休日 Parc national du Mont-Tremblantへ

朝6時半に起きる。手早く準備を済ませるつもりが、何だかんだで準備に手間取り、結局部屋を出たのは8:20を過ぎていた。今日の目的地は、モントリオールから約150km程離れたところにあるモン・トランブラン州立公園(Parc national du Mont-Tremblant)。公共交通機関もあるにはあるが、車社会のカナダでは非常に交通の便が悪いので、今回は車を借りることにした。レンタカーを借りることにした理由は他にもあって、近々また相方がカナダまで遊びにきてくれるということもあって、運転の練習をしっかりとしておこうと思ったのがそれ。むしろこちらの方が大きな理由かも。
自宅のすぐ近くのレンタカー屋さんに行く。説明を受けた後、5桁の暗証番号を教えられ、一人で地下にある駐車場に行く。そこで暗証番号を打ち込むと車の鍵が出てきて、後は自由に乗ってくださいな、との仕組み。もちろん、地下の駐車場にも人はいて、GPSのセッティングや戻ってきた時の取り扱い等について説明してもらいはしたのだけど。ちょっぴりドキドキしながら車を出し、自宅に寄って荷物を詰め込み、いざ出発。借りた車はNissanのVersa。日本では日産ティーダという名前で知られる車だ。

カナダで車を運転するのは二回目だ。ここ2ヶ月程は、自転車で車道を走りながら常に右側通行の意識を高めてきた。でも、右側通行・左ハンドルは頭ではわかっていても、やっぱり違和感がある。カーナビをセットする。そう、カナダで「I need a car navigation.」と話しても、「???」となった。仕方なく、「I really need a car navigation system. Does this come with a car navigation system?」と、カーナビにエセ英語でシステムを付けてみたのだが、相変わらず?が続く、と、「Ah, GPS??」と聞かれ、「Yes!」と答えると「Of course!」とのこと。GPSでいいんだ。納得。
さて、出発。いきなりGPSが指し示す方向と違う方向に進んでしまったが、そのまま別ルートを通ってリカバーする。運転し始めて5分後にはモントリオール市内の高速道路に乗った。そのまま、いくつかのJCTを越えて進む。が一カ所、左に進みます、と音声案内されていたところで、左?と思いながら4車線の一番左側の車線(追い越し車線)を走っていたら、右側車線に分岐があって、通り過ぎてしまった…ナビさんの案内に従って少し先で高速道路を一旦下りて再度反対車線に乗る。日本と違うのは、高速道路料金なるものが存在しないこと(当然料金所もETCのような高度な仕掛けも無い)。このため、少しの距離でも躊躇無く高速道路を使うというのが違うのだと思う。

モントリオール郊外に走り出してしばらく行くと雨が降り始める。天気が悪いとは聞いていたけど、やっぱりへこむ。そのまま走り続けて、2時間程で、Mont-Tremblantの手前の町に到着。ここで高速道路を下りて、道なりに少し走ると、METROというスーパーがあったので、ここに車を停める。とりあえず、無事ここまでたどり着いたことにホッとした。
スーパーで買い物を済ませ、モン・トランブラン州立公園(Parc national du Mont-Tremblant)を目指す。森の様子は、奥入瀬や、北海道を彷彿されるものだった。雨が降り続く中、モン・トランブラン州立公園の入口に到着。

車道を進んで日本の有料道路の料金所のようなところに向かうと、手前の建物で受付を済ませるように言われ、50m戻って受付の建物に行った。


予約番号を告げる。カヤックを持ってきたのだけど、湖で乗るのに何か許可はいるのかと聞いてみたが、特に何も必要ないとのこと。代わりに、モンロー湖(Lac Monroe)でカヤックに乗るなら、是非その先にあるオウ・ビーンズ湖(Lac aux Beans)とアーサ湖(Lac Ersa)にも行くといいよ。水路は右側。とってもとても美しい場所だよ、とのアドバイスを頂いた。


さて、出発。州立公園内を進む。この州立公園(ケベック州なので、仏語・英語名称は「national」が付いているけど、あくまで州立公園)は面積が1,510.10 km²と屋久島の三倍の広さを持つ自然保護区だ。車道をのんびりと走る。針葉樹の森が続く。モンロー湖に近づくと、大きなビジターセンターがあって、結構な数の車が停まっていた。湖を眺めつつ、先へと進む。雨が強くなってくる。しばらく進むと、舗装路から未舗装路になる。でもオンロード車でも平気な道だった。

