オピネルのレスキューナイフ

アウトドアで使用する刃物は結構好きだ。林業の枝打ちで使うナタから、ペンチ・缶切り等の付いたアーミーナイフまでいくつか持っているが、その中でシンプルで使い易くて気に入って使っているものとして、オピネルナイフがある。フランス版肥後守といったところだが、日本の肥後守よりも幅広く使われている(例えば食材を切るのにも使われる)もの。
初めて買ったのは1996年7月7日。炭素鋼の切れ味は非常によく、研ぎやすくて、ロック機構もシンプルかつ確実なので、その機能美に惚れこみ、以来何度か失くしながらも買い足してきた。
鉛筆削りにも工作にも何でも使えるナイフだが、僕の主な用途は川魚をさばくこと、山菜採り、キャンプでの料理用。構造も非常にシンプルで、見ているだけで惚れ惚れする。2000年になり、閉じた状態でもロックできる(つまり不用意に刃が開かない)構造となり、より完成度が増した。
ブレードは、ステンレスと炭素鋼の2種類があるが、炭素鋼の切れ味と研ぎやすさが気に入って、ずっと炭素鋼を買っていたのだが、錆びないステンレスに惹かれた時期があって、その1本を買って以降、買い足すのはステンレス製となった。ステンレスは若干研ぎにくく、また炭素鋼と比較すると切れ味は劣るが、きちんと研いでおけば、問題なくよく切れる。
そんなこんなで、今、家には、常用の1本、(元々僕が使っていたが今は)相方が持っている1本、相方の防災バッグ(地震の時の避難用)に1本、肉や魚を薄く切るのに使うフィレナイフタイプが1本と、計4本のオピネルナイフがあるのだが、炭素鋼は何本か持っていたのだがいつの間にか全て失くしてしまっていて(たいていはカヌーの途中で失くしたもの)、残っているのはステンレスばかりだ。サイズは、No.8(ブレード長85mm)が2本、No.6(ブレード長72mm)が1本とフィレナイフのNo.8が1本。No.8が使いやすいが、首にかけたりするならNo.6ぐらいがちょうどいい。使い易さの割に安価なので、これをロープ切りのナイフ(つまり沢登り等で首からかけている非常用ナイフ)にしている人も結構いる。僕はフィレナイフを除いて、ハンドルにドリルで穴をあけて紐を通して携帯性を高めている。
さて、そんなオピネルなのだけれども、ブレードにネイルマーク(ブレードを開くために爪を引っ掛ける溝)が付いているものの、手袋をしていると刃を出しにくいこと、いざという時に片手で出すのは厳しいことだけは改善点だなぁと思っていた。このため、僕は非常用ナイフにはオピネルは使っていない(スパイダルコのてんとう虫ナイフを愛用)。仮にそのあたりが改良されたクールなオピネルがあれば買ってしまうのになぁと前々から何となく思ったりもしたことがあった。
今日、先が取れてしまったブラックダイヤモンドのストック(6年前に購入したモノ)の交換パーツを注文しに行ったICI石井スポーツ登山本店で目が釘付けになる。
オピネルNo.8 Outdoor
何だこれはと早速店員さんと話をする。なんでも10月末に発売されたばかりのモデルらしい。ブレードはステンレス、半分がセレーション(波刃)になっている。ブレードにはネジまわしを兼ねた穴があいている。ハンドルは樹脂製だが、紐用の穴があけられ、さらにホイッスルが付いている。クライミング、カヌー、登山等のレスキュー用に適したモデル!!!カラーは、黄色、オレンジ、水色、グレーの4色ある。
正直今必要な道具かと言われるとそんなことはないのだが、オピネルが作ったオピネルシェイプのレスキューナイフ!という存在に惹かれて、衝動買い。色は水色を購入。値段は通常のオピネルの約2倍。家に帰ってきてから早速試してみる。
木製のものよりも少々重い。最初ブレードを開くには少々力が要ったので回転部にオイルを射した。ブレードに入ったスリットのおかげで首に紐で下げておいた上で開くのは割と簡単だ。ただ片手で持った状態で片手だけで開けるのは難しい。もう少しスリットが手前にあればそれも可能なのだが。切れ味は上々。ただセレーション部が半分あるので、鉛筆を削ったり、イモを剥いたりするのはやりにくそうだが、前半分しか使わない川魚を捌いたりすることや、セレーションを活かして山菜・キノコをすっぱり切ったりするのは良さそう。そしてロープはセレーションのおかげですっぱりと切れる。笛は、しっかりと大きな音が出た。
大きさはNo.8で木製よりも重いので、首から下げるのは少し大きく重いと思う。ナス環を付けておいて、ハーネスかザックのベルトに着けるのがいいのだと思う。カヌーのレスキュー用(ライフジャケットのポケットに入れる)には非常にいい気がする。
贅沢を言えば、これをNo.6のサイズに縮めて、そしてもう少し根元に近い部分にスリットを入れてくれれば、“首から下げるレスキューナイフ”としては素晴らしモノとなるだろう。まあでも贅沢は言わない。多分しばらくは自分自身は使わず、一緒に沢・雪山に行く人でナイフを持っていない人に貸すように使うのだろう。
このナイフの紹介動画はこちら(YouTube)。シンプルで美しいナイフには仕上がっていると思う。ご関心がある方は見てみて下さい。