休日 マルグリート=デュービル保護区 散策

朝、起き上がったのは9時をまわっていた。10日ほど前に風邪をひき、その後熱は上がらないものの、喉の痛み、鼻水と続いた後、胃腸に疲れが出てぐったりしていた。その関係で、最近は暖かい格好をして(山用の一番分厚いアンダーウェアを上下着て)ちょっと早めに眠りについていた。昨晩は、職場の上司から借りた本を読んでいると次第に眠くなり、夜10時過ぎには床についたのだけど、その後目が冴え、眠れず、仕方がないので、日本語の広告コピーに関する本を読み始めたら、止まらなくなりそのまま読み切り、気がつけば夜の2時を過ぎていて、朝6時にかけた目覚まし時計も虚しく、この時間になってしまった。いやはや。
今日はスキーに行くか、バードウォッチングを兼ねた散策に行くか迷っていたのだけど、この時間になったので選択肢は後者に絞られた。急ぐものでもないのでのんびりと準備をして、10時半を過ぎてようやく家を出る。
目指すは、セントローレンス川の対岸(右岸)にあるシャトーゲー(Châteauguay)という町にある、マルグリート=デュービル保護区(Refuge faunique Marguerite-D’Youville)昨年7月に自転車で一度訪れ8月にカヤックを楽しんだなかなか素敵なところだ。昨年7月にこの保護区で話をしたボランティアレンジャーのモニークさんは、4月の終わりから5月がバードウォッチングにはいいよ、と話していたのだけど、その前、まだ雪で覆われているうちに一度は訪れてみたいと思っていた。
車に乗ってシャトーゲーへ。全面結氷が終わり、勢い良く流れるセントローレンス川を越えていく。カーナビは最初20分ほどで到着すると主張していたのだけど、結局は40分ほどかかる。
11時15分を過ぎてマルグリート=デュービル保護区に到着。入り口の建物で5ドル弱お金を払って中に入る。餌付け用の種が売っていたのだけど、特に気にかけず買いもせず。スノーシューを一応持っていたのだけど、要らないと判断して車に残しておいた。

天気は非常に良い。外気温もそれほど低くない(−2℃〜1℃)。保護区の中に入ると早速鳥たちの鳴き声がよく聞こえる。散策している人もちらほら。首にはFujifilmFinePix S1と双眼鏡をぶら下げ、鳥たちを探しながら歩く。保護区の地図はこちら

と、すぐに見つかる。一番よく見かけたのは、アメリカコガラBlack-capped chickadee)とムナジロゴジュウカラWhite-breasted nuthatch)。



近づいてもそれほど逃げない。むしろ歩いているとこちらに向かってきて、50cm程手前でターンして(小鳥が生み出す風圧すら感じる)近くの枝に止まってしきりに鳴いている。最初はなんとフレンドリーな鳥たちだろうかと思ったのだけど、しばらくしてその理由がわかった。そう、入り口で売っていた餌を来訪者が結構持っていて、それを目当てに近寄ってきていた。気づいてから、近寄ってくる小鳥たちに、「ごめんよ、俺、何も持ってきていないんだ」と何度か日本語で呟いてみたのだけど、通じるはずもなく、しばらく近くで賑わせてくれた後、去っていく小鳥たちがいた。もちろん、真面目に木についた虫や苔を一生懸命につついている鳥もいた。
他には、ショウジョウコウカンチョウ


聞いたこともないような鳥の名前だけど、英語名のNorthern cardinalを見れば、メジャーリーグカーディナルズというチームがあることで思い出す人もいると思う。オス・メスともに近くで見ることができて、かわいい。
キツツキもたくさんいた。おそらくサイズ的にセジロアカゲラHairy woodpecker)とセジロコゲラDowny woodpecker)の両方を見た気がするのだけど、この両者は似ていて自信がない(セジロコゲラの方が小さい。嘴も短くてかわいい)。この保護区の生き物リストをみると、両方入っている。最初に見たのは大きくて多分前者、途中と最後に見たのはとても小さくこれは確実に後者だと思った。

他にはリスもたくさんいて、餌の種子を小鳥たちと奪い合っていた。

保護区を時計回りに回る。7月は蚊の大群に追いかけられていたので森の中は駆け足気味だったのだけど、今日はのんびりだ。木道を設置している場所に銀行のロゴマークがあり感謝が書かれている。環境保全に貢献する企業をアピールすること自体はすごくいいと思う。
さて、北の端のPointe Nordに到着。ここでもアメリカコガラが猛烈に餌くださいアピールをしていた。岸際にはまだ氷が多数。流れてきた氷がぶつかり、そのひしめき合う音があちこちから聞こえて来る。これが春なんだと思う。遠くにはモントリオールの街並みが見える。僕以外は誰もいない。平和なひととき。

戻って、さらにぐるりと回る。昨年の春先の洪水で壊れていた木道は綺麗に治っていた。

湿原にかかる橋で立ち止まると早速コガラが近寄ってくる(写真)。
シャトーギュワ川は氷が割れていた。先ほどヘリコプターが近づいてくるような音がしていたのだけど、後でそれがホバークラフトだったことがわかった。そう、カナダではホバークラフト砕氷船として使われている!

保護区の中央部は広大な湿原だ。夏には様々な水鳥がいて賑やかだったのだけど、今日は動物の足跡以外は何も見かけなかった。

ただ、空には時折大きな影が颯爽と横切っていく・・・ヒメコンドルTurkey vulture)だ。

北米・南米に広く分布する嗅覚が発達しているというかわった鳥。嗅覚はもちろん腐肉を探すのに役に立つ。ここでは夏鳥だと思っていたのだけど、どうやらQuébecでは増えているらしく、冬もいるのだろうか。
ぐるりと一周して、戻って来た。

所要時間はのんびり歩いて2時間半。お弁当箱を持っていけば半日は確実に楽しめる保護区だ。今日は車にお茶を入れたテルモスを忘れてきたので、特におやつは食べずに戻ってきてしまった。
今回の雪散策+バードウォッチングの様子をまとめた動画はこちら(YouTube、3分)

今回はまだ雪に覆われていたけど、新緑が芽吹き始める4月終わり〜5月に是非また訪れたい場所だ。
帰りは、カーナビに沿って運転していたら砂利道になり、その砂利道の最後にゲートがあって通過できず。ゲートにいたおじさんは、ここは私道だ。通っちゃダメだ。戻れ、と言われ、GPSがこの道を示したんだ、すまん。と言って戻って来た。そして、そのまま家には帰らずに、アウトドアショップのMECへと向かった。