休日 Lac Wapizagonke Canoe Camping 初日

6時過ぎに起きて準備を進め、7時過ぎに家を出る。先週に引き続きカヌーキャンピングをする予定。場所はモリシー国立公園(La Mauricie National Park)にあるワピッザゴンク湖(Lac Wapizagonke)。モリシー国立公園の南北に走る全長が9.2kmある細長い湖だ。予約はオンラインでできる
ここ数日は天気が心配だった。予報では土曜日の今日の昼過ぎからは雷雨の可能性あり。夜は雨、日曜日は曇り時々晴れだが気温がぐっと下がるとのこと。また風が強い予報だった。条件が悪くならないうちにキャンプサイトに到着できるように、と少しでも早く国立公園にたどり着けるように家を早めに出発した。
いつもはカーナビに従ってモントリオール市内は下道を走っていたのだけど、今日は高速道路に早々に乗って、ぐるりと回ってハイウェイの40号に乗るルート取りをした。こちらの方が気を使わなくて楽だし、また時間的にも早い気がする。約200km走って国立公園のSaint-Mathieuという入口へ(もう片方はSaint-Jean-des-Piles)。公園全体の地図はこちら参照(PDF)。入口にあるビジターセンターに立ち寄る。と、目の前の池に動きがあって、目を凝らすと二頭のカワウソ(最初はビーバーだと思っていた)が泳いでいる!急いで車に戻ってカメラを持ってくる。先週水没してその後動かなくなったFujiFilmのFinePixS1だけど、乾燥させたら復活した。めいいっぱいズームして撮影(50倍、35mm換算で1200mm相当)。幸せな風景。いきなりの大興奮。この後見ることになるビーバーも合わせてまとめた動画はこちら(YouTube)。動画ではビーバー4頭と書いていますが、間違いで最初の2頭はカワウソです。

さて、ビジターセンターで手続きを済ませる。予約番号を伝え、入園料とフィッシングライセンスを払い、外に出る。車に乗って、ワピッザゴンク湖の入口に向かう。天候は雲が多いが晴れ。蒸し蒸しと暑い。
出発地点は先客がいた。他の車が来ると面倒なので、手前の駐車場に車を停めて、そこからカヤックを背負っていく。カヤックを組み立てていると早速蚊がたくさん寄ってきて、職場の方オススメのWatkinsの虫除けローションを塗る。これがよく効いて、今回蚊に刺されたのは、塗り忘れていた耳の裏と、服からはみ出していた背中側の腰、そしてズボンを捲り上げていた際に刺された脛の3箇所だけだった。
他の方のカヌーを車から降ろすのを手伝ったりしながら準備を進め、11時に出発。風はそこそこ吹いている。

橋をくぐって湖を北上する。レンタルカヌーがたくさん置かれた場所を過ぎて先へと進む。釣り糸を垂れたまま疾走するカヤックに出会う。風は強くて、時々身構える。湖の水は透明度が高め。ただ、雲が多いので底まで見通せる雰囲気ではない。波に流されつつ、パドリングを続ける。

流れ込みを見つけて入っていく。波風が収まってほっとする。水の底を見ると10cm以上ある巨大なオタマジャクシがフラフラと泳いでいる。ほほー。流れ込みの長さは30mに満たないが、その先の渓流のようなところは雰囲気があって素敵。
と、どうしたことだ、FujiFilmのFinePixS1が再び異常動作を起こし始める。スイッチを入れるとズームレンズがめいいっぱい伸びてそのままガリガリと駆動し続ける。電池を抜いて動作を止め、再び電池を入れてスイッチを入れると、一旦ズームレンズは縮んで元に戻るのだが、すぐに折り返してめいいっぱい伸び、ガリガリと音を鳴らし続けた。これは困った。どこかから水が入ったような気配もないのだが・・・。仕方がないので、メインカメラをOlympusのTG-820に代え、FinePixS1はしばらく使わないことにした。
湖を北上する。風が強い。波もある。先に今宵のキャンプサイトに立ち寄ってみる。上陸。出発地点からまっすぐ向かえばおよそ2kmのところにあるサイトナンバー2番がその場所なのだけど、さらにその中にA〜Dの区画がある。しかし、区画は何も書いていなくて、どれがAなのかどれがDなのかがわからない。湖に面した眺めの良いところ(ただし風をまともに受ける)から、奥まった森の中まであるのだけど、これは早いもの勝ちなのだろうか。そうそう受付では薪はサイト地にありますから、と言われていたのだけど、屋根付きの薪の保管箇所が2箇所あって、大量の薪のストックがあった。すごい!

