休日 Thousand islands kayaking 二日目

朝6時頃目が覚めた。

まだ太陽は昇っていない。夜明け前の島々と川が美しい。

気温はぐっと下がって10℃。寒冷前線通過後の空は秋の空だった。時々大きな魚が跳ねた。カナダガンの群れがやってきて、鳴きながら遠くの川面に着水した。

ガスストーブでお湯を沸かして、紅茶を飲み、オートミールを食べ、りんごを齧った。やがて太陽が高く昇り始め、朝の光に照らされた島々が美しい。

リスは朝からヒッコリーの実を咥えて梢の間を元気に走り回っている。

8:20にようやく出発。まずはアドミラルティ諸島の西端に向かう。


そこに広がるどこまでも広い河。

果てしなく広がるセントローレンス川。この広い川の対岸はアメリカだ。こちら側の島にはためくカナダ国旗。ある島のシルエットは軍艦そのものだった。

進路の東に変え、島の間を縫っていく。

大砲のレプリカをエクステリアとして置いている島があった。

すぐ近くのキングストンはもともと重要水路を守る海軍の要衝として栄えた街だ。そしてこのガナノクエの町もまた米英戦争の際の戦場の一つだ。大砲が見据えているのはアメリカの艦隊だろうか。島と島の間には時々浅いところもあってそうしたところは水草だらけだった。水鳥がたくさんいる。魚もたくさんいる。

一列に並んだ鵜は皆こちらの一挙手一投足をマジマジと見ている。

そんな中をのんびりと漕いで行った。

クルーザー船をやり過ごしたりしながら、ぐるりと回って、昨日通過したマクドナルド島までやってきた。今日は北風。マリーナの地点がちょうど風上になる場所まで漕いで行って、そこから幅のある部分を一気に漕ぎ抜ける。モーターボートがどこまでカヤックに気がついているのかわからない以上、そうした船が行き来する場所はできるだけ速く漕ぎ抜けたい。幸い、船が横切ることもなる無事横断。ゴールまであと少し。時刻は10時過ぎだった。

マリーナの砂浜に戻ってくると、SUPの一団がいた。昨日も会いましたね、と声をかけられた。風は涼しいけれど、日差しはきつくて、水はそれほど冷たくない、気持ちのいい中をSUPがどんどんと出艇していく。颯爽と漕いで行く様子は格好良かった。
カヤックを干して十分乾かしてから折りたたみ、車に積み込んだ。

マリーナの船と船の間は水草がびっしりと生えていて、3cmほどの小魚から25cmぐらいの中サイズの魚まで、いろいろな魚が泳いでいた。緑地では犬が元気に走り回っていて、そこでは折りたたみ椅子を出してくつろぎながら本を読んでいる人もいた。
11時過ぎにガナノクェの町を出て、モントリオールへと向かう。ハイウェイをのんびりと走って、14時頃モントリオールに戻ってきた。その後は洗濯・片付けをしてからほっと一息ついた。
今回訪れたサウザンド諸島は、バックカントリーではなくて、あくまでフロントカントリー。なので、キャンプサイトからも携帯電話が通じたし、ボートに乗って気軽に訪れていた家族連れもたくさんいたし、島々の間にはそこそこの数のボートが行き交っていた。なので、率直には原生的な大自然に触れる雰囲気はないけれども、点在する島々とそこにある家は風情があってなかなか素敵なところだ。港町の風情が好きな方にはたまらない場所で、風光明媚であることは確かなので一度は訪れる価値はある場所だと思う。また、国立公園の管理の仕組みとして、北米に良くある土地を含めた全体を所有していて、ゲートを設けて管理しているのではなくて、日本のように、民間施設も活用しながらそれなりに管理しているのは少し興味深かった(と言ってもキャンプサイトが指定されている島々はカナダ国立公園局の国有地だと思いますけど)。しかし、国立公園の地図でどこから出艇すればいいかといった情報が書いていないのは、少しわかりにくくて、こうした点は改良の余地があるのになぁと思ったりもした。なにはともあれ、激しい豪雨に見舞われた今年18回目のカヤック旅もまた、事故なく怪我なく無事幕と閉じた。