休日 Diable River Kayak-camping ふたたび 二日目

気がつけば6時半を過ぎていた。外は曇っているが雨は降っていない。7時を過ぎてもまだNico家テントは静かだった。やがてみな起きてきて、朝一でみなで目の前の川に泳ぎに行く。

僕は水中眼鏡とシュノーケルをつけて、近くの淵(水深3.5mほど)に潜る。砂利の川底からは時々泡がプクプクと出てきていた。水は透明感はあるが茶色で、魚は見当たらなかった。
せっかくなのでのんびりと出発したいというNicoの意向を受けて(この辺り、野外ではとにかく朝早く行動することを基本としている僕とは全く逆なのだけど)、焚き火をしてのんびりと朝ごはんをいただく。
キャンプサイトは川に面しているので、流れていく方々が挨拶していく。女性ばかりのパーティーもいて逞しい。カワアイサの群れが現れて、一斉に水面を走るように逃げていく様子がなかなかすごかった。


撤収を済ませ、10時にNico家が先に出発。

僕は5分遅れて出発したけど、10分ほどで追い付いた。静かな川を流れていく。
10:25にNo.12の瀬(2級 75m、Le Pont-Brûléのキャンプサイトがある場所)に到着。

上陸して偵察。10:35に出発。
流れは基本的にはまっすぐなのだけど後半に避けるべき岩があってその間を抜けていく必要がある。Nicoカヌーも僕のカヤックもうまくすり抜けて無事通過。

この先はLac Escalierまで緩やかな流れが続く。蛇行区間をのんびりのんびりと進む。途中の水草がびっしりの三日月湖に寄ったりもした。

11:30にLac Escalierに到着。どんよりとした雲、少々の風。

この湖の横断は、GPSでカヌーのスピードを測ったりしながら進む。子供たちはこういうスピード計測といったことが大好き。おかげで、かなり早く湖を横断することができた。Nicoはうまく動機付けしながらコントロールしているなぁと感心した。

12:40に湖から川に入るNo.13の瀬のポーテージポイントに到着(カヤックを担いで運ぶこと)。ここは岩だらけなのでそのままは下れない。ここで何と昨年秋まで一緒の職場(二つ隣の部屋)にいたDidierにバッタリと出くわした!ご家族で遊びに来たらしい。話に花が咲いた。

しばし昼食休憩。パンを頬張る。この間、ギンヤンマの仲間がてんとう虫をバグバグ食べているシーンに出くわした。びっくり。

50mほどカヤック・カヌーを運んで、13:00にNo.13の瀬の下を出発。

橋の下の瀬がNo.14の瀬なのだろうか?
そして、13:05にNo.15のこの区間で一番難しい瀬(2級 350m)に到着した。上陸して偵察。
岩のゴツゴツした白く波打った瀬を見て、これはちょっと子供達を乗せていくのは厳しいかもしれない…とNicoは顔をしかめている。あの場所を越えたらすぐに方向を変えて…といろいろ打ち合わせる。いろいろ話をした結果、最初の区間をまず僕が越えて見本を見せることになった。13:20、スタート。
岩の間を縫って4箇所ほどの白い落ち込みを越えたところで右岸に回り込んでストップ。うまくいった。

その後、別のカヌーが偵察なしでやってきて左岸よりを時々カヌーを降りて押したりもしながら無理やり通り抜ける。すごい。
意を決したNico艇も出発することになった。ただ、Toonは乗り込まなかった。だって危ないし、頭打ったら死ぬかもしれないでしょ、と僕に話してくれる。Nico曰く、アウトドアではどんな状況でも必ずついてくるのはMariekeとのこと。彼女は本当に逞しんだよ、と娘のことを語る父親姿はとても素敵だ。

岩の間をうまくすり抜けて無事通過!

