休日 Refuge faunique Marguerite-D’Youville SUPboarding

7時過ぎに起きて準備を済ませ、8時頃自宅を出る。天気はいい。今日は、モントリオールから車で20分の、セントローレンス川の対岸(右岸)にあるシャトーゲー(Châteauguay)という町にある、マルグリート=デュービル保護区(Refuge faunique Marguerite-D’Youville)のあるサン=ベルナール島(Île Saint-Bernard)を、SUPでぐるりと一周する予定。地図はこちら参照。
この週末はF1のカナダグランプリがここモントリオールで開催されるとあって、街中は何かと賑やかなのだけど、朝は特に渋滞も何もなく順調に到着。ここに来るのは6回目だ。
SUPを車から降ろして空気を入れる。

5分もしないうちに組み上がった。SUPはこの気楽さがいい。車に余分な荷物を積んで、保護区入口のビジターセンターでトイレを済ませてから出発!9:15。

川面は鳥たちの声が賑やか。目をこらすと水面下にはたくさんの小魚がいる。そう、この保護区周辺の川の中は水草が豊富で眺めていて楽しい。昨年カヤックで一周した時は反時計回りに回ったので、今日は時計回りに回ることにした(のだけど、結論から言えば反時計回りの方がオススメです。川の流れがその方が緩やか)。
SUPに乗るのは二回目だけど、何も不安はない。のんびりとパドルを漕ぐ。橋をくぐって広い広いセントローレンス川に出る。

この辺りはサンルイ湖と呼ばれるセントローレンス川の中でも幅の広いところだ。

岸際は案外浅くて、その分透明感もある。水面に立って漕いでいると、時々水面下の大きな石の横から50cmを超える大きな魚が逃げていくのが良く見える。こうしたものはSUPの魅力の一つだろう。水上散歩、というのが本当に良く似合う遊び道具だと思う。ただ、この辺は浅くて、一方でSUPには割と長めのフィンをつけているのでカヤックで行ける水深よりも少しだけ(5cm〜10cmぐらい?)深い水深が必要(短いフィンをつければもちろんその分浅くなります)。まだどの程度でひっかかるのか感覚がつかめていなくて、浅瀬を漕いでいる際にフィンが岩に引っかかってSUPが急停止し、前につんのめってもう少しで落ちるところだった(SUPの上でジャンプした)。危ない危ない。
広いセントローレンス川の上には水鳥がたくさんいた。保護区の森の中からは数々のさえずりが聴こえ、岸辺の湿原にはカナダガンやマガン、チュウサギ等がちらほら。

そして川面にはカゲロウ・カワゲラが無数に舞っている。昔水生昆虫による物質循環を見ていた身としてはほのぼのとする風景。広い湖とはいえ、上流から下流に向かっていることもあって、この区間は楽だった。

セントローレンス川を遡る大きな観光船を見る。

釣り船もちらほら浮かんでいる。
さて、保護区の北端を回って、その後はシャトーゲー川に入っていく。

右手が保護区で左手が住宅地だ。モーターボートが何隻か行き来して、みな休日を堪能している。

湿原の中に入っていくと案外奥まで進めた。でもそれ以上の発見はなく、引き返して本流に戻る。カヤックが一台流れてきて会釈する。川の奥にはかっこいいヨット(クルーザー)が停泊していた。素敵だなぁ。

と、SUPの前に設置したGoProで撮影しようとしたら、メモリーカードがいっぱいでそれ以上撮影できなくなった。サボったツケだ。いやはや。

その先、保護区の岸際を漕いでいると、まずオジロジカ(White-tailed deer)を発見した。哺乳類を野外で見るというのはやっぱり嬉しいことだ。

続いて、水辺を駆け抜けるミンクAmerican mink)を発見!この保護区でミンクを見るのは初めて!嬉しくてカメラを構える。そこそこいい動画を撮ることができて満足。

