アルコールバーナーのゴトク購入

アルコールバーナーが好きだ。
静かに、しかしながらしっかりと燃える炎と、シンプルな構造に惚れている。
2006年10月にトランギアのアルコールバーナーを手に入れて以来、日々眺めてはうっとりしていた。(さらにその後エバニューのチタン製のアルコールバーナーも手に入れている)

でも、実際に使う機会はそう多くはなかった。
理由は2点。

1つは、火力調整が難しく、シンプルにお湯を沸かすにはいいのだけど、それ以外の用途に向かなかったから。愛用のトランギアのアルコールバーナーには火力調整フタが付いている。でも、OD−BOXオリジナルまたはエバニューの十字ゴトクを併用すると火力調整フタは使えなくなる。かといって、他のタイプのゴトクや鍋と一体となった風防は大きく重く、持っていく気になれない。それが歯がゆかった。

2つ目は、アルコールバーナーは直に置くと熱くなり過ぎて、テントの中やテーブルの上等で使うには気が引けた。もちろん途中段階はアルコールに満たされているから上がっても80℃程度なのだろうけど、最後の最後は直火であぶることに近くなり、焦げついたり融けたりしないかひやりとするもの。その対策として、適当な大きさのお皿を買って、ひっくり返して使っていたが、それは重量が増すものだった。
ついでに言えば、風に弱かった。外で使うには、風防が必要だった。

軽くて、地面から離れて置けて、風防効果もあり、火力調整も出来るようなゴトクは売っていないものか、そう考えていた。

実は、素敵そうなゴトク兼風防はこれまでもあった。
Kuenzi Creative Concepts社のマジックフレームNGというもので、ネイチャーストーブにもなるという代物。素敵なのだけど、520gというのは重過ぎる。もっとシンプルで軽くて地面から離れて置けて、風防効果もあり、火力調整も出来るようなゴトクは売っていないものか、そう考え続けていた。

昨日、久々上野のOD-BOXに行った。かつてトランギアのアルコールバーナーを買ったその店だが、店に入って目が釘付けになった。

エスビット ステンレスストーブ!

エスビットの固形燃料を燃やすシンプルなストーブなのだけど、この形を見てピーンと来た。これって、トランギアのアルコールバーナーに使えるんじゃないか!
近くにいた店員さんに興奮気味に話をすると、ええ、使えますよ、とのこと。早速横にあったトランギアのアルコールバーナーと組み合わせる。見事ぴったり。これは偶然ではなくて、そういう構造とのこと。ずっと求めていたものが目の前に突如として現れたので、心が高なった。

気に入ったところ。
まず、軽い。重量は付属品(ポーチ)を含めて93g。これならアルコールバーナーと組み合わせても全然苦になる重さじゃない。そしてたたむと非常にコンパクトになる。若干組み立てに手間取るが慣れれば苦労しないし、十分許容範囲。
そして形がいい。風防になるし、煙突効果も期待できそう。
それから、ストーブにあけられた溝に差し込むので地面に付かない。肉抜きもされているし、熱も分散されそう。
さらに、大きさに若干の余裕があって、火力調整蓋も使えそう。

これなら、ご飯が簡単に炊ける!
アルコールバーナーが趣味の世界ではなく、山登りの実用の世界で使えそうなのが嬉しかった。完全な衝動買い。でもこの性能でこの値段なら文句はない。

家に戻ってきてから、早速火をつけてみた。炎と鍋の距離が近過ぎて火力が若干落ちる十字ゴトクとは違い、火力も強いままで、使い勝手は上々。ただし、9.5cmサイズ(0.7リットル)の深鍋型だと全体が炎に包まれてしまう。11.5cmサイズ(0.9リットル)の深鍋型の方が向いている。

今日はご飯を炊くのにもトライした。アルコール燃料を50cc程入れてみたが先に結論から言えば、こんなにも必要なかった(室温では30cc強で足りた)。愛用のプリムスのライテックトレックケトル(チタン鍋が好きですが、やっぱり米炊にはアルミ鍋が楽ですね・・・この鍋はお勧めです)に1合の米に250ccの水を加え、火にかける。5分も経たずに吹きこぼれ、火力調整蓋を5mm程開けて蓋をする。ごくとろ火になり、炎の中心に合わせて鍋をずらし、待つこと20分、さらにひっくり返して蒸らして10分。久々炊いたが、芯もなく美味しいご飯が炊きあがった。さらに、アルコールバーナーの下の台に手を当ててみたが、熱いは熱いが手を当てても平気な熱さだった。これならテーブルの上やテントの中(もちろんベニヤ板は敷きますが)でも使えそうだ。
使い勝手を考えると、山に行く時はアルコールバナーを持っていくことを躊躇していたが、これなら何とかなりそうだ。

ふと、情景が目に浮かぶ。夕暮れの中、眼前には雲海が広がっている。見上げた空には一筋の飛行機雲。テントの設営を終え、徐に真鍮製のアルコールバーナーを取り出し、火をつける。ガスバーナーのようなゴーッという音もなく、静かに燃える炎。やがてコッヘルがカタカタと音を立てる。火力調整蓋をかぶせて、時間を確認し、静かに20分のひと時を待つ。やがて太陽が黒くなった西の山の稜線に隠れ、空には一番星が瞬き始める。その光景を見ながら、やがて炊きあがったご飯をシェラカップに盛り付けた・・・素敵だ。

ところで「実際に使う機会はそう多くはなかった。」と書いたが、実際にはトランギアのアルコールバーナーを本来の用途外で結構な頻度で使っていた。それは、炭火起こし。キャプテンスタッグの炭火起こし器を二種類持っているのだけど、一つはびっくりするほどのぴったりサイズもうひとつの携帯に優れた柄杓型の炭火起こしも十字ゴトクと組み合わせると抜群の使い心地だった。キャンプ、BBQをする人にはお勧めしたい。

そうそう、何故上野のOD-BOXに久々行ったかと言えば、新しくなったPaagoのチェストバッグ、パスファインダーを実際に見てみたかったから。体の前面に付けるバッグでは、モンベルのデルタガセットポーチL(モデルチェンジ前のもの)を愛用し続けているのだけど、屋久島に住んでいた時に、小原さんの使っているのをみてチェストバッグに興味を持っていた。最近大沢さんのブログを眺めていたら新しくなった旨書いてあって(ついでに購入していて)、カタログを見るとかなり軽くなっているし、いろいろ改良されているとのことでどんなものかと見に行ったものだった。

4.5リットルの収容力を持つLサイズがいいかなぁと思っていたが、結構大きく、収容力は劣るものの邪魔にならなさそうな2.5リットルのMサイズに惹かれた。それをどうしたかは、またいずれ。


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久々ブログを更新してみた。
書かなかった間、いろいろなことがあった。いろいろな山に行った。つい最近だと、GWに白神山地岩木山山スキー八甲田山山スキーに出かけた。そしていろいろなものも買った。今やダッチオーブンを2つも持っている。それもあってか3年半前に比べて、料理は格段にうまくなった。
いろいろなことを書きたかった。でも、なかなか書けないでいた。書いたこともあったのだけど、それをアップ出来ずにいた。あと一歩の心の余裕が足りなかった。
でもその一歩を踏み出したくなるぐらい、アルコールバーナーのゴトクは素敵だった。道具に助けられた。感謝。
またすぐに途切れてしまうかもしれないけど、時々、書いていければと思う。
では。

※Yahooメールは3年ほど前から使っていません。示してあるメールには届きませんので悪しからず。