ちなみに薪の外部からの持ち込みは規制されていて(外来種の持ち込みに直結することから)、持ち込ませないインセンティブとして、サイト料金にはこの薪の値段が含まれている。
風は強いが、天気はまだしばらく持ちそうだったので、再びカヤックに乗って出発する。出発早々素敵な湾があって、風が避けられたので釣竿を取り出して釣りに挑戦。日本から持ってきたテンカラは果たして通用するだろうかとしばらく竿を振り回していたのだけど、時間が時間だけに何も気配はない。夕方試そう、と諦めて、竿をたたむ。
さらに北上。

このワピッザゴンク湖は氷河期に氷河に削られた地形の一部なのだけど、湖岸には岩壁があって、その壁に続く水面下はどこまでも深い。何メートルぐらいあるのだろうか、と底の見えない水中を眺めながら進む。この岩壁を流れ落ちる小さな滝があった。盛夏なら水浴びを楽しむのだろうけど、今日は写真を撮ったぐらいでその場から離れる。

その後は流れ込みに立ち寄ったりしつつ、湖の上を彷徨う。時々空が暗くなって、通り雨が降った。天気が悪くなる前に上陸するか、と14時前にはサイト2に戻ってきた。あっという間に蚊に包まれる。

蚊除けも含めて、早速焚き火を開始する。薪が豊富にあるのがいい(もちろん、自重しなければならないとは思いますが)。区画はどこが予約したD区画なのかわからないが、誰もいないので湖に面した場所を占領する。でも後で動けるように、タープだけ張ってテントはまだ畳んだままだ。
取り出したのはスノーピークのチタン製のお猪口。今年出たばかりの新製品で、人気がある上出荷数がまだそれほどではなく、日本のスノーピークの通販では品切れが続いていたもの。3月に一時帰国した際に、スノーピークの直営店3軒を含む合計5軒の”在庫のある可能性のある”アウトドアショップを回ったのだけど、どこも品切れしていた。スノーピークのサイトを見る限りまだ品切れ中(6月2日現在)なのだけど、なんとカナダのMECのサイトに、先月半ばに突然このお猪口が登場して、すぐさま注文したところ、一週間ほどで手元に届いた。それが火曜日で、早速キャンプで活用されることになった。愛用のチタン製スキットルに詰めてきたのはラフロイグ。まだ陽は高いのだけど、ちょびちょびとウィスキーをいただきながら、本を読む。吹き抜ける風が若干騒々しかったけど、のんびりとした素敵な時間だ。

と、サー、ザーーーと雨が降ってきた。焚き火にまきを追加でくべて火力を強くする。タープに避難。蚊が大量に寄ってきて、蚊取り線香も効いている気配がない。これはダメだと傘をさして焚き火に近寄って蚊を避ける。焚き火の熱量はすごくて、傘の下にいる限りだと服がどんどん乾く。雨が激しく降るなか、その雨の下に佇む。

若干雨が小康状態になった頃、すぐ横の草陰でガサゴソと音がするのに気がついて目をやると、なんとたった3m横でビーバーがムシャムシャと葉っぱを食べていた!

昨年8月に一度遠くから見てはいるものの、こんなに近くでビーバーを見るのは初めて!!感動!!!ズームカメラが壊れているゆえ、オリンパスの防水カメラで撮影したのだけどそれでも十分な大きさで収めることができた。ビーバーはこちらに気がついて、何だよう、こちらをジロジロとみて、という顔をしていた。にっこり笑って手を振った。しばらくすると水際に戻っていき、そのまま泳ぎ去っていく。想像していたよりもずっと大きくてびっくりした。感動の余韻に浸るひととき。
雨が上がったので、夕方18時を過ぎて、カヤックに乗って釣りに出かける。出発時に蚊の大軍に囲まれ、それらを引き連れたまま湖面に出る。引き離そうと懸命に漕いだのだけど、風が弱まっていて離れていく気配がない。蚊に気を取られながら竿を振るが、少しすると、糸が絡まってしまい、それを不安定なカヤックの上で解く作業に時間を取られる(岸際に戻ればさらに蚊がやってくるので・・・)。しかし、うまくいかず、結局、ほとんど釣りにならずに戻ってきた。敗北宣言。ただその直後に再び雨脚が強まったので、その意味では悪くなかった。
結局サイト2には僕以外には誰も来なくて(予約した際には他に2組入っていた)、ひっそりとした中、晩御飯の準備を進める。スナップえんどうを茹で、ソーセージやマッシュルームを焼き、サーモンミルクスープを温めていただいた。美味しい。19時半ごろ、湖面に目をやると一筋の線が走っている。単眼鏡を出して覗くと、ビーバーが泳いでいた!祈る気持ちで昼間に動作異常を起こしたズームカメラを起動すると、正常に動く!やった!と心の中で叫びながら、カメラを構えて撮影を開始。

21時ごろまで明るいとはいえ、雨も降っていて暗い。写真だとぶれてしまうので、動画を中心に撮る。ビーバーは岸際に寄ってきては葉っぱをむしって食べていた。その様子を見るのが嬉しくて、カメラのファインダー越しにずっと眺めていた。そして、泳ぎ去っていった。
本を読みつつ、暗くなるのを待つ。サイトの横の沼地からはカエルの大合唱が始まった。トイレに行くと、中に蚊の大軍がいてゲンナリする。小だからなんとかなるものの、明日の朝の大が憂鬱だ。サイトに戻って蚊取り線香を中にセットしておいた。これできっと明日の朝までには減っているだろう。
食料・食器の入った袋をロープで高くに吊り上げる。テントの中に入ってからもしばらく本を読んでいたのだけど、次第に眠くなり、23時を過ぎて眠りについた。