そのすぐ下で岸にカヌーを付けて、その後はToonも乗り込んで出発。
僕もカヤックに再乗船して出発。
瀬が続く。岩の間をすり抜けていく。時々カヤックの底を擦った。最後の淵に出る直前は流れを一つ間違えてスタックしてカヤックから足を出してずりずりと進んだ。前回は問題なくすり抜けたのに…一方、Nicoカヌーはうまく全部切り抜けたようだ。素晴らしい。

この淵の先にさらに少し瀬が続く。手前で上陸してじっくり偵察する。前回は偵察なしですり抜けたところだ。何隻かカヌー・カヤックが流れてきてそれも参考にもした。
14時にNicoカヌーが意を決して突入。無事降って誇らしげ。

僕も続く。一箇所スタック仕掛けたが、手でゴリゴリ岩を押して切り抜けた。

これで難しいところは全部終わった。ほ。
その先はゴールに向かってのんびりと漕ぐのだけど、雨が降り始め、パドリングが自然に早まった。

そして14:25に無事ゴール地点のLac Laplanteに到着。

怪我なく事故なく無事たどり着いてホッとした。
カヤックを畳み、Nicoのカヌー以外の荷物(キャンプ道具、僕のカヤック)は全部車に積み込んで(セダンなのに意外とたくさん入るものです)、皆を乗せて14:50に出発。Lac aux Herbesに停めてあるNicoの車の回収にいく。先ほどカヌーで通過していったカップルの車がスリップして道路横の藪の中に車で突っ込んでいて、ちょうど救助に来るところを目撃した。そう、ここの砂利道は少し滑りやすいので気をつけて運転した。
一時間近くかかってLac aux Herbesに到着。僕の車が気に入った(?)Toonは僕の車に残って、再度Lac Laplanteに向かう。そして、Nicoのカヌーを車の上に積んでから、モンロー湖のカヌーレンタルセンターに向かった。トイレ休憩を済ませ、解散。すでに17時近い。
モントリオールまでの高速道路は結構混んでいて、いつもだと早ければ1時間40分で着くところが3時間以上かかった。眠気覚ましにレッドブルを飲んでいたのだけど、おかげでトイレが近くなって、最後は暖房をかけて水分を失わせながら進んだ。結局家にたどり着いたのはなんだかんだで21時近くになってしまった。

先週に引き続いて訪れたこのディアブル川の上流区間。あいにく天候は曇りで、水位はさらに下がって、先週よりもカヤックの底を擦ることが多かった。わずか1週間であんなに違うものだと率直に感心した。でも、先週来ただけあって、瀬は全部わかっているので特に何も緊張せず、Nico達とワイワイと楽しく川を下ることが出来たのは素敵だった。川下りも、キャンプ中の食事もみんな楽しんでくれたと思う。そして何より、この美しい川を再訪できたのは幸い。また、木々がまだわずかながら色づき始め、秋の訪れをこれまで以上に感じた週末でもあった。カナダでの夏がもうすぐ終わってしまう…そんなどこか寂しさも感じた週末の川下りだった。

休日 Diable River Kayak-camping ふたたび 初日

先週末に一人で出かけたモントランブラン州立公園のディアブル川のLac aux HerbesからLac Laplanteまでの25km区間。職場の隣の部屋のNicoがこの場所に興味を持って行ってみたいという。この週末は別の同僚と出かける予定だったのだけど、用事が入ってしまった(正確にいうと先に入っていた用事を思い出して)ので、予定が空いてしまったので、せっかくなので一緒に出かけますか、という話になった。SEPAQに電話をかけてカヌーキャンピングのサイトの予約を取った。地図はこちら(PDF)の左ページを参照。

朝5時過ぎに起きて、朝6時前に自宅を出発。今日のカーシェアリングの借りた場所はいつもの場所よりも遠くて(自宅から1.3kmほど)、朝一で汗だくになりながらカヤックを運んで消耗した。モントランブラン州立公園の入口に8時に集合の約束だったのだけど、7:50に到着すると既にNico家は到着していて、さらに僕に成り代わって手続きを済ませ終えたところだった。今回のメンバーは、Nico、(Nico曰く、年頃で扱いが難しくなってきた長女は結局参加せず)次女のMariekeと長男のToon、そして僕の計4名。昨冬に一度一緒にスキーに出かけているので、久しぶりですねーと話をした。
入口から10kmのところにあるカヌーレンタルセンターに立ち寄ると、なんと閉まっていた。先週はこの時間でまだ開いていたのに。先週と違って今回はバスを使わない。二台の車でまずはLac Laplanteに向かう。そこで僕の車をデポして、Nicoの車に荷物を積み込んでLac aux Herbesへ。途中、鹿を数頭見かける。今回はどんな動物に逢えるだろうか。
9:10にLac aux Herbesに到着。カヌー、荷物を降ろす。僕はカヤックを組み立てる。まだバスは来ていないので、キャンプしている方々を除いて人はいなくて、静か。そう今回は早く出発して早くいい場所を押さえよう、という作戦。9:45に出発。先週よりも1時間も早く出発。