さらに続いて、マスクラットMuskrat)を発見。水辺でムシャムシャと葉っぱを食べている。距離はさほどないのに逃げる気配もない。いいなぁ。

ちなみにこの保護区を今回含めて6回訪れているのだけどマスクラットを見たのはこのうちの3回となる(確率50%)。
シャトーゲー川にかかる橋に近づくと、鴨の親子が二組いた。一組は大慌てで逃げていく。母ガモが大声を出して、まだうまく飛べない子ガモを急かしている。1mぐらいの距離を飛ぶのを繰り返して川の反対側にたどり着いたと思ったら、今度は母ガモが近づいてきて僕の前で擬傷を始めた。そんなに怖がらなくてもという気持ちと、意図せず怖がらせてしまって申し訳ない気持ちの反面、こんなに立派な擬傷を見たことがなかったので、その点は飽きずに観察していた。もう一組は岸辺の草陰に隠れる。母子ともこっちを必死で見ているのがよく分かる。通り過ぎると引き返して反対方向に必死で逃げていった。

川面では大きな魚が跳ねて、その水の輪がゆったりと水面を伝播していった。
橋をくぐり抜けて、シャトーゲー川の分岐から今度はセントローレンス川に向かって漕いで行く。一台のアグレッシブなモーターボートがいて、何度も猛スピードで行き来するので、その度に波に揺られてぐらつき、かつ動画に雑音が入って仕方がない。感じ悪いなぁと思いながら、流れに向かって漕いで行く。

そう、この区間はシャトーゲー川にとって上流から下流に向かうはずなのだけど、実際はセントローレンス川からシャトーゲー川に向かって流れ、分岐からシャトーゲー川に沿って流れていくようになっていて、目論見が外れてちょっと残念だった(その分いい運動になった)。特に流れのないところでは、SUPは時速4km弱のスピードで進む。カヤックだと少し頑張って漕げば時速8km以上は出るので、その意味では本当に散歩なのだと思う。
さてこの区間、まずはビーバーの立派な巣があって嬉しくなった。

さらにゴイサギがいて、

保護区内部の高い木の上には二羽のヒメコンドルTurkey vulture)が羽を休めていた。

いずれも嬉しくなる光景だ。
水の中を眺めるとオオカナダモ(おそらく)がびっしりと生えているところがあって、小魚にあふれていることはもちろんのこと、カナダモの中から酸素がたくさん湧いているのがよく見えた。水面に注目すると無数の泡がはじけている。初夏の日差しを浴びてキラキラと輝く水の中を覗き込みながらゆったりと進む。
ゴール間近になり、前方にSUPボードに乗った方々がいることに気がつく。水上散歩そのものだ。

岸辺の水の中をカメが音も立てずに泳いで行く。ボートに乗って釣りをしている男性二人が僕をみて、「中国人にちがいない」と話をしているのが聞こえて、「日本人ですよ〜」と声を出すと手を上げて答えてくれた。二時間半ほどで島を一周し、11:45に無事出発地点に戻ってきた。
SUPの空気を抜いて畳んで車に積む。日曜日のお昼の平和な時間だ。

まだ時間があるので帰りはMECに行ってアウトドア道具を物色した(だけではなくて一部購入もした)。いろいろ新しいタイプの道具が出ているとついつい手にとってじっくりと見てしまう。小さな頃、憧れながらも田舎育ちゆえほとんど触れられなかった洗練されたアウトドアの道具は、大人になって十二分に触れられるようになった今も、ときめきとして残り続けている。

このシャトーゲーのマルグリート=デュービル保護区(Refuge faunique Marguerite-D’Youville)のあるサン=ベルナール島(Île Saint-Bernard)は、気軽にSUPやカヤックを楽しむにはぴったりだと思う。シャトーゲー川は割と水の色は濃いのだけど、水草にはあふれていて、小魚が見えて素敵。セントローレンス川は広大な景色と、そこそこの透明感があってこれもまた素敵。強風の日は辛いと思うのだけど、そうでなければ初めての人でも問題はないと思う。そして、何よりモントリオールから近いのがいい。さすがに屋久島に住んでいた時のように、自宅からカートに乗せたカヤックを引っ張ってわずか3分歩くとそこが安房川の河口でカヌーができる、というほど気楽ではないけれども、それでも車で20分で、豊富な生き物と、人里の雰囲気が入り混じった素敵な場所を訪ねられるのは本当に魅力的だと思う。お気に入りの場所なので、また水上or陸上の散歩に来たいと思う。