休日 La Mauricie National Park Hiking & Kayak-camping 初日

今年は紅葉が遅い。昨年は9月下旬に紅葉真っ盛りだったのに、ほぼ同じ時期に先週は湖で泳いでいた。でもさすがに10月に入れば紅葉も進むだろうと、モリシー国立公園を目指すこととなった。今回は初日に、Vieux-Brûlisの13kmのトレイルを歩いて、その後、Lac Wapizagonkeに車で移動して、カヤックを組み立てて、湖のほとりのキャンプサイトまで行き、そこでキャンプして、翌朝カヤックで戻り、モントリオールに帰ってくるという計画。
昨晩は、かつて学生時代にお世話になった方モントリオールに来られていたので、三岳を持ち込んで夜11時過ぎまで一緒に飲んでいた。それもあって少々朝はきつかった。6時半に家を出てLa Mauricie National Parkに向かう。通い詰めた感がある国立公園だけど、よく考えれば8月の半ば以降来ていなく、早くも懐かしさを感じている。天気はいい。高速道路沿いの木々はあまり紅葉していない。うーん、これはあまり紅葉が進んでいないのではないか、と思いながら進んでいった。
8:50に公園の入口に到着。9時に受付が開くまで少し待つ。手続きを済ませてから公園内に入っても、木々は色づき始めているけど、まだまだ緑色をしている。今年は昨年と比較して半月以上紅葉が遅いと思う。
9:35にVieux-Brûlisの出発地点であるLe Passageの展望台の駐車場に到着。他には一台車が停まっているのみ。ここはワピッザゴンク湖の展望台でもあって、まずその様子を眺めに行ったのだけど、眼前に広がる森はまだまだ緑色だった!

出発の準備を済ませて9:45に出発。

森の中の小径を歩いていく。

ハイキングに出かけるのは4月以来だ。目印は円形で二分して藍色とオレンジの色が付いているもの。勾配のあるところではまっすぐと伸びる細い階段が印象的だった。クマの季節なので、チェストバッグにはクマスプレーが入っている。静かな森の中をテクテクと歩いてく。地図はこちら(PDF)参照。
10:10に1.6km歩いた先にあるA地点に到着。この先は反時計回りに回る。どちらから回ってもいいのだろうけど、矢印は反時計回りを指していて、混雑感緩和の観点からはこうした指示は素敵だと思う。
時々吹き抜ける風は寒い。それなりに着込んでいたのに、それでも寒かった。森の中の木漏れ日が美しい。リスがあちらこちらで走り回っている。B地点を10:35に通過する。ひっそりとした湿原。澄んだ青い空。
このコースはとにもかくにもコケとキノコが多い場所だった。登山道の横にたくさん生えているのでそれらを写真に収めていく。


水際にはビーバーに齧られた木が点在していて、目印のついた木も齧られ、傾いていた。

さて10:35。C地点のLe Laconの湖に到着すると、小さな赤ちゃんを背負った男性が一人いた。

写真を撮った後に歩いていくと追いついて、話をしながら歩く。赤ちゃんはまだ一歳とのこと!近くの町に住んでいて昔この国立公園と周辺でガイドもしていたそうで、今日はバードウォッチングに来たんです、とのこと。学生ですかと訊かれたので(野外で話をした際に9割は学生かと訊かれます・・・)、いや、働いていて、生物多様性関係のことをやっているんですよ、と話をすると、そこの事務局長がやってきて話を聞いたことがある。実は今SNAPという組織でケベック州の森林状況の調査を行っていて、生物多様性の愛知目標11(保護区の面積)のケベック州の達成状況の評価に関わっているんです、という話を聞く。まさかこんな森の中で愛知目標という単語を聞くなんて考えてもみなかった。うーん、びっくり!