天候は曇り。風もあって鏡のような鏡面ではない。カヤックには僕が乗って、カヌーにはNico一家が乗っている。今回僕はいつもカヤックの先端に設置しているGoProをカヤックの後ろ部分に取り付けてみた。いつもと違うアングルからの写真・動画の出来上がりが楽しみだ。

湖を越えて、川に入り、10:25に最初のNo.1(1級、15m)の瀬に入る。ここはさすがに楽勝。

と続くはNo.2のホワイトウォーターなのだけど、浅くて早速カヌーが底をつかえている。一週間違うだけだけど、水量はグッと減って、かなりの低水位になっていた。おかげでこの先、先週は無事通過できたところも底を擦ってカヌー・カヤックを降りるシーンが増えた。
No.3の瀬(1−2級)は、Nicoカヌーが先に行って、僕が続く。ここはほぼまっすぐな流れを素直に進んで無事通過。10:40。

No.4、No.5の瀬は浅くなり過ぎてカヌー・カヤックを降りる。ここまで浅いとは思わなかったなー。
11:00にLac Montcourtに入った。湖を20分ほどで横断して、再び川に入る。この先はしばらく穏やかなゆったりとした美しい流れが続く。



出発地点から8.4kmのところにあるLa Barqueのキャンプサイトには12時前に着いた。偵察を兼ねて休憩。パンにいろいろなスプレッドを塗って食べる。ここはNo.6の瀬(1−2級 100m)がある。カヌーが二隻通過していく。途中でスタックしているところを見て、ここはこう気をつけよう、あの場所はこちら側を通過しよう、と打ち合わせていく。
12:30出発。No.6の瀬に入る。最初の場所は慎重に岩を避けながら下る。二番目の流れは手前に浅いところがあるのでそれにスタックしないように気をつけた後(底は擦った)は、まっすぐ下る。その先は素直な流れ。川に張り出した枝にパドルがひっかかってパドルのシャフトで顔面パンチを食らった以外は平気。爽快な流れが気持ちよい。この後半部分が前回気がつかなかったけどNo.7の瀬なのだと思う。

さて、No.8の瀬(2級 50m)には12:35に突入。割とテクニカルな瀬で前回引っかかってしまった場所。先行するNicoのカヌーは水面下の岩をスルスルと見事にすり抜けて無事通過!でも僕は一箇所左に行くべき岩を右に抜けてしまい、スタック…でもそのすぐ下で再乗船して瀬を越えられたので良しとしよう。

その先しばらくの間は森の中を蛇行する川をゆったりと下る。
No.9の瀬(2級 100m)の手前には13時に到着。偵察に行く。先週はブルベリーがたわわに実っていたのに、今日はほとんど残っていなかった。残念。割と長い瀬で、難しくはないのだけど最後の部分で変なルートを取らないように少し気をつける必要がある。13:10に出発。しっかり偵察したこともあって特に問題なく通過。残念なのは、せっかく撮影したのにエラーが出て動画が残っていないこと。
この先は森が美しくなる。前回来た時も気に入った区間だ。

先行していた別パーティーのカヌーを追い抜くべく、Nicoカヌーがスピードを出して進む。No.10の瀬を始め、浅くてカヤックの底を擦るところが何箇所かあったのだけど、特に問題なく進む。
No.11の瀬(1級 50m)は前回引っかかってしまった場所だけど、今回は無事問題なく通過した(ただし、動画なし)
そのすぐ先のキャンプサイトLa Gaffeに無事到着。出発地点からの距離は15km。14:05。

既に一艇カヌーが着いていたのだけど、川岸の一番良いサイトであるNo.9-10は空いていたので、そこを占領した(先週はNo.1のサイトを使った)。

テントを張り、タープを張る。途中で雨が降ったのでタープは持ってきておいて良かった。ハンモックを吊るしてのんびりと過ごす。

と、公園の管理官(レンジャー)の方がやってきて話をする。滅多に見ないけど、たまにはいるものだと思った。

夕方遅くに少し上流にいって、子供たちが竿を垂れる。バスが釣れてリリースした。
晩御飯は豪華絢爛。ビーフステーキやソーセージ、マッシュルーム、パプリカ等を焼きつつ、蒸したジャガイモ、サーモンミルクスープ、チーズ、パン、その他もろもろを食べる。