しばらく進んで対向車がいるところで、先方からトコトコと歩いてきた犬がいた…とっさのことで判断が付かず…そのまま素通り…違う!あれは犬じゃない、でもオオカミでもない、コヨーテだ!!!シートン動物記のオオカミ王ロボを幼き頃に読み聞かされてからずっと見てみたかったコヨーテが目の前にいる!!!でも、写真・動画に納めることは出来ず…残念無念。人を知らなかった太平洋の島々の鳥(アホウドリ等)が人を見ても反応しなかったように、僕もコヨーテに対してとっさに判断することが出来なかった。思い返せば、初めてツキノワグマに遇った時も大きな犬だと勘違いしたっけ。それから数年が過ぎて、青森県奥入瀬渓谷でツキノワグマをじっくりと目撃できたこと(動画1動画2)が僕のYouTube初投稿のきっかけでもあった。次いつコヨーテに出会えるかはわからないけど、また是非見てみたいものだ。
さて、この公園は森と川と湖のシンフォニーなのだけど、道路を走っている限りは、基本的には森の中を行くことになる。時々湖、川に接する場所では展望ポイントが設置されていて、眺めることが出来る。




せっかくなのでと脇道にも寄って、カヌーでしか行けないキャンプ場に通じる船着場等も見てきた。入り江が複雑に入り組んでいて、遠くの様子は見えない。ただ、カヌーでしか行けない場所がある、というだけで、心がときめくものがあった。

雨が降り続く中、Lac des Dix MillesとLac Heleneのちょっと先までドライブして、その先から引き返すことにした。

時折、公園管理の車が通っていく。森の中の未舗装路は、富良野にある北海道演習林を彷彿させた。沢の調査とか、懐かしいな。過ぎ去りし日々。残念ながら、二度とは戻らない日々だ。
モンロー湖(Lac Monroe)まで戻ってきて、ここにあるビジターセンター(Centre de services du Lac-Monroe)に立ち寄った。

ここは、休憩所、カヌー・カヤック・自転車等の各種レンタル、トイレ・シャワー室、コインランドリー、さらに食料品・アウトドアグッズの売っているショップまで一通り揃った建物。暖炉もあって、雨に濡れた方々が暖まっていた。僕は蚊取り線香(Mosquito coil)を買った。

予約したキャンプ場は、モンロー湖の畔の森の中にあるOursという場所だ。15時を過ぎるとチェックインできるので、15:10に向かう。思っていたよりもしっかりと森の中だった。森の中ではリス達が駆け回っていた。雨が降り続く中、テントを立てる。日本だと最盛期には大きなテントが三張り程詰め込まれそうなスペースに、かれこれ19年間も使っている一人用のテントを一張りだけひっそりと張った。すぐ近くに水道があって、少し歩いたところにはトイレ・シャワーもあった。

雨が降り続く中、焚き火を開始する。日本からタープも持ってくれば良かったなぁと思いながら、雨に打たれ続ける。雨の日の焚き火起こしはちょっとしたコツがいるが、今日は薪が乾いていたので、それほど神経を使わずにすぐに火を起こすことが出来た。ポイントは熱をしっかりとこもらせること。一度火の勢いが増すと、簡単には消えなくなる。雨が激しい中でも火を消さないコツは、温度が下がらないように火を大きくしておくことだ。大き過ぎる焚き火はあっという間に薪がなくなってしまうので、どうかと思うことがあるのだけど、でも雨の日に小さな焚き火をするとあっという間に駄目になってしまう。その加減を考えながら薪をくべていく瞬間が好きだ。ソーセージを焼いて、頬張る。美味しかった。


雨が降り続く中、雨具を着て、濡れながらずっと焚き火をしていた。そして次第に夜が更けていく。
初日の様子をまとめた動画はこちら(YouTube、2分強)

21時を過ぎてテントに入る。雨が激しくなった。ヘッドランプの明かりで本を読んでいると眠くなって、いつの間にか眠りに付いていた。