休日 Lac Édouard Canoe camping 初日

今日はモントリオールから車で約2時間半の距離(200km)にあるモリシー国立公園(La Mauricie National Park)にあるエドワード湖(Lac Édouard)でカヌーキャンピングに向かう。天気は良くて期待が高まる。エドワード湖は公園の中央に位置する湖で、全長は4kmほどでビーチもある割と初心者向きの湖だ。地図はこちら(PDF)
国立公園の入口の受付で手続きを済ませる。

釣りもしたいのですが、と話をすると、エドワード湖は釣りはできないのですが、湖を変更しますか?とのこと。この際、釣りはできないと言ったのか、日帰りの釣り以外はできないと言ったのか、はっきり覚えていないのだけど、とにかく釣りができないことはわかってちょっと残念な気持ちになったものの、このエドワード湖を漕いでみたかったのでそのままでいいです、と答え、発券してもらった。
車を運転してエドワード湖へ。
湖の湖畔では既に泳いでいる方も結構いた。カヤックを準備されている方がいて、なんとセイルが付いている。風に乗って湖面を疾走できれば楽しそうだ。一隻のカナディアンカヌーが沖合から到着して、なんとブルックトラウト(だと思った)を何匹も釣り上げていた。うーん、なんで釣りはできないと言われたんだろうかとあらためて先ほどの会話を頭の中で反芻させながら、羨望の眼差しでそのトラウトを眺めていた。

カヤックを湖畔に運び、空気を入れて組み立てる。早速蚊やブラックフライがわんさかとやってきて、虫除けは必須だ。荷物を積み込む。このカヤックに荷物を積み込むことにもだいぶ慣れてきて、今日はスムーズに収まった。
さて11時前に出発。湖の東側の岸辺に沿って南下する。

風は吹いているけどそれほど大変でもない。湖面にはカヌー・カヤックがちらほら。そのほとんどがレンタルカヌー・カヤックだ。この湖の東側は、ビーバーの巣が点在。全部で3〜4個程見たと思う。

流れ込みがあったので中に入っていくけど、すぐに行き止まりになり戻る。

今日もまだ新緑めいた緑がまぶしい。のんびりとパドリングを続ける。

この湖全体では合計5箇所のカヌーキャンピングサイトがあって、そのうち4箇所が東側にある(泊まるのは東側の一番南端)のだけど、通り過ぎてもまだ人はいる気配はなくて、静かだった。
寄り道しながら、小一時間程漕いで、今宵のカヌーキャンピングのサイトに到着。

まだ誰もいない。この中の4つの区画にはやっぱりA〜Dが割り振られていなくて、それについては早い者勝ちだと判断して、向かって一番右端のサイトを確保した。この場所はすぐ横に小さな流れがあって、水が使えるので非常に便利な場所!

この小さな流れの中には、葉・枝をまとったトビイロトビケラや、砂をまとったニンギョウトビケラらしきものがいた。
しばらくすると、年配のご夫婦が乗ったカヤックがやってきた。今宵ここに泊まるとのこと。早速一番左端のサイトを確保。いい天気ですね、この湖に来るのは初めてなのですけど、と話をすると、自分たちは別の湖は行ったことがあるよ、とのこと。へぇ、僕もありますよ、先日ワピッザゴンク湖(Lac Wapizagonke)に行きましたよ、というと、そこそこ、2週間前に行ったのよ!とのこと。なんと!2週間前にすぐ近くでカヤックをしていたらしい(僕のキャンプサイトは2番で、ご夫婦は6番だったとのこと)。
カヌーキャンピングのサイトはトイレがあることもあって、時々日帰りの方も立ち寄って行く。この中で、僕の使っているカヤックに興味を持って、これはインフレータブルなのか、どのぐらい組み立てにかかるのか、と訊いてきた方もいた。
荷物の一部を置いてから、湖の南端を目指して出発。

岸際には小魚が群れていた。ハシグロアビCommon loon)が忙しそうに魚を獲っている。

湖の南端にはすぐに到着したのだけど、この先は川となり隣の湖に注いでいる。もし隣の湖にいく場合は、ポーテージする(カヌーを担いで運ぶこと)必要があってそのトレイルが整備されている。日帰りの方のカヌーも2隻ほどいて、男性の一人は湖の岸際で小きじを撃っていた。カナダの国立公園も、日帰り客が訪れる場所ではルールやマナーが守られているのかはかなり怪しい。人がたくさん訪れる場所こそ、ルール・マナーの遵守が必要なのに。これも何かの参考だと思ってズームカメラでパチリと撮っておいたのだけど、綺麗な絵ではないのでここには載せません。
しばらく湖の南端をうろうろした後、サイト地に戻った。タープを張ったのだけど、風が強くて、張り綱の先端のプラスチックパーツが引きちぎられてしまったので、ふた結びで木に固定する。ふた結びはこんな時便利だ。なんとなく覚えにくい結び方なのだけど、結び目が結局はクローブヒッチと同じだと覚えると簡単だと思う。サイトではトンボが数匹舞っていた。

屋久島にいた時に一緒に働いていた方から教えてもらった「ルワンダ中央銀行総裁日記」を読み耽る。蚊とブラックフライがたかってくるのは不快で、折りたたみ椅子もハンモックも持ってこなかったのは失敗なのだけど、でも結構読み進めることができた。
岸際にカナディアンカヌーが到着して、おじさんと非常に若いビキニ姿の女性が大きな荷物を背負って降りてきた。遠目から見ていると歳の差婚だなぁと思っていたのだけど、話をすると、なんと娘さんとのことで、カヌーの技術や、キャンプ技術を教えるんですよ、とお父さんは嬉しそう。非常にフレンドリーな方で、この年季の入ったカヌーは1992年に買ってね、といろいろ話をしてくれた。僕のカヤックにも興味を持っていたので、乗ってみますか?と話をして試し漕ぎしてもらった。娘さん(十代半ばか?)は泳ぎが大好きで、カヌーが引っくり返った際の対処方法や、焚き火の火のつけ方といった時以外は、時間があれば水の中に入って泳ぎ続けていた。この父娘は非常に仲良くて、一緒に和気藹々と訓練を続ける様子はとても素敵だったのだけど、一方で若い綺麗な女性がビキニ姿で目の前をウロウロし続けているのは、硬派な山男としては、あまりそういう状況に遭遇したことがない(沢だとみんな服を着ているしね)ゆえ、気が散る側面もあるにはあった。

この行水に触発されて、年配のご夫婦も泳いではしゃいでいた。焚き火をしつつ、読書を続ける。
夕方になって一度湖面にカヤックを出して散歩する。

その後は焚き火でソーセージやマッシュルーム等を焼いて食べた。

焚き火を始めてからも、蚊やブラックフライが減る気配はなく、100匹以上は叩き潰したと思う。虫除けを塗り忘れていた額や、メガネのフレームが邪魔になって手を出しにくいこめかみの部分を刺され(蚊)あるいは噛まれ(ブラックフライ)、かゆかった。
夜21時前にほろ酔い気分ながら湖面にカヤックを出して漕ぎ出でる。風はすっかりと収まって、湖面は穏やかだ。西の空を黒く縁取る森。そして沈んでいく太陽。何度見ても神秘的な光景だ。美しい。

サイトに戻ってくると娘さんはまた泳いでいた。すごいなぁー。
夜22時を過ぎて湖畔に行く。南の空にはさそり座が大きく輝いている。湖面に映ったアンタレスが素敵。カメラの露光時間を長くして、その姿を収める。

テントに入ってからも読書を続け、23時を過ぎて眠りについた。