Parc national du Mont-Tremblant 2日目

朝、動物の鳴き声で目が覚めた。なんだろーとぼーっと聴いているうちに、それがオオカミの遠吠えであることに気がついた。感動。そう言えば先々週に訪れた時も聞こえていた気がする。カナダにいることをヒシヒシと感じた。
手元の時計を見ると5:30(サマータイムなので実際は4:30)。まだ暗い中、さて、起きるか、とむっくりと起き上がる。テントの外に出ると寒い。空は案外雲が多かった。ガスストーブで野菜スープを温め、かれこれ15年近く使い続けている愛用の焼き網でパンを炙って朝食とした。

朝からリスがけたましく鳴いている。テーブルの近くにも何度もやってきては、食べ物を漁ろうとするので何度か追い払ってしまった。
さて、今日はセイブルズ湖(Lac des Sables)を一周する予定。7時半に全ての撤収を終えて、湖畔まで車で移動する。澄み切った湖には誰もいなかった。車からカヤックを取り出し、組み立てる。途中で、キャンピングカーに乗っていた親子がやって来て、カヤックについていろいろ質問された。この流線型のカヤックがインフレータブルであることに驚いている。

8時を過ぎて出発。誰もいない湖に漕ぎ出す。セイブルズ湖を北端から半時計回りに一周する。距離は大体だが6kmぐらい。湖の上は吹き抜ける風が冷たくて、寒いぐらいだった。
西側を進む。澄んだ湖の上を一人でカヤックで漕ぎ進む爽快感。

今日は水鳥はそれほど見かけなかったのだけど、湖畔の森にはたくさんの小鳥がいて、さらに湖畔の木々が湖の揺らめきに照らされ、それはそれは美しかった。

途中で写真+動画を撮るのに夢中になっているとカヤックが枕木に乗り上げてヒヤリとする。いやはや、気をつけよう。森の様子は基本的には針葉樹が多い。一部ではやたらと木の上部が折れている区間があって、風なのか何なのか、興味深いところだった。
やがて、湖の南端に到着。美しいところだ。

湿原の中の流れ込みの水路を遡る。案外浅くてカヤックが何度か底を擦った(カヤックの下部にスケグという固定舵を付けているため(取り外し可能)20cmぐらいの吃水で底を擦ってしまう)。流れ込みのところには不自然に木が重なったところがあって、ビーバーダムを連想させたが、実際のところどうなのかはわからなかった。

底の浅い水路をバックで戻り、湖に戻って来た。
朝は多かった雲がすっかり減って青空が広がっている。流れている雲は速かった。次第に風が強くなって、湖面も少しだけ波立って来ていた。その中をのんびりとパドリングを続ける。湖面のきらめきが美しい。そして、空気がさわやかで美味しかった。

途中、砂浜のある岸辺に一度立ち寄る。ティピーの骨組みのような形のものがあって気になったのだけど、その中には水鳥の巣と思しきものがあった。何なのだろう?

ともあれ気持ちのいい浜だった。と、浜辺に無数に足跡があることに気がついた。見ると、ジャックウルフスキンのマークそのままの足跡、そう、オオカミの足跡と思われるものが無数にあった。

結構風が吹いていて、見ている間にも足跡が徐々に崩れていく。でもそれでもくっきりとした足跡に、実は割と先ほどまでいたのではないかと思い始める。足跡は森の奥へと続いていた。と、少し離れた森の奥で、何かの気配を感じた気がした。熊スプレーは防水バッグの奥に入れてしまっていた。オオカミは見てみたいけど、この状況で出て来られたら困るなぁ、と思って、すたすたと足早にカヤックに乗り込み、間もなく出発した。ここモントランブラン州立公園では、ちょくちょくオオカミのトラブルも起きているらしい(フランス語なのでよくわからないのですが、オオカミの人慣れ対策のガイドラインもあるようです)。沖合に出てからは気持ちに余裕が出来て、朝オオカミの遠吠えを聴いたことを思い出しながら、感慨に浸っていた。
さて、のんびりとしたカヤックツーリングも二時間程で終え、出発地点に戻って来た。まずはカヤックを干した。日差しがあると日差しはきつく、すぐにカヤックは乾いた。その間、テーブルでブルーベリーをつまみながら、この美しい湖を眺めていた。

吹き抜ける風は爽やかで、空は高く、もう秋が来ていることをヒシヒシと感じさせるものだった。
今回も水面のトンボを撮影しようと何度か試みたのだけどうまく行かなかった。と、のんびりブルーベリーを摘んでいたら目の前で一匹のトンボが砂浜に不時着した。何だ何だと近寄ってカメラに納める。近づいても逃げる気配がない。じっくりと観察する。その後羽に触れるとあっという間に飛び立ってしまった。何で不時着したんだろう。

さて、片付け終えて、出発。途中、モンロー湖(Lac Monroe)の近くで2頭のシカに遇う。動画に納めた。大満足。
ビジターセンターで薪を運ぶバッグを返してから、帰路に着いた。時間はまだ12時前だ。ここからモントリオールまでは約150km。多少の眠気に耐えながら、のんびりと車を走らせた。家には14時前に到着。レンタカーを返して、その後は洗濯・動画編集等に勤しんだ。
二日目の記録をまとめた動画はこちら(YouTube)

セイブルズ湖(Lac des Sables)は中島があるわけでもなく、割と形も単純で、その意味では特筆すべきものではない。でもベンチ・イスのある北側の砂浜を除いて人工物も皆無だし、広大な森を眺めるのは素敵だし、途中の砂浜には無数のオオカミの足跡があったのが印象的な場所だった。風が強くなければそれほど困ることもないだろうし。また隣接するキャンプサイトもまぁまぁいい感じでした。ここに来るなら自転車も持って来て、近くに付いている自転車専用のトレイルを走破することも含めて遊べばより楽しい気がした。
充実した週末が終わった。