子供たちの食欲は旺盛で、出したものをあっという間に食べつくしてしまう。結構結構。Mariekeは割と好き嫌いがあるらしいのだけど、僕の持ってきたサーモンミルクスープは美味しいと平らげてくれて、それを見たNicoとToonから、Seishu、これは本当に美味しいということだよ!おめでとう!と褒めてもらった。
晩御飯の後は、ひたすらマシュマロを焼いて食べた。

夜は川岸の魚観察をやった。
21時には子供たちはテントに入っていった。その後片付けをやってから焚き火の前で一人ゆったりと過ごす。

23時前に一人用テントに入って、眠りについた。

休日 Diable River Kayak-camping 二日目

朝5時半に起床。うっすらと明け始めた夜。ポールに吊るしておいた食料・調理器具を回収して、お湯を沸かし、朝食をいただく。まだほとんどの方はテントから出てきていない中、さっさと準備を済ませて、7:15に出発。

靄のかかった川面をゆっくりと流れていく。今日も天気は良い。朝一で誰もいないので静かでとてもステキ。この川は雰囲気は素晴らしいのだけど、出発時間が集中して、少々混雑感を感じるのが玉に瑕だったので、朝一のこの静けさはとても気に入った。

出発して20分、のんびりと進んでいたら突如右岸の茂みがガサゴソガサッ!と大きな音を立てて大きく揺れ、何事か!(クマかオオカミが突進してくる?)と、身構えたら、ビーバー2頭がこちら目掛けて突進してきた!咄嗟に彼らの心情が理解できず、噛みつかれる!?とかなりドギマギしたところ、ドボンッと大きな音を立てて川に飛び込んだビーバーは、そのままカヤックの下を通り抜けて姿を消した。振り返ってみれば、ビーバーにしてみれば、ムシャムシャと草を食べていたらいきなりカヤックが現れたのでびっくりして川の中に逃げ込んだだけらしい(その最短距離が僕の方向だった)のだけど、突進してくるビーバーには結構ビビって、でも距離わずか1mで見ることができたのはとても素敵な体験だった。もう少し早く気がついていたら写真を撮れただろうに…残念(撮った写真には何も写らず)。

早起きは野生動物に出会える確率を上げてくれる。そんなことを今更ながら考えながら、先へと進んで行く。
さて、7:40にNo.12の瀬(2級 75m)に到着する。

上陸して偵察。ここはLe Pont-Brûléのキャンプサイトがある場所でもある。特に最後の部分はきちんと見ておいたほうがいい場所だ。朝一でもあるのでやや緊張しながら進む。流れ自体はまっすぐで、最後のいくつかの岩をきちんと避けられればそれほど問題はない。

橋の下をくぐり抜け、その後はのんびりと進む。ここから湖までの一時間ほどの区間は、くねくねと曲がる流れをただひたすらゆったりと流れていく、湿原好きにはたまらない区間だと思う。水面に映った森を眺めながら、小鳥たちの歌を聴きながら、水面下の水草の揺らめきに癒されながら、朝の涼しい空気を胸いっぱいに吸い込みながら、ゆったりと過ごす。


Lac Escalierには8:40に到着。湖の入り口では釣りをしている方がいた。

穏やかな湖をのんびりと横切る。湖上でくつろぎのポーズを取っていたカヤッカーが、随分と近づいてから僕の存在に気がついて、いそいそとパドリングして遠ざかっていった。湖の中島の近くではハシグロアビが潜りを繰り返している。湖岸にカヤックキャンピングのサイトがあって、のんびりとくつろいでいた。
30分ほどかけて湖を横切る。再び川になるべく狭まっていくところには、小魚がたくさんいて、パドリングの度に群れが揺らぎ、水面に数々の水紋を作っていた。
9:15にNo.13の瀬に到着。

ここは岩だらけで下れないのでポーテージ(カヤックを担いで運ぶこと)する。ここにもLe Barrage-du-Lac-Escalierという名のキャンプ場があって、トイレ休憩を済ます。橋のすぐ横にカヤックを降ろして最後の区間へと向かう。

