Parc national du Mont-Tremblant 初日

朝7時に目覚ましをかけるも、起き上がったのは8時前。8時からレンタカーを借りる予約をしていたので、あたふたと準備をした。前日のうちに準備しておいて良かった。外は雨。
今回は、先々週先々々週にも訪れたモントランブラン州立公園に一泊二日でキャンプに行く予定。レンタカーは昨日の昼にようやく予約を入れた。システムが少しわかって来て、少なくとも公園の予約とレンタカーの予約は慣れたなぁという気がしている。
ザックを背負ってレンタカー屋へ。今回借りる車は2014年登録のSUBARU IMPREZA! もちろんAWD。走行距離はまだ6900kmの新しい車だった。スバル車を運転するのは屋久島にいた時に自損事故でレガシィを大破させて以来。素直に嬉しい。
さて、出発するが、猛烈な雨でモントリオール市内の高速道路は70km/hも出ていなかった。一番ひどかった時は前がほとんど見えなかった。郊外に近づくと雨が上がり始め、ホッとする。途中、サービスエリアに寄って朝マックをいただいた。さらに進むとやがて雨は上がって青空が広がり始めた。
Mont-Tremblantのメトロというスーパーで食料品を買い足し、モントランブラン州立公園を目指す。モントリオールからは約150kmの位置にある公園だ。入口の受付で手続きを済ませ、公園内を走る。朝雨が激しかったこともあってか、いつも以上に人は少ない気がした。モンロー湖(Lac Monroe)の横にあるCentre de services du Lac Monroeというビジターセンターに寄って、薪を買う。7ドル50セントで一抱え分の薪が手に入る。ゆったりとこじんまりとした焚き火をするなら一晩分はまぁ足りる量だけど、アグレッシブに焚き火をするなら二抱え分か、三抱え分ぐらいあってもいい。そして、その後このビジターセンターのすぐ近くにある、La Rocheの登山道入口の駐車場に移動して、出発の準備を整えた。
そう、今回の一泊二日のキャンプでは、どちらか一日をカヤックに、もう一日をトレッキングに、と思っていた。直前まで今日はカヤックにするかトレッキングにするか迷い続けていたのだけど、雨も上がったのでとりあえずまだしていないトレッキングに行くことにした。
12:40に出発。

このLa Rocheは標高差は250mで、2.5km程行った先に展望ポイントがある登山道だ。バリアフリー化まではされていないけど、誰でも歩けるように割と幅のある遊歩道的な登山道となっている。登山道を歩くのは本当に久しぶり。ただそれだけで嬉しかった。山全体はまだ青々としているのだけど、所々で色づき始め、道には木の葉が落ち、何より、吹き抜ける風の音と香りが、秋がすぐそこまで来ていることを伝えていた。

途中、ナメクジを見かけたりしながら進む。展望台までにすれ違ったのは4名程。展望台に到着すると2パーティー計7名程が賑やかに話をしていた。

眼下にはモンロー湖が横たわる。森・景色の印象としては、阿寒湖の近くの双湖台の眺めに近い気がしたが、もっと湖が近いのが印象的。

そして吹き抜ける風は秋そのものだった。眼下は森が広がっているのだけど、何となくえぐられたような地形はいわゆる氷河地形なのだろう。テルモスに入れて来た熱湯をハンドプレッソに注ぎ、美味しいエスプレッソをいれる。美味しい。でも飲むのに夢中で、珍しく写真は撮り忘れてしまった。
展望台にはシマリスがいた。何度も何度も近くを走り回っていた。きっと餌付けする人がいたり、また登山客が落とした食べ物を食べたりして人も持っている食べ物の美味しさを知っているのだろう。でもいい被写体になったので、それはそれでよしと。聞こえてくる言語はフランス語ばかりなのだけど、休憩時にはフルーツを齧っている人が多かった。
さて、戻る。が、100m程戻ったところにLa Couléeに向う分岐があった。ここLa Rocheまでは遊歩道と言っても差し支えないような道なのだけど、この先のLa Couléeへは、所謂トレイルとなる。せっかくだから歩いてみたくなり、こちらに進むことにした。
やっぱり細いトレイルは歩いていて気持ちがいい。少し屋久島の栗生歩道を彷彿させるような道をテクテクと歩く。木には20~50mおきに目印がついているのだけど、これに感動した。

丸の一部がふくれて矢印のようになっているのだけど、これがその先の登山道の方向・目印の方向を指し示している!最初は気がつかずに変な目印だなぁと思っていたのだけど、一部木が茂り・道がやや錯綜してわかり辛いところで、その膨らみが方向を示していることに気がつき、感動した。まっすぐな道は矢印部分の膨らみが上を向き、曲がるところではその角度に応じて絶妙な角度に留められている。



