〜んと思っていると、そのすぐ後に今度は鵜が魚を咥えていた。これは逃すわけにはいかない、とズームカメラを構えて何とか撮影した。

最初はカヤックがふらつくような気がしたが、すぐに慣れてうまく撮れるようになっていった。
左手のマルグリート=デュービル保護区を見つつ、のんびりと進む。水草が多く、水草の間にはたくさんの魚がいた。それだけで心がときめく。

橋を二つくぐって、島の東側を進む。蓮がたくさんきれいに咲いていて、その間をたくさんのトンボが舞っていた。美しいの一言。幸福感に包まれながら進む。そうそうこの感覚だった。

時々ボートが通り過ぎると、波が押し寄せてきて、大きい場合はカヤックの方向を変えて退避した。時折パドルを生い茂る水草に絡ませながら、のんびりと進む。

ラシーヌ運河の入口からシャトーゲーまで乗ってきた船が折り返して戻ってきて、手を振って挨拶した。

さて、シャトーゲー川は終わり、セントローレンス川に出る。でも、この辺りはだだっ広いのでセントルイス湖と呼ばれている。近くにはセントローレンス海路の入口もあって、大型船も行き来する場所だ。
何組かカヤックのパーティーとすれ違いつつ進む。セントルイス湖に出るとちょっとだけ波が出て、しかも向かい風で、漕がないと後ろに戻された。少し進んでBaite du Nordというところに着く。

モーターボートはちょこちょこいて、みな手を振って挨拶してくれた。泳いで遊んでいる人がいる。カヤックも停まっていたのでここに上陸した。
上陸後、カヤッカーが話しかけてきてくれた。僕のカヤックに興味津々のよう。名はSteveさんと言って、この春も仲間とボートでモントリオールからケベックティーまでの270kmを10日間キャンプしながら下ったりと、まぁ、アクティブな人らしい。母国語は英語ですか?と聞くと、父がフランス語、母が英語で、小さな頃は両親の通訳をしていたよ、と笑っていた。腕ぐらいの太さのあるウナギが近くで獲れる話等、いろいろ話をしてくれた。感謝。

その後は、昼食を食べる。いつも職場に持って行っているカレーと梅干し入りのご飯。何も食べていなかったのでいつもよりも美味しかった。

さて、その後は先へと進む。

岸寄りは推進はさほど無く、アマモのような水草が生い茂っている。子連れの鴨がいて可愛い。

向かい風と流れがあって、それに逆らって漕ぐ。でも気がつけばあっという間に、シャトーゲー川の入口にたどり着く。

まもなく、出発地点の桟橋に到着。

でもせっかくなのでさらに進んでカヤックの感触を楽しんだ。

13:45に上陸。

日に干してある程度乾かしてから、片付けを開始。

帰宅後に気がついたのだけど、コックピットのところのプラスチックの芯材を取り外さないまま畳んでしまった。折れなくて良かった。基本的には空気を抜いて畳むだけなので、あっという間に片付いた。でも、久々なのでどこか手順がうまく行っていない。かつてのシステマチックさがない。なんというか、数をこなすうちに自然と身に付けたノウハウが久々だと忘れてしまいがちなのだけど、こうしたものはやっぱりある程度きちんと書いて残しておかないとなぁと思った。書いて残すのも一種の技術だと思う。
パッキング後、保護区の管理棟を訪れ、お手洗いを借りる。その後、桟橋に向かう。既にたくさんの人が並んでいた。船長は今朝もカヤックを積んだ僕のことを覚えていて、二人で息を合わせてカヤックが積まれた自転車を船に乗せ、また朝と同じようにバンジーコードで固定してね、と言われ、持ってきたゴムバンドで手すりに自転車を括り付けた。
15時に出発。帰りの船は、デッキの後ろに立って、写真を撮りながら帰った。


一時間船に乗って、ルネ=レヴェスタ公園の入口に到着。

その先のラシーヌ運河沿いの道は、追い風だったこともあり、極めてスムーズに進むことが出来た。そして17時前に無事自宅に到着。マンションの管理人さんにばったり会って、すごい荷物だね、ボートを持っているの?と聞かれ、月曜日にカヤックが届いたんです、と話をした。
今回のシャトーゲーカヤックの様子はこちら(YouTube)

今回のこの区間は静水区間なので、素人でも全く問題ない場所だ。水は澄んでいるわけではないが、汚れている感じでもなく、また小魚も(見えないけどきっと大きな魚も)たくさんいるので楽しい区間かも。春先の鳥の多い季節だとなお面白いかも。ただ、シャトル船は夏限りの季節運行なので、それ以外の季節には車かバスで来る必要がある。
エアロナットは、アルミフレームの入ったシーカヤックと比較してしまえば、それは鈍重な気はしたが、しかし、インフレータブルカヤックであれほどのスピードが出せるなら素晴らしいと思う。組み立ても簡単だし。重量も本体は10kgを切っているので、自転車で運べてしまうぐらい(あまりお勧めはしませんが)。高い買い物だったけど、うまく活用したいな、と思う。