後から降り返れば、このポーテージ再出発地点にある、No.13から続く瀬がNo.14の瀬(2級 50m)だったのだと思う。でもこの時はそう思わなかった。この点は、このガイドマップの分かりにくさに起因する。そして、9:40にNo.15の瀬(2級 350m)に到着した。

でも勘違いしていて、これがNo.14の瀬だと思っていた。ちなみにNo.14の瀬の解説は「いくつか避けるべき岩があるが、困難なしに越えられる」であり、No.15の瀬の解説は「何箇所かしっかりとした操舵が必要、何箇所か避けるべき岩があるが、著しい困難なしに越えられる」となっている。
偵察する。瀬が続き、最初の部分しかわからない。入ってすぐに気をつけるべき狭い部分が当て、そこを頭の中で何度かリハーサルした。
さて、出発。入口で早速底が引っかかってずりずりと進む。その先は、あれよあれよという間に過ぎていく。岩が出てくると咄嗟に判断して避けていく。スピードがあって面白い。距離も長い。なかなかの瀬だ。泡立つ瀬が陽の光にキラキラと輝いている。これがNo.14だなんて、No.15はかなり難しそうだ…と思いながら下る(降っていたのはNo.15なのですが)。

300mほど降って一度淵になる。その先は偵察せずにそのまま突っ込んだ。うまく岩の間をすり抜けて、少々引っかかりはしたものの、無事通り抜けた。

その後は、のんびりと美しい流れが続く。でも気持ちは、次のNo.15の瀬は如何程のものか、と思いながら落ち着かずに進む(実際にはNo.15は終わっているのだけど)。既に終わっているものと知っていれば心からリラックスしてのんびりと下ったのですが…地図ぐらいちゃんと見ておけばよかった。Lac Laplanteの手前の湖に浮かんだ雲が印象的だった。

さて、気がつけば、眼の前に昨日Lac Laplanteに車を停めた際に見た「この先滝があり危険、川下りここまで」という川にかかった横断幕を見て混乱する。あれ、そうか、No.15はもう終わっていたんだ、とようやく気がつく。昨日の出発地点から計25km、今朝のキャンプサイトからは10km下って、10:20にゴール地点に到着!ちょっと急ぎ過ぎただろうか?

その後はカヤックを乾かしてから片付けるのだけど、気がつけば何箇所か蚊に刺されていて痒かった。シマリスが近くに寄ってきて、エサをくれ!と物欲しげな顔をしていたのだけど、心を鬼にして、食料の入った袋を真っ先にバッグの奥にしまって無視を決め込む。かわいい顔をしているけど、実は手には鋭い爪があって、そのギャップにはどきりとする。

カワアイサの群れが流れていく。のんびりとした水辺の時間。
11:15に出発。砂利道を越えて、舗装路に出て、公園の入口を過ぎて、モントリオールに向かう。途中の高速道路は事故渋滞で通過に時間がかかるところがあった。

14時前には到着。その後は洗濯、片付けに邁進した。
Diable RiverのLac aux HerbesからLac Laplanteのこの区間は、実は昨年から是非行きたいと思っていたところ。それをやり遂げ、一言でどんなところかと訊かれれば、とても素敵なところだった、と答えたい。瀬と瀬の間は、よく言えばのんびり、悪く言えば若干冗長な部分もあるけれど、いじくられていない蛇行した流れの中を進むのはとてもとても素晴らしい。瀬は水量に寄るのだろうけど(今回は平均よりも少ない低水量期だったと思う)、とてもとても困難、という場所はなかった。でも流石に全くの素人だとちょっと難しい・厳しいのではないかとも思う。でもいざとなれば主要な瀬にはポーテージ用のトレイルも付いているし(避けて通るのは勿体ないですが…)、なんとかなるコースだと思った。一点、残念な点があるとすれば、バス利用者は出発時間が被るため、混み合った印象になることか。さらに言えば、このケベック州の州立自然公園のカヌーキャンピングは、ネットで予約が出来ず、電話する必要があるため(国立公園のカヌーキャンピングサイトはネット上で予約可)。国外に住んでいるとちょっと面倒だと思うことか。とはいえ、素敵な森の中の川を堪能できてとにかく大満足な週末だった。