90度以上に曲がるところでは真横を向いている。

自分自身、屋久島で自然保護官をしている時に、迷いやすいところではピンクテープをよく付けていた。それは安全のためにはあってもよいのだけど、多過ぎるピンクテープは時に目障りになって、景観もある意味で壊しているものだった(特に写真家の方々には不評だった(そりゃ、プロの撮る写真にピンクテープがたくさん映っていたらそれは興ざめですよね…))。そして、ピンクテープ自体は方向がわからないので、どうしても次のピンクテープとの間隔が短くせざる終えず、また、分岐に付いているピンクテープ・赤布は時に別方向に導いてしまうことすらあるものだった。その点、この目印は、方向がわかるので迷いが無いし、例え一つぐらい目印が落ちていしまっても、方向は掴めるものだ。そして、他に類似の印は無いので、間違えない。
あと気に入った点は、シンプルで簡単に設置が出来る点。木に釘を打ち付けなければならない点だけは欠点だが、誰でも作業が出来る。また日本だと大きな金属看板でルートを示しているところがあるが、どうしても大きなものになると枚数は限られ、次の看板の方向がわかり辛くなるし、多過ぎると景観上非常に良くない。この点、この小さな目印が、方向を示しつつ、ポイントポイントに20〜50mの距離で付いているのは非常にわかりやすかった。積雪期にも威力を発揮すると思う。
さらに素敵だと思ったのが、釘の頭の部分が割と大きい(ので目印が落ちない(釘にはバリエーションがあって、全部が全部そういう釘ではなかったですが…))のだけど、一方で釘は根元まで打ち込んでいないものも多く、少し余裕を持たせていて、これは木の生長に伴って目印が落ちる・木に食い込むということを防ぎ、目印を長持ちさせる役割があること。素晴らしい。
ここで使われている目印は黄色とオレンジ色があったのだけど、例えば(1)迷いやすいところはどちらかの色を使って警告するとか、また(2)路線に寄って色を変えて、先ほどまで赤色をたどっていたのに某湿原の後は黄色に変わったけどこれは登山道が変わったの??という疑問を呈させるもの、という分け方をしてもいいのかもしれない。とにかく、いろいろ考えさせられるものだった。
しかし、こんなことも知らないまま自然保護官をしていたことに、恥ずかしさも感じた。違うか。自然保護官をしていて、いい方法が無いかを考えていたからこそ、この目印を見てやたらと感動しているのかもしれない。これがベストな方法だとまでは思わないのだけど、不明瞭なところもある樹林帯の中の登山道では非常に有用なツールになり得るものだと思った。
さて、話が長くなった。
そんなトレイルを過ぎて、 La Couléeの展望台の近くの分岐にたどり着いた。ちなみに、La RocheやLa Couléeに下から上がってくる遊歩道のような大きな道には、この目印はついていなかった。
La Couléeの展望台は15人程人がいて、賑やかだった。展望としては、La Rocheの方が断然いい。ただ、こちらの方が駐車場から近い場所にあるようだった。

その駐車場に向って下っていく。途中、渓流の側を登山道が通るのだけど、大きな淵があって、目を凝らすと魚がいることに気がついた!イワナだろうか?久々に見る渓流魚に大興奮!よく見るとたくさんいる。時折ライズリングがふわっと広がり、そんな幸せな景色をカメラを片手に飽きずにしばらく眺めていた。


La Couléeの登山口には14:40に下りて来た。この先はモンロー湖畔沿いの道を歩いて、La Rocheの登山道入口まで戻る。距離は2km強。ただ、車道と歩道・自転車道は分かれていて、歩いていて不快な感じはしない。すれ違うサイクリストの方々も皆フレンドリーだった。

道の横の草陰からは虫の音が響く。郷愁にかられる思いも抱きながらテクテクと歩いた。
さて、これまで気づいていなかったのだけど、La Rocheの駐車場のすぐ近く、Centre de services du Lac Monroeのすぐ近くには、Centre de découverte、日本語で言うとディスカバリーセンターがあって、きれいな建物だったので中に入ってみた。

各種情報・案内情報を得られる他、お土産品も買える!僕はここでモントランブラン州立公園のワッペンと帽子を買った。

受付にいた若いレンジャーのお姉さんと話をする。まだ去年の夏に出来たばかりの建物とのこと。その他は何を話したのかよく覚えていないけど、なかなかセンスのいいたてものだと思った。お土産物・売店コーナーがあるのもいいのかもしれない。

さて、車に戻ってきたのが、15:20。歩いた距離は8.2km。ちょうどいい時間になった。車に乗って本日のキャンプサイトであるセイブルズ湖(Lac des Sables)に向う。ちなみにこの場所からの距離は20km程ある。途中からは砂利道だけど、乗用車で問題なし。インプレッサに乗っているので、走行も楽しい。
セイブルズ湖のキャンプサイトは、大部分が不使用になっていて、キャンパーは割と近くの場所に集められていた。でも一つ一つのサイトには十分な距離と広さがある。サイトには焚き火スペースとテーブル・ベンチがあってシンプル。近くにはトイレ、そして水道もあるのだけど、水道は水が止まっていた。

テント・タープを張った後、まだ十分に明るくて時間もあったので、のんびりと本を読んで過ごした。

17時半を過ぎて焚き火を開始。今日もソーセージをジュージューと焼いてのんびりと過ごす。

贅沢な時間だ。この時間を頂いていることに感謝しよう。そんなことをいろいろ考えながらぼんやりと過ごしていた。
夜、セイブルズ湖の湖畔に歩いていった(サイトから数百m)。月が湖面を照らし出し、神々しいの一言。

明日はこの湖を一周する予定。誰もいないだろうと思ってハーモニカとオカリナを持っていったのだけど、近くの駐車場にキャンピングカーが泊まっていたので自重しておいた。
初日の様子をまとめた動画はこちら(YouTube)

初日が終わった。