しばらく一緒に歩いた後、先に歩かせてもらった。途中、ムースと思しき動物の足跡を見つける。
D地点には11:35に着いて、そこから3分ほどのの展望ポイントのE地点に向かう。森を見下ろす広い岩場だ。広がる色づき始めたたおやかな森。紅葉真っ盛りではないけど美しい風景だ。下弦の月がひっそりと浮かんでいる。猛禽類が空を舞っていないかと目をこらすが、残念ながら見つけられなかった。

10分ほど眺めを楽しんでから、戻ってさらに先へと進む。
キノコ・コケ・リスを撮りながら進む。


またムースの足跡を見つける。サクサク歩いて、F地点のLac Daireには12:10に到着。澄んだ山上湖だ。誰もいなくて静けさが漂っている。

その先ではムースの糞を発見。結構大きくて感心する。

G地点を12:25に通過して、森の中を快適に歩いていたところ、時刻は12:40。


左手奥から突然ガサゴソガサッ!ドタバタタッ!という大音響が聞こえる。咄嗟に手が伸びたのはクマスプレーで、安全装置を外して音の方向に身構えた。よく見ると30m先にクロクマがいて、木に登っていたのだけど、僕に気がついて木から降り、そのまま反対方向に逃げていくところだった。これはチャンス!と慌ててクマスプレーをカメラに持ち替えたのだけど、既に時遅しで、木々に視界が阻まれ、写真・動画は残念ながら撮れなかった。でも、正しい反応をしたのだと思う。カナダでクロクマに会うのは二回目だ。
そこから5分ほど歩いたところではクマの糞を発見して、さっきのクロクマのものだろうかと思いながら、さらに歩いて行った。

13:05に到着したI地点の展望ポイントは、正直あまりぱっとしなかった。このコース中で快適な休憩ポイントを訊かれれば、E地点かF地点。でも何も食べずに何も飲まずにここまで歩いてきたので、さすがにお腹が空いてナッツバーを齧った。
その後もサクサクと歩いて、13:45に入り口に戻ってきた。途中で出会ったのは赤ちゃんを背負った男性のみ。静かなトレイルだった。
さて、その後はワピッザゴンク湖の北部の駐車場に向かう(車で5分ほど)。車の中からカヤック・キャンプ道具を取り出し、出発地点のピクニックサイトで組み立てる。
14:45に出発。

湖上を吹き抜ける風が冷たい。水に濡れた足もとてもとても冷たかった。この広い湖には数艇のカヌー・カヤックが浮かんでいる。 半時間ほどカヤックを漕いで、15:15に今宵のキャンプサイトのNo.10のキャンプサイトに到着。

全部で4パーティー泊まれるサイトなのだけど、各テントサイトが割と離れていて、とてもプライバシーを保つに適した、ビーチ付きの素敵な場所だった。6月に泊まったNo.2のサイトよりもずっと素敵。幸い、僕以外は誰もいなくて、本当に静か。
テントを張り、ハンモックを吊るす。

ハンモックに寝そべって、頭上の風にざわめく梢、そして流れていく雲、吹き抜ける透明感溢れた秋の風をぼんやりと眺める。虹がかかっているのが素敵。平和な、幸せな時間。

ここモリシー国立公園は、焚き火が可能なカヌーキャンピング用のキャンプサイトでは、薪が薪小屋に山ほど準備されていて自由に使うことができる(料金に含まれている)。これは、国立公園内に外来種を持ち込ませないための知恵でもある。
スリングで薪を結わえ、焚き火台まで何往復かして運び込む。16時半には着火して、焚き火を開始。楽しい楽しい焚き火時間の始まりだ。
湖上をハシグロアビ(Loon)の親子がゆっくりと横切っていく。焚き火台の上にのせた焼き網で、ソーセージやら、コーンやら、マッシュルームなどを焼きつつ、ビールをグビグビと飲む。うーん、幸せなひとときだ。

暮れなずむ夕暮れ。パチパチと弾ける焚き火の音。

ビールの後はワイン・ウィスキーをいただきながら、空いっぱいにまたたく星空を存分に楽しんだ。カナダであと何回焚き火ができるのだろうかと思うと、寂しさも募るひととき。


21時を過ぎてテントに入り、寝袋にくるまって寝た。

休日 Parc régional du Poisson Blanc canoe&kayak-camping 二日目

朝6時半ごろにようやく起きる。いい天気だ。夜明け前の湖が美しい。

朝飯前の運動にと、SUPに乗って泊まっているサイトNo.20のある島を一周する。湖面には靄がかかって美しい。島の裏側(北側)で湖面を泳ぐビーバーに遭遇。

こちらに気がついて尻尾を立ててドボンッと大きな音を立てながら水の中に潜る。この大げさ感がなんとも言えず素敵だ。湖面の上に立ち、去っていくビーバーを眺めていた。
サイトに戻ってきてガスバーナーに火をつけ、お湯を沸かす。Nicoが起きてきて雑談する。時刻は7:25。

