Parc national des Îles-de-Boucherville Kayaking

朝起きて手早く準備を済ませ、8時過ぎにカヤックとその他の荷物を抱えて家を出る。アパートメントの管理人さんもだいぶ見慣れて来たのか、またカヤックに行くの?と話しかけてくれた。近くのレンタカー屋さんへ。ネットで予約した車が確保出来ていなかった件は先方もよく知っていて(電話を掛けてこられた方が受付にいた)、頼んだ車はもう少し小さいものだったんですけどね、と話すと、まあ悪かった、これでOKとしてくれ、と次回15ドル割引券を手渡して来た。今回値引くのではなく、次回ディスカウントします、というのはある意味うまい作戦だと思った。特に有効期限もないので、まぁ、いっかと素直に思った。
車は、Nissan Pathfinder。3.5リットルエンジンを積んだ七人乗りのSUVだ。屋久島にいた一年目、仕事用の車としてトヨタハイラックスサーフに乗っていたけど、それに近い感覚。こんな大きな車を運転するのは久しぶりだなぁと思いながらミラーを合わせ、いざ出発。

今日は、7月上旬にサイクリングで訪れたイル=ド=ブッシュビル州立公園(Parc national des Îles-de-Boucherville)に向かい、カヤックをする予定。カヤックのコースは一周3時間程とのこと。午後からは雨の予報なので、午前中出来るだけ早めに行って、雨が降る前に切り上げようという作戦だ。このセントローレンス川の中州にある州立公園は、モントリオールダウンタウンから20km程度しか離れていないので、そもそもこんな立派な車は必要なかった。でも他に無かったのだからしょうがない。
高速道路を乗り継ぎ、州立公園に到着すると、非常に閑散としていた。そして、天候は曇り。どんよりとした空の下、入口の料金所では清楚なお姉さまが受付をしていたのだけど、説明をしてくれながら、途中言葉に詰まっていて、私の英語はいまいちなの、ゴメンナサイね、と話されたので、僕の英語も駄目なのでわかります、でも仰りたいことは全部わかりましたよ、と話すとほのぼのとした雰囲気が漂った。
シャロン島(Île Charron)の駐車場に車を停める。カヌー・カヤックの出発位置は指定されていて、そこにはレンタルカヌー・カヤックの受付・貸し出しセンターもある。駐車場から100m程離れた岸辺までカヤックを運び、組み立てた。ほとんど人はいなくて閑散としている。7月にはあんなにもたくさんの人がいたのに。肌寒いので最初から雨具を着込んだ。そして、10時を過ぎて出発。

シャロン島とサン=ジャン島(Île Saint-Jean)の間の水路を東向きに進む((注)グーグルマップではサン=ジャン島とあるのですが、公園の地図ではサン=ジャン島はもう少しいくつかの島に分けられていて、記述として不正確な可能性あり。)。水中は水草がたくさん。カモがちらほら。風があってスピードがあまり出ない。途中にあるサン=ジャン島に渡るはしけに乗っているサイクリストは今日は少なかった。

ほどなくして、セントローレンス川に抜ける。競技用ボートであるシングルスカルの船団(3艘程)がいて、軽やかに水の上を突き進んでいた。
セントローレンス川を北に向かって進む。下流に向かっているのだけど流れはほとんどなく、向かい風がきつく、さらに直進性能を高めるための取り外し式の固定舵であるスケグが水中の水草に絡まってノロノロと進んだ。このスケグが水中の水草に絡まるというのは、この先でもあって、今度ここ来る時はスケグを外しておいた方がいいかもしれない、と思った。
そんなこんなでもたもたしているうちに一隻のシーカヤックが沖合を颯爽と追い抜いていった。

僕も岸辺ではなくて少しばかり沖合に出ると全然水草に絡まれなくなってホッとした。しかし、こんなにも水草がわんさかあるなんて!日本では見なくなったなぁ…というのが率直な感想。
さて、グロボワ島(Île Grosbois)が見えて来て、その手前の水路を進む場所なのだけど、ちょい先に休憩所があるので、そこに立ち寄ってみた。

が、シーズン外なのか、閉まっていた。ベンチ・イスは設置されているのでちょっとした休憩には向いています。
さて、再出発。セントローレンス川からグロボワ島とサン=ジャン島の間の水路に入り西へと進む。この水路に入ると風・波とも止んで穏やかな雰囲気となる。ほ。前方からカヤックが一隻やって来た。手を振って挨拶する。

のんびりとした場所なので、クッキーを齧りながら進む。頭上には一羽の猛禽類。体が白い。形が違う気がするけどミサゴか何かだろうか?飛び方はミサゴっぽかった。でも形は…鷹の仲間だろうか。
この水路を抜けると、今度はChenal du Courantという南向きの水路になる。葦原が広がる場所だ。最初は幅が広くて、特に流れもなく、そこをのんびりと進んだ。



遠くから大きなワシが飛んで来て、大きいなぁと思いながらよくよく見るとそれはハクトウワシだった。かっこいいなぁ!

さて、この先、葦原の中へと進んで行く。

水路の幅は、狭いところでは1mぐらい。中は水草がぎっしり。そんな中を、進む。狭いところでは水草がパドルに絡んでパドリングしにくかった。しかも、カヤックの下に突き出た固定舵(スケグ)が水草にあたって結構な抵抗となっていた。でも、水路はくねくねと曲がっていて、迷路を進んでいるようで楽しい(しかしながら一本道ではありますが…)。時々水路が広くなって、しばらくするとまた葦原の中の一本の細い水路を進む、というのを繰り返す。虫はいるけど今日は蚊はいなかった。でも夏場はどうなのだろうか?

さらに進んで細く狭い水路の出口に到達した。遠くにはモントリオールダウンタウンのビル群が霞んで見える。雲はますます厚くなって、雨が降り出さんとしていた。
向かい風の中、水路を東に向かって進む。

15分程で、スタート地点に戻って来た。ゴール地点を見てホッとすると、雨がポツポツと降り始める。


時刻は12:40。無事上陸。片付けを始めると雨脚が強くなり始めた。
相変わらず人はほとんどいない。片付け終えてから、松の木の下で昼食用に持って来たカレーを食べる。テーブル・ベンチが広いこの芝生の敷地の中にたくさんあるのに座ってご飯を食べているのは僕一人だけだった。
しばらくのんびりと過ごしてから車に乗って帰路に着く。雨が降り続く。公園の入り口では3頭のシカに遇った。結構シカはいるものなんだなぁと思う。おそらくオジロジカ(White-tailed deer)だと思う。
帰宅後は動画編集に勤しんだ。今回のカヤックをまとめた動画はこちら(YouTube)

このコースは、初心者でも全く問題ないと思う。モントランブラン州立公園の湖のような澄み切った感じは何もないけど、でも湿原が好きな人には面白いコースだと思う。モントリオール市内からも近いし。狭い水路なのでカヌー・カヤックのすれ違いは大変そうで、おそらく半時計回りが正式コースなのだろう。あと、レンタルのカヌー・カヤックも充実しているので、車または自転車でやってきて、借りて3時間程遊ぶというのもありだと思う。自転車で一周するだけよりも遥かに面白いと思う。いろいろお金を計算すると、僕も自転車でやって来てカヤックをレンタルした方が、今回の大きな車を借りるよりもずっと安かった。でも、フェザークラフトのカヤックを使いたかったので、その点はよしとしよう。何はともあれ、モントリオール近郊のカヤック旅を終えることができて満足だった。