休日 Lac Wapizagonke Canoe Camping 二日目

朝6時を過ぎてようやく起き上がる。外はかなり明るい。曇ってはいるが雨は降っていない。寝袋から抜け出すと、かなり寒かった。

おき火が残っていて、ガンピ(白樺の皮)を使って火を立てた。暖かい。
ぶら下げておいた食料・食器を回収して、冷凍して持ってきたまだ半分凍っているビーフシチューを温め、パンをかじり、紅茶をいただいた。贅沢な時間。
朝の冷え込みがあったこともあり、虫の活動も鈍っている。トイレに行くと、昨晩蚊取り線香をセットしておいたおかげか、見事に一匹もいなくなっていて、安心した。
タープ・テントをたたんでカヤックにギュウギュウと詰め込む。出発。
今日は風向きが昨日とは逆だった。おかげで追い風で漕がなくてもどんどんカヤックが進んで行く。

山の上には大きな鳥が二羽悠々と舞っている。ヒメコンドルだろうか?入口に向かって進んで行く。途中流れ込みに寄った。すぐに行き止まりになって、すぐに引き返した。
出発地点を過ぎて更に先へと進む。ヒメコンドルが湖に突き出た小高い丘の梢にいることに気がついて夢中で写真・動画を撮る。

その先、右手に流れ込みがあるのだけど、ここから一隻のカヤックが出てきて近づいてきた。会釈する。そして自分もその流れ込みへと入っていく。
この流れ込みは大きかった。最初の部分が浅くて、一度引き返してルートを取り直す。マガンのトリオがいて、カヤックの進む方向へと逃げていくのでずっと追いかける形になる。湖を漕いできた後に、底が見えて流れのある流れ込みに入っていくのは楽しい時間だ。作りかけのビーバーダムのようなものもある。いいなぁ。
少し進むと大きな幅の広い瀬になっていて、そこで終了。楽しかった。帰りは流れに乗ってあっという間に進んで行く。

最近湖ばかりを漕いでいるけど、また川を漕がねば、と思った瞬間だった。
新緑が目にしみる中、


その後は出発地点に戻る。無事終了。ほ。
カヤックを片付けていると、レンジャーの方が車に乗ってやってきた。何か釣れましたか?と聞かれ、風も強くて雨も降っていて蚊もひどかったのですぐに諦めました、と話すと、この湖は大物が釣れるから次またぜひ挑戦すべし、と話されていた。この時の会話は印象深かった。それは何かというと、公園の入園・サイト・魚釣りの許可証(パーミッション)は持っているかと聞かれ、もちろん持っている、と話をしたところ、見せてくれと言われたので手渡したところ、それをひとつひとつきちんとチェックしていたところ。そして全部じっくり見終わってから、ありがとうございました、気をつけて帰ってくださいね、と言って話が終わった。こうした許可証をきちんと丁寧に確認するという行為、それが日本の国立公園を見慣れた身からするとすごく新鮮だった。もちろん、そもそもの制度の仕組みが違うので、一緒くたにして評価することはできないのだけど、私たちはこの国立公園を守るためにちゃんと目を光らせていますから、ということを強く印象付けるものだった。
その後は、車に乗って公園を一周した。天候は回復して、気持ちが良い。途中展望台、そして別の湖に寄った。展望台からはカヤックをしたワピッザゴンク湖(Lac Wapizagonke)湖が一望できる。

別の湖(ここは6月2週にカヌーキャンピング予定)では、外のベンチでオオカミやクマ等の剥製が展示されていて、レンジャーの方が解説されていた。オオカミはどのぐらいいるのか聞いてみたところ、7頭1グループで2グループがこの公園内にはいるとのこと。この時、ウルフを伝えようとして僕の発音が悪くなかなか通じなかった。Fの発音を意識しながら、ウルフ、ウゥフ、オゥフ、いろいろ発音してみたが全然ダメで、隣にいた方に、あっひょっとして”アゥフ"のこと?と言われ、そうです、と答える。いやはや、また一つ勉強になった。
帰りの道は順調に進む。モントリオール島に入ってからは渋滞に巻き込まれたが、それほど遅くならずに戻ってきた。帰宅後はカヤック・テント・タープ等の清掃と洗濯をやった。

今回のカヌーキャンピングは、天候には恵まれなかったものの、何と言ってもカワウソ・ビーバーに出会えたことは本当に嬉しかった。特にビーバーは3mという至近距離だった。そして流れ込みの美しさ。新緑の眩しさ。
ちなみに後でビーバーについてネットで調べると、彼ら直径15cmの木であれば10分もかからずに倒してしまうほど歯が鋭く、ビーバーに襲われて死亡した方や、ビーバーを撮影していたらそのまま向かってきて大怪我をした方の話(YouTube) が出てきて背筋が寒くなった。あの時のビーバーの、「何だよう、こちらをジロジロとみて」と言っているように思えた大胆不敵な顔は、つまりはその凶暴性に裏打ちされたものなのかもしれない。不用意に近づきすぎなくてよかった。ほ。
また、サイトにはあらかじめ薪がセルフサービスで用意されていて、その点で非常に使い勝手が良い場所だった。
心配していた蚊・ブラックフライは、たくさんいたけど、でも初日は風が強過ぎて、二日目は寒すぎたせいか、よく言われる「雲のように」「靄となって」ついてくる、というほどではなかった。今年は割と寒いらしく、まだ活動がそれほど活発ではないのかもしれない。
何はともあれ、 また2週間後にこの公園を訪れる予定(湖は別ですが)なので、それが楽しみです。