休日 Diable River Kayak-camping 初日

この土日は、モントリオールから車で北西方向に2時間行ったところにあるモントランブラン州立公園(Parc national du Mont-Tremblant)で川下りすることになった。場所は、Lac aux HerbesからLac Laplanteまでの25kmの区間で一泊二日のコースになっている。何度も訪れている自然公園だけど、ディアブル川のこの上流部分で川下りをするのは初めてだ。地図はこちら(PDF)

6時前にモントリオールを出ると、モントランブラン州立公園の入口には7時20分には着いてしまった。8時に受付が開くのでそれまで待つ。受付を済ませて、そこから10km先にあるLac Monroeのサービスセンターに向かい、そこでさらに手続きをする。僕は自分のカヤックを持っているので借りないけど、カヌー・カヤックを借りる人はここで免許証等を預けることになる。4ドルで地図を購入。ウェブサイトでダウンロードできるものと同じ。最後のNo.15の瀬だけはくれぐれも気をつけてください、と話をされた後、駐車場を出て、左に行き500mほどのところで右手にある駐車場に行くように指示された。そのLa Roche登山の入口の駐車場に行くと、出発地点まで運んでくれるバスがいて、さらにこれからその川を下る方々が20−30名ほどいた。

バスの出発時間は9時。ちなみにモンロー湖畔のサービスセンターには8時30分には来るように指示されていた。通常ここに車をデポしていくことになるのだけど、バスの運転手さん曰く、自分のカヌー・カヤックを持っている方は、川下り終了後にすぐに帰路につけるよう、終点のLac Laplanteまで自分の車で行っても良いという。それは名案、とそうすることにした。バスより一足先に出発して、Lac Laplanteに向かう。

Lac Laplanteの駐車場で待っているとカヌーを満載したバスがやってきて、ピックアップしてくれた。ここからさらに1時間ほどバスに乗る。

途中、5月にカヤックキャンピングをしたサバンナ湖の横を通って行った。懐かしい。昨日のことのように思い出せはするけど、既に何年も前のような気もしていた。10時15分にLac aux Herbesに到着。キャンプしている人もいて、思ったよりも賑やかなところだった。ここでビニール袋に入った薪を受け取り、バスの同乗者は次々とカヌーに乗って出発して行った。僕はカヤックを組み立て、準備を済ませ、10:45に出発。

天気は最高にいい。
Lac aux Herbesは水草の多い湖だ。途中の水草地帯は、カヤックの底を水草で擦りながら進む。

右手には大きなビーバーの巣。途中の島には早速上陸して休憩しているパーティーがいる(鳥類保護のため島への上陸は禁止)。いつものことだけど。
湖を30分ほど進むと、川に入っていく。さてさて、どんな瀬が出てくるか、少々の武者震い。
最初のNo.1の瀬は、うん?これが?と思うほどあっけなく終わった。確かに1級の瀬で15mと書いてあるのだから、そんなものなのだろう。

続くNo.2の瀬は「ホワイトウォーター50m」とあるのだけど、最初こそ少し浅めで慎重に通り過ぎたがその後はさらさらと穏やかに流れる中をただ素直に漕ぎ抜けるだけ!それが終わるとものすごくゆったりとした流れに戻る。イメージしていたのは、瀬の表記がないところもそれなりに流れがあって、瀬の表記があるところは結構な瀬なんだろう、ということなのだけど、どうやら瀬の表記の無いところは本当に穏やからしい。
さてNo.3の瀬(1−2級)。ここの手間には8隻のカヌーが停まっていて、瀬の途中にずらりと並んで瀬を偵察している。僕は上陸せずに先行する3艇のカヌーの様子を水の上から眺める。ところどころ岩の出た流れだけど、流れ自体はまっすぐ素直なもの。ガイドには左のラインと書いてあるのだけど、真ん中のラインを漕ぐ。そして素直に漕ぎ抜けることができた。

No.4のホワイトウォーター100mの瀬は、森の中の素直な流れをただ素直に気持ち良く漕ぎ抜けるだけ。とても気持ちいい。
No.5の瀬(1級 100m)は、左側を行く。

が、入口と出口の部分が非常に浅く、スタックしたのでカヤックを降りてカヤックを引っ張った。もう少し水位が高い時なら素直な流れだろうと思う。

この瀬を過ぎるとLac Montcourtに入る。出発地点から1時間。

この湖を20分程かけて通過する。喉が渇いてレッドブルのブルーベリー味を飲んだ。湖の上にはハシグロアビと2隻のカヌー。再び川に入ると、のんびりとした美しい風景が広がる。