湖面のハシグロアビを眺めていたら、何か大きな物体が湖面にあることに気がつく。慌てて双眼鏡、そしてズームカメラを持って湖面を凝視する。その姿を見て、鳥肌がたった。

ムースだ!ずっと見てみたくて、でも一度も出会えなかった大きな大きな草食動物が湖面を泳いでいる。やがて約600m離れた対岸の小さな島に上陸した。
トイレから戻ってきたNicoに告げる。よし、カヌーに乗って見にいこう!となり、まだ寝ていたNicoの子供たちを起こして皆でカヌーに乗り込む。同じく起きてきたTanyaは後からカヤックで追いかけてきた。
ムースの上陸した小さな島に到着。茂みの中に、いた!静かに漕いでじっくりと眺める。

こちらに気がついて島の反対側に去って行ったので、反対側に回り込む。まだツノがそれほど大きくはない若いオスだ(2歳のオスとのこと)。でも既に十分に大きくて迫力がある。感動!

やがて、ムースは人がいることが気に入らなかったのか、再び水の中へと入り、別の大きな島に向かって泳いでいく。その後を静かに追いかける。靄がかかる湖面を泳ぐムースの姿は素敵。

再上陸して走り去っていくムース時刻は8時過ぎ。とても素敵な30分間だった。
その後は朝食の準備。お湯を沸かして、オートミールをいただき、お茶を飲んだ。さらに焚き火をして、ピザを焼く。

その後は各々自由に過ごす。SUPをしたり、カヤックをしたり、カヌーをしたり、焚き火の前でのんびり過ごしたり、本を読んだり、釣りをしたり、フリスビーをしたり、ザリガニを眺めたり。



Mariekeが浮き輪にロープをつけて、それを僕がカヤックで引っ張るという水上スキー(?)のような遊びを始める。子供たちはつくづく遊びの天才だと思う。
昼前から風が強くなり、少し白波が立ち始めた。SUPで出かけて行ったTanyaがかなり時間が経つのに戻ってこないので、カヤックに乗ってToonと一緒に探しにいく。Toonはまだ10歳とはいえ男の子だ。Tanyaが心配なので探しにいく、と言うと僕も行く、とのこと。男らしいなぁ。島の反対側に向かうと、沖合いにTanyaを発見した。別の島まで出向いていたらしい。ほっとして戻る。
その後はNicoがMariekeと一緒に遠くまでカヤックで出かけていく。白波立つ中、カヤックを漕いで、時々近づいて話をしている父・娘の様子はなかなか素敵だった。

Toonは波が立つ中でSUPに乗ってみたい、と話をして、遥か遠くまで出かけて行った。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、片付けを始める。火の粉が飛んだのか、愛用の折りたたみ椅子に穴が空いていることに気がついたが、まぁ仕方がない。片付け中、Mariekeが砂浜に座り込んで砂をいじりながら考え込んでいる。Nico曰く、アウトドア大好きな彼女は、ここを去りがたく、拗ねているのだという。
荷物をカヤック・カヌー・SUPに積み込んで14時半にサイトを出発。

ちょうど今日からここに泊まるご夫妻+犬一匹が二艇のカヤックでやってこられて、焚き火を残しておきました、と話をする。
SUPを牽引しながらカヤックで漕ぎ出す。波が立っているので少々パドリングが重い。Nico、Marieke、Tanyaの乗ったカヌー、Toonの乗ったカヤックと共にまっすぐ出発地点を目指して漕ぐ。島の陰にはいると波は弱まった。
15時前に無事出発地点に到着。桟橋にカヤック・カヌーをつけて荷物を引っ張り出す。僕はカヤック・SUPを素早く片付ける。

風が強くて、陸に上げたカヤックが転がっていったので慌てて押さえ込む。
レンタルしたバレルを返却し、カヌーをNicoの車の上に乗せて、折りたたんだカヤック等を車に積んでひと段落。
楽しかったですねー、では気をつけて帰りましょう!と、それぞれの車に乗って16時前に出発。
心なしか、昨日よりは色づいた気がするのんびりとした309号の道路をひたすら走る。その後はハイウェイ50号に乗って東に向かう。往路は爆睡していたTanyaだけど、帰りはのんびりと景色を楽しんでいる。今の職場にたどり着いた経緯やカナダの政治の話等を聞きながら進む。ハイウェイ15号に合流すると渋滞していて、ポップコーンを頬張りながら、ゆるゆると進む。19時を過ぎて、モントリオール市内に到着して、Tanyaを家まで送り、その後、自宅に戻ってきた。車を返して荷物を運ぶと既に20時前。残念ながら相方とのSkypeコールはできなかった。