ゆらゆらと揺らめく水面下の水草。群れる小魚。水際にひっそりと佇む水鳥。その中を蛇行しながらゆったりと進む。出発地点から7.2kmの距離にあるLa Draveのキャンプサイトは12:30に通過。前後のカヌー隊と距離を取って視界に入らないようにして、その中をゆったりと流れていく。
その先にはNo.6の瀬(1−2級 100m)。12:45。ガイドには、要偵察。水路は二本あるがそのうちの一つの狭くて深い水路を通行可、とある。ここは出発地点から8.4kmのLa Barqueのキャンプサイトの場所でもある。上陸して偵察。

先に来ていた一隻のカヌーが漕ぎ抜けていく様子を目に焼き付けた。さて出発。

いきなり左右に分かれる流れは、右側を行く。入口付近が狭くて、隠れ岩もあって、最初の部分は慎重に進む。一段越えると一旦流れは緩やかになり、その先は手前の細くて深い水路に入る。その入口が少々浅いので要注意。一旦流れに乗ってしまえば、あとは素直に流れにのって漕ぎ抜けていける。スピードもあって爽快感は抜群だ。No.7の瀬(1級 50m)は気がつかなかった。ひょっとしたら、No.6の瀬に続いていた長い瀬のことなのかもしれない。とにかく問題は無し。
さて、No.7の瀬に気がつかなかったことで、No.8の瀬(2級 50m)に偵察無しで飛び込むことになった(二級の瀬と知っていれば偵察したのだろけど…)。瀬の最初は岩の間を縫うがそれほど難しくはない。割とスリリングな瀬だなぁと思いながら進むと瀬の最後は結構段差があって、正面に岩、ルートは右寄り。そこで右にターンしたものの、流れに乗り切れずに岩に張り付きスタックした。カヤックを降りて岩に張り付いたカヤックを引きずり出すが、流れは強いので再乗船は難しい。瀬の最後の部分は水の中を歩きながら越える。漕ぎ抜ければ気持ち良さそうな場所だったのに。ちょっと残念だ。

なお、後続のカヌーも同じところでスタックしていた。
9.5kmの地点にあるLe Lac-Alexのキャンプサイトを13:10に通過した。のんびりとした流れを下る。右岸の倒木の上にリスを発見!なんとその後水に入って泳ぎ始めた!すごい!とシャッターを切る。僕のカヤックに気がついたリスは慌てて引き返して倒木に戻り、そして森の中へと逃げていった。

No.9の瀬(2級 100m)は事前に偵察した。13:30。ポーテージルートに沿って瀬の出口まで歩き、じっくりと流れを見極める。出口付近に隠れ岩と幾つかの岩があって、ルートをしっかりと取る必要がある場所だ。ポーテージルート沿いにはブルーベリーがたわわに実り、いくつか摘み取っていただく。美味しい。

さて、出発。最初の部分は隠れ岩があるので慎重に漕ぎ抜ける。少し緩やかな区間があって、その後この瀬で難しい部分がやってくる。右側を行き、その後左側に移るところで右の流れに乗りかけていたので少し後退して左側の流れに乗る。その先は素直だった。

くねくねとした流れをのんびりと行く。

14時に11.8kmのところにあるLe Beaulieuのキャンプサイトを通過。当初ここでキャンプをする予定だったのだけど、いっぱいで予約できなかったサイトだ。先行していたカヌーがここで上陸。おかげでその先しばらくは静かになる。美しい森の中をゆったりと、ゆったりと流れていく。幸せなひととき。


No.10のホワイトウォーターは素直な流れだけど一部浅いところがあって一箇所引っかかった。

No.11の瀬(1級 50m)は楽勝と思いきや、途中で引っかかってカヤックから足を出してずりずりと進む。

瀬の先は大きな淵になっていて、釣りをしている方がいる。
そのすぐ先が、今宵のキャンプサイトのLa Gaffe。


出発地点からの距離は15km。14:50。ここまで約4時間。既に何組か到着していた。一番いいサイトは9−10番の川沿いの場所だけど、既に取られてしまっている。5−8番は非常に開放感がある場所だ。僕は1番のサイトを確保した。森の中で眺めはそれほどだけど、木に囲まれていてプライバシーは一番保たれる場所だった。
カヤックを陸にあげた後、荷物を運び出し、テント・タープを張った。

今回は軽量化のために折りたたみ椅子もハンモックも持ってこなかったので、備え付けのピクニックテーブルに銀マットを敷いて座り、本を読みながらのんびりと過ごす。
17時半を過ぎてビールを開け、サーモンナゲットやチーズを食べながら悦に浸る。

18時を過ぎて焚き火を開始する。焚き火は楽しい。ビールの後はワインを飲みながらのんびりだらだらと時間を過ごす。マシュマロを焼いて食べる。好きだなこういう遊び。
隣のキャンプサイトでは、家族で来ているパーティーが森の中からたくさんの薪を集めていた。バキバキと枝や木を運ぶ音が夜の森に木霊する。
焚き火に照らされた木々の間からは満天の星空が見える。美しい。同じ星空を眺めた過去のたくさんの旅に思いを馳せた。

22時頃テントに入って眠りについた。

休日 La Mauricie National Park The Explorer Route 二日目

5時半過ぎまで寝ていた。


お湯を沸かし、すっかり朝の定番メニューとなったオートミールをいただく。その後はテキパキと撤収をした。
7:20、目覚めやらぬ湖面に漕ぎ出す。朝の光がキラキラと美しい。なんて綺麗なんだろう。湖面は今日も鏡のようだ。

7:50、ポーテージポイントに到着。昨日は騒がしかったウェーバー滝のトレイルも、今日は誰一人いなくて静か。

ここからワピッザゴンク湖まで3km(ただし下り)のポーテージ。朝一で気合い十分。荷物を背負い、カヤックを担いで歩き始める。
トレイルは整備されていて歩きやすい。ただ、たくさんのハイカーが歩いている時間だとポーテージはちょっと面倒かもしれない。
8:30に途中にある展望ポイントの分岐に立ち、カヤックを置いて眺めにいく。まだ誰もいないワピッザゴンク湖を見下ろす素敵な眺め。


その後は下りが続く。

9:00に無事ワピッザゴンク湖に到着。ほ。朝一で静かなのがいい。浮かべたカヤックの周りにはたくさんの小魚が寄ってくる。砂利浜のためか、ヒルはいなくてホッとする。

9:15に出発。さほど急ぐ理由もないのでのんびりと漕いで行く。先月訪れたポーテージポイントを通り過ぎる。首回りがやたらと毛羽立ったアオサギがいた。

前方からカヤックがやってくる。静かだったのももうすぐ終わりらしい。
9:40過ぎに浅くなる区間に入る。一箇所カヤックを降りて押しながら進む。細い水路で何隻もすれ違う。僕のカヤックの先端に付けたGoProに気がついて、すれ違ってからピースをしている方もいる。
9:55、浅い区間を抜けて再び広く深くなったワピッザゴンク湖を進む。前からやってくるカヌー・カヤックの数もさらに増える。ハシグロアビの鳴き声が響く。露出度の高い服を着てカヌーに乗っている若い女性にはついつい目がいってしまう。
10:15、ワピッザゴンク湖の出発地点に戻ってきた。無事カヤック旅終了。合計7.7kmのポーテージを含めて、約28kmの周遊コースはこれにて完了。実際にはウェーバー湖をぐるりと回ったりもしているので、それを含めると33kmぐらいだったと思う。
カヤックを湖面で水洗いして、その後はピクニックスペースで乾かしてから畳む。こうしておくと後で手入れが楽だ。11時前に撤収を完了。帰宅後に気がついたのだけど、ここで乾かしていた、コックピットの水を吸い込むためのスポンジを置き忘れてきてしまった。車まで荷物を運ぶ。駐車場にはたくさんの車。

その後は車に乗ってモントリオールへ。せっかく早い時間に出たのに、モントリオールの街中の高速道路の出口が工事していてその先は渋滞につかまり、いつもは2時間ちょっとで着くところが3時間以上かかってようやくたどり着いた。

ハイシーズンだけあって、(言うほど多くはないのだけど)それなりに人はいて、思ったほど静かな感じはなかったものの、最後にたどり着いたウェーバー湖の奥の部分やキャンプサイトは独占できて、静かで味わい深く、とても良い場所だった。また、たくさんの鳥、ビーバーを見て、うっとりとするような風景にたくさん出会えて、とても楽しく過ごした週末だった。