今回のカヌーキャンピングをまとめた動画はこちら(YouTube、6分弱)

当初は一人で来ようと思っていた広大なポアソンブラン湖。最初予約した島までは15km程の距離があって、到着するのにそれなりに時間がかかることを覚悟していたのだけど、人数が増えて予約を取り直した島は2km程しかない、ということで、実にのんびりしたプランになった。でも、その分のんびりといろいろな遊びができて満足この上なし。特に、Nicoの子供たちにSUPという素敵な水上散歩の遊びを伝えられたのが嬉しい。そして何よりムースに出会えたのが本当に嬉しかった。ラッキーだった。湖の北側には家もあり、原生的な雰囲気はそれほどないけど、いろいろなサイトがあって、レベルが選べ、さらにプライベートも保たれるので、単独・大人数のどちらでも楽しめる場所だ。ただ場所がオタワに近いだけに、ハイシーズンの直前の予約は困難なので結構前(1−2ヶ月前)から予約しておく必要がある。楽しい湖だった。

休日 Parc régional du Poisson Blanc canoe&kayak-camping初日

朝5時半頃起きて準備を進め、6時15分過ぎに家を出る。近くの駐車場でカーシェアリングのCommunautoの車をピックアップしてアパートメントに戻り、荷物を詰め込んで出発。今回一緒に出かけるTanyaの家はParc La Fontaineの近くなのでそちらに向かうのだけど、道路工事の影響でなかなかたどり着けず、ぐるぐる回って最後は一方通行路をバックで入り、何とか家の前にたどり着いた。本人と荷物を車に乗せて出発。道路工事は朝の4時ぐらいから突然の大音量とともに始まったらしく、住宅街の土曜日の未明にそんな工事をするなんてありえない、と憤っていた。おかげでかなり睡眠不足の模様。
今回は、モントリオールの西北西方向に直線距離で175km、車で3時間(走行距離は250km)のところにあるポアソンブラン地区公園(Parc régional du Poisson Blanc)でカヌーキャンピングをする予定。この公園は全長30kmほどのポアソンブラン湖の中にあって、ここには数多くの島が点在し、その島々にキャンプサイトが設定されている。元々は7月に職場で隣の部屋のNicoとここに行こうかと話をしていた場所なのだけど、どのキャンプサイトも予約が取れずにいたところ、2週間前に僕が一箇所テント一張り用のキャンプサイトを予約することに成功して、そうするうちにNicoも参加すると言い始め、さらにTanyaも参加したいということになって、水曜日の夜にあらためてキャンプサイトの予約状況を確認したところ、2〜3張り用のサイトが空いていて、すぐに予約を入れて、今回のNicoとその子供2名(MariekeとToon)、Tanya、僕の計5名のパーティーが出来上がった。予約したサイトは20番のサイトで、一つの島を丸々独占できるなかなか素晴らしいところだ。
地図はこちら参照。

一時間ほど車で走って、Nico家に合流。そして二台の車でポアソンブラン湖に向かう。ハイウェイ50号に乗って西に進んだ後、309号で北に向かう。昨年の今頃は紅葉真っ盛りだったのだけど、今年は紅葉が遅れていてまだあまり色づいていない。道路沿いでは牛をたくさん見かけた。牧草ロールが転がる田園風景。途中でガソリンを入れる。そして11時前にポアソンブラン地区公園の北側の入口に到着した。
受付の建物に入り、受付を済ませ、地図を受け取る。薪をどこで購入するのかと思っていたら、利用料金に含まれていて、後でボートでキャンプサイトに届けに行くとのこと。Nicoがバレル(防水性の食料等を入れる大きな樽)を忘れてきたというので10ドルでバレルをレンタルした。
カヤックとSUPを組み立てる。

Nicoがカヌー一隻とレクレーショナルカヤックを一隻持ってきていて、最初カヌーに3名、レクレーショナルカヤックに1名、僕のカヤックに僕が乗って、SUPは僕が牽引する計画。SUPはキャンプサイトのある島についてから遊ぶ用だ。荷物を積み込み、12:15にようやく出発。ライフジャケットに通してあるレスキューベルトに付けてあるピッグテール(カウテール)と、SUPにつないだロープを連結して漕ぎ出す。


天気はすこぶるいい。風も穏やかで湖面は鏡のよう。湖の浅瀬には雑魚がたくさん泳いでいる。SUPを牽引しているのでいつもよりもパドリングに抵抗を感じながら、進む。最短でキャンプサイトに向かうと思いきや、別のルートを通っている。後で聞くと、受付でそのルートを示され、さらに到着するべき島の場所も勘違いしていた模様(フランス語で話していたの僕は幸いにして(?)理解できず)。不安を感じたのか、カヤックを漕いでいたMariekeが近づいてきて場所を訊いてきた。GPSで現在地を示しながら、うーん、お父さん達は間違った方向に向かっているよ、と話をする。その後、”Hi, Nico, the way to our campsite is this direction!”と大声にジェスチャーを交えて、100mほど離れたところを漕いでいたNicoのカヌーに知らせた。

その後、No.20のサイトに無事到着。

上陸地点は砂浜で、砂浜に焚き火用のスペースがあり、森の中にテントを張るスペースが3箇所あるなかなか素敵な場所だ。周囲長約700mで面積2ヘクタール程の小さな島だけど、この島を独占できるというのがいい。森の中にはピット式のトイレがある。

テントを立て、ハンモックを吊り下げる。みなお腹が空いていて、パンなどをぱくぱくと食べた。その間に僕は早速SUPに乗って島を一周した。戻ってくると、Nicoの子供達がSUPに乗りたそーにしている。今回SUPをわざわざ牽引してきたのは、この素晴らしい水上散歩のための遊び道具を、是非Nicoの子供達に体験してもらいたかったからだ。これで仮に関心がなければ見る影もないのだけど、好奇心の塊のような二人だから、そもそも心配もしていないのだけど。


その後は、各々、SUPに乗ったり、カヤックに乗ったり、泳いだり、飛び込んだり、ハンモックで午後の惰眠をむさぼったり、とのんびりと過ごす。こんなにのんびりと過ごすのも久しぶりかもしれない。


水中眼鏡とシュノーケルをつけて、湖に潜る。この湖はすぐに深くなる。透明度はそれほど高くはないが、悪くもない。水深4−5mのところを潜って浮かんで、と楽しく過ごす。その後は僕はカヌーで一人でまっすぐ漕ぐ練習をしていた。


夕方、公園の管理官がモーターボートでやってきて、薪を置いていってくれた。

焚き火を開始。

夕暮れになると大きな月が上がってきた。明日の晩はスーパームーン皆既月食という珍しい組み合わせだ。その前日の今日も大きな月で、見ていてとても素敵だった。


晩御飯は、カレー、サーモンホタテミルクスープ、ステーキ、ソーセージ、各種野菜、サーモン、茹でジャガイモ等々。割と食べ物の好き嫌いがあるというMariekeがカレーを美味しいといってペロリと食べてくれたのは嬉しかった。今回のカレーは、表面を焦がした後に赤ワインで煮込んだ牛肉とたくさんの野菜(ジャガイモ、タマネギ、ニンジン、マッシュルーム、ブロッコリー、生姜、トマトの水煮缶)とヨーグルトとジャワカレーの中辛&バーモントカレーの辛口を合わせ、時間をかけて煮た後に一晩寝かせてから冷凍しておいたものだ。美味しくないはずがない!Nicoがチリ産の赤ワインをボトルで持ってきてくれ、それを大人三人で嗜む。美味しかった。

夜は焚き火とともに更けていった。
湖の浅瀬では体長4cmほどのたくさんの小さなザリガニがいてかわいい。月は明るかったけど、それなりに星を見ることが出来て、子供たちにアンドロメダ銀河の探し方を教え、双眼鏡で眺め、230万光年離れた隣の銀河系に想いを馳せていた。
22時を過ぎてみながテントに入っていく中、僕は一人焚き火の横に残って、さらに白ワインを開け、ちびちびと飲みながら、月明かりの湖の美しさを心ゆくまで堪能してから、テントに入って眠りについた。

休日 Thousand islands kayaking 二日目

朝6時頃目が覚めた。

まだ太陽は昇っていない。夜明け前の島々と川が美しい。

気温はぐっと下がって10℃。寒冷前線通過後の空は秋の空だった。時々大きな魚が跳ねた。カナダガンの群れがやってきて、鳴きながら遠くの川面に着水した。

ガスストーブでお湯を沸かして、紅茶を飲み、オートミールを食べ、りんごを齧った。やがて太陽が高く昇り始め、朝の光に照らされた島々が美しい。

リスは朝からヒッコリーの実を咥えて梢の間を元気に走り回っている。

8:20にようやく出発。まずはアドミラルティ諸島の西端に向かう。


そこに広がるどこまでも広い河。

果てしなく広がるセントローレンス川。この広い川の対岸はアメリカだ。こちら側の島にはためくカナダ国旗。ある島のシルエットは軍艦そのものだった。

進路の東に変え、島の間を縫っていく。

大砲のレプリカをエクステリアとして置いている島があった。

すぐ近くのキングストンはもともと重要水路を守る海軍の要衝として栄えた街だ。そしてこのガナノクエの町もまた米英戦争の際の戦場の一つだ。大砲が見据えているのはアメリカの艦隊だろうか。島と島の間には時々浅いところもあってそうしたところは水草だらけだった。水鳥がたくさんいる。魚もたくさんいる。

一列に並んだ鵜は皆こちらの一挙手一投足をマジマジと見ている。

そんな中をのんびりと漕いで行った。

クルーザー船をやり過ごしたりしながら、ぐるりと回って、昨日通過したマクドナルド島までやってきた。今日は北風。マリーナの地点がちょうど風上になる場所まで漕いで行って、そこから幅のある部分を一気に漕ぎ抜ける。モーターボートがどこまでカヤックに気がついているのかわからない以上、そうした船が行き来する場所はできるだけ速く漕ぎ抜けたい。幸い、船が横切ることもなる無事横断。ゴールまであと少し。時刻は10時過ぎだった。

マリーナの砂浜に戻ってくると、SUPの一団がいた。昨日も会いましたね、と声をかけられた。風は涼しいけれど、日差しはきつくて、水はそれほど冷たくない、気持ちのいい中をSUPがどんどんと出艇していく。颯爽と漕いで行く様子は格好良かった。
カヤックを干して十分乾かしてから折りたたみ、車に積み込んだ。

マリーナの船と船の間は水草がびっしりと生えていて、3cmほどの小魚から25cmぐらいの中サイズの魚まで、いろいろな魚が泳いでいた。緑地では犬が元気に走り回っていて、そこでは折りたたみ椅子を出してくつろぎながら本を読んでいる人もいた。
11時過ぎにガナノクェの町を出て、モントリオールへと向かう。ハイウェイをのんびりと走って、14時頃モントリオールに戻ってきた。その後は洗濯・片付けをしてからほっと一息ついた。
今回訪れたサウザンド諸島は、バックカントリーではなくて、あくまでフロントカントリー。なので、キャンプサイトからも携帯電話が通じたし、ボートに乗って気軽に訪れていた家族連れもたくさんいたし、島々の間にはそこそこの数のボートが行き交っていた。なので、率直には原生的な大自然に触れる雰囲気はないけれども、点在する島々とそこにある家は風情があってなかなか素敵なところだ。港町の風情が好きな方にはたまらない場所で、風光明媚であることは確かなので一度は訪れる価値はある場所だと思う。また、国立公園の管理の仕組みとして、北米に良くある土地を含めた全体を所有していて、ゲートを設けて管理しているのではなくて、日本のように、民間施設も活用しながらそれなりに管理しているのは少し興味深かった(と言ってもキャンプサイトが指定されている島々はカナダ国立公園局の国有地だと思いますけど)。しかし、国立公園の地図でどこから出艇すればいいかといった情報が書いていないのは、少しわかりにくくて、こうした点は改良の余地があるのになぁと思ったりもした。なにはともあれ、激しい豪雨に見舞われた今年18回目のカヤック旅もまた、事故なく怪我なく無事幕と閉じた。

休日 Thousand islands kayak-camping初日

朝5時過ぎになんとか起き上がる。昨日の懇親会のアルコールの残りがじんわりと頭の中でうずく。でも今日はのんびりはしていられない。冷凍庫・冷蔵庫に入れてあった食材をザックに詰め、6時前に家を出た。
今回の目的地は、モントリールから南西方向に約250kmのところにあるサウザンド諸島Thousand islands)の中にある国立公園。このサウザンド諸島は、オンタリオ湖の北東部分からその下流セントローレンス川にかけての80km程の区間に大小様々な島が数多く点在している場所(全部で1864島!)で、この島の一部が国立公園になっている。この中のアドミラルティ諸島(Admiralty Islands)と呼ばれる島群にあるBeau Rivage island(美浜島と訳しておこうか)でキャンプをする予定で予約を入れている。

国立公園のウェブサイトを見てもどこから出発すれば良いのか最初よくわからなかったのだけど、よくよくウェブページを見ると、ガナノクエTown of Gananoque)にある町営のマリーナから出発できそうだ。Beau Rivage islandまでは、ここから4km弱なので、当初は昼過ぎにガナノクェに着いて、それから出発すればいいや、と思っていたのだけど、昨日天気予報を見て背筋が凍った。天気予報が悪化していて、土曜日は午後から夕方にかけて激しい雷雨の予報。加えて、風速が8−9m/s程度で最大風速は14m/sという。嵐だ。島と島の間に入ってしまえば平気なのだろうけど、最初のセントローレンス川の横断部分(と言っても1km以下だけど)で強風に吹かれるのは嫌だ。それでなくとも、たくさんのボートやクルーザー、ヨットがいるだろうから、引き波が怖い場所なのに。ということでとにかく早く島にたどり着いて嵐は島でやり過ごす計画を立てた。
6時を15分ほど過ぎて出発。今回借りた車はPrius C。夜明け前のモントリオール島を運転していく。途中ガソリン補給・トイレ休憩でサービスエリアに立ち寄る。オンタリオ州のサービスエリアはOnRouteという名前。大体80kmごとぐらいに設置されている。
ガナノクェの町には9時頃到着した。マリーナのある方に向かうが、少し東の歴史公園のあたりに出てしまった。駐車場はどこもオーバーナイトの駐車は禁止と書いてある。しばらくうろうろした後、ここにある1000 Islands Kayakingというレンタルカヤックカヤック販売を行っている会社(ここで借りてカヤックをするならここにお世話になると思います。)の店に入っていって、自分のカヤックに乗ってキャンプするのだけど、一晩停められる駐車場はどこにあるか教えてもらえませんか?と聞くと、マリーナに行かないと、右に曲がって、そこから二つ目のストップサインを左に曲がってさらに次の通りを左に曲がるとマリーナにつきますよ、とのこと。感謝。言われた通りに進み、町営のマリーナに到着。

受付で駐車料金を払うように、と看板に書いてあるので、受付に行くと、明日までの駐車料金が6ドルだった。安い!右手奥に小さなビーチがあってそこから出艇してくださいとのこと。ここはトイレやシャワーもある。かなりたくさんの船が置いてあって、カナダ国立公園局の船をとめる場所もあった(そう書いてあった)。そして、ここオンタリオ州英語圏なので、あらゆる標識が英語優先で、フランス語が全くわからない自分としては非常にわかりやすかった。
ビーチ前の公園でカヤックを組み立てる。SUPで出発する人が多数(15名ほど)。

まだ青空は残っているものの、既に風は強い。少しでも早く向かおう、といそいそと準備を済ませる。そして、10時を過ぎて、出発。
南西風が強い。水温はそれほど低くはない。外気温は25℃ほど。既に空は雲で覆われていて、青空の欠片はなくなっていた。先ほど出発して行ったSUPの方々は、いくつか点在する島から外へは出ておらず、引き返してきていた。風をまともに受けてスピードも速くないSUPでは確かにこの風はかなり厳しいかも。そしてセントローレンス川の横断にかかる。距離は1kmもないのだけど、風があって波が立ち始めている上に、行き来する船の引き波があるので、とにかく早く切り抜けよう、と一生懸命漕いだ。

マクドナルド島(MacDonald island)の岸辺近くにたどり着いてほっとする。
この先は、波風が幾分弱まって、島々の間をのんびり漕いで行く。家一軒がようやく建てられるぐらいの小さな島から、ちょっとした森がある大きな島まで、いろいろな島がある。
目の前の川面を掠めるように飛んでいったカモメが足に何かを掴んでいる。おそらくナマズの仲間。生きたまま捕まえたのか、死んでいたものを捕まえたのかは不明。

時々ボートが横を通過していって、引き波に備える。夏の間はもっともっとボートが多いだろうから、その点については若干面倒な場所だなぁと思った。
岸辺に茶色い小動物がいてカメラを向ける。ミンク(American mink)だ。そのまま川に入って行き、別の島目指してまっすぐと泳いでいる。と、近かづくカヤックに気がついたのか大急ぎで元の島に戻り始める。

せっかく1/3ほど泳いだのにもったいない、とカヤックを元の島とミンクの間に入れて、さらに方向転換してもらって、再度目指していた島に向かってもらった。こんなときビーバーであれば、ドボンッという大きな音を立てて水中に潜って隠れてしまうのだけど、ミンクは潜ることなく、水面を必死で泳いでいたのが興味深かった。カモやウ、カモメはたくさんいる。魚を食べる猛禽のミサゴもたくさんいて、時々その精悍な顔つきに似つかわしくないピヨピヨというかわいい声で鳴きながら、何羽も空を舞っていた。

さて、一時間ほどして無事美浜島に到着。

まずはぐるりと島を一周する。桟橋は島のあちこちにあって、普通のボートに加え、キャンピングカーならぬキャンピングボートも数隻停泊している。後日、隣の部屋のオランダ人の同僚にその話をすると、水上の家でしょ、オランダにもいっぱいあるよ、とのことで、それほど珍しくもなさそうだったのだけど、僕がこうしたボートを見たのはおそらく初めてだったので、それは凄く新鮮だった。そして、上陸。

カヤック用の上陸ポイントは島の南西部分にあるのだけど、そこからだとキャンプサイトまで若干距離があるので、島の東側についている桟橋の場所で上陸した。岸際は岩場だけど、カヤックの乗り降り自体は問題ない場所だ。

上陸地点はNo.5のキャンプサイトで、僕が予約したNo.6はその隣だ。プライベート感がより強いのはNo.5だった。No.6のよさは、見晴らしの良い岩の広場がすぐ横にあることなのだけど、それもNo.5のすぐ横でもあって、もし次ここに来るのであれば、No.5を予約すると思う。
手続き方法がよくわからなかったのだけど、ドルマークのついた桟橋に向かうと、そこに記入シート+封筒とそれを入れるポストが置いてあって、手続きを済ませるらしい。薪も置いてあり(注:薪を置いていない受付箇所もあるので注意)、6.8ドルとのことだったので、7ドルを封筒に入れてポストに入れておいた。

この島はリスが非常に多い。10m歩くごとにリスの気配を感じた。他にはヘビもいた。
キャンプサイトでタープとテントを立てる。風が強いので木陰に張った。

その後はすぐ横の見晴らしの良い岩の広場で折りたたみ椅子に座ってぼんやりしていたのだけど、すぐに雨が降り始めて、タープの下に避難した。


でもずっと降っているわけではなく、雨が止むとまた岩場に出て、その景色を堪能した。時間はたっぷりあって、まだ12時過ぎだ。本を読むのだけど、朝早かったこともあって、眠くてうつらうつらしていた。今日ハンモックを持ってこなかったのは失敗だった。遠くを見ると川面にウサギが跳ね始めた(白波が立ち始めた)。

早くこの島にたどり着いてよかった、とホッとしながら、ゆっくりと過ごした。
何度かタープに避難した後、レバーペーストを塗ったパンを食べながらウィスキーの水割りを飲み始めると益々眠くなって、ぼんやりと過ごしていた。

タープの下にいるといくつものヒッコリーの実が落ちてくる。風が強いしなぁと思っていたのだけど、落ち方が規則的だったので、ふと頭上を見るとリスが木の上で食事をしていた。この島はヒッコリー(クルミ)の他、どんぐりも非常に多いところだった。

島をぐるりと周る道の横にキャンプサイトがあったので、賑やかな子連れの家族から、犬を連れた夫婦、そしてピチピチと若い女性三人組まで、いろいろな方がキャンプサイトの横を通り過ぎていった。

夕方、雨が激しくなった。18時過ぎに一度雨が弱まった際に焚き火を開始して、ビールを飲みつつ、ソーセージを焼いて食べる。

その後は土砂降り。焚き火の上に新聞紙を広げて雨を避ける。雨で濡れ新聞になって燃えず、いい雨よけになってくれる(雨が止むと乾いて燃え上がる)。雨の日に焚き火を起こす際にも使う技術の一つだ。やがて雷鳴も轟き始める。カエルが何匹もタープの下にやってきた。夜21時にはようやく静かになって、あれほど強く吹いていた風が収まった。テントに入り、寝袋に包まって、明日は予報どおりに晴れることを祈りながら